思ったよりも読めましたが、実は絵本が地味に増えているのです。
子どもの頃あまり絵本とか児童文学の類いを読んでこなかったことを図書館司書の勉強をしているときに痛感してから、絵本・児童文学・ヤングアダルトは生涯の宿題です。

あと、近代日本の作家の作品も最近ぼちぼち読んでいますが、昔の文庫本は薄いのよ。
あっという間には読み終わりませんが、あまり時間がかからないのも事実。

今月はどれだけ読めるかな。
祝日を含めて2週間ばかりお休みをもらいますので、そこでどれだけ読めるか、が肝だな。
猛暑が治まってきたとともに、読書欲が盛り返してきたのでがんばろ。

さて、★5つは4冊。

『蜜蜂・余生』は、作品がどうのとかこうのではなく、作者の、義姉への絶大な信頼感というか、感謝の念というか、熱くて深いその思いにただ打たれた。
血がつながっていても、大人になってそこまでの関係は築けないんじゃないかと思う。

『半席』は、初めて読んだ青山文平の作品だけど、とてもいい作家に巡り合ったと思った。
これから生まれてくるであろう息子のために出世を目指さなければならないのに、人というものを知れば知るほど、上っ面の文章だけで人を断ずることの無意味さを感じてしまう主人公の成長がとても良い。

『千年の黙』は源氏物語の謎であり、紫式部と藤原道長との目に見えぬ闘いの記録でもある。
もちろんフィクションとわかって読むのだけれど、登場人物たちが生き生きと描かれているので、まるで実際に間近で見ているようだった。

『近代能楽集』実際の能のあらすじと比べながら読むと、より一層作者の技量を感じられて面白かった。
そして頭の中でそのシーンを反芻すればするほど、しみじみ「いいなあ」と思えてくるのだった。


8月の読書メーター
読んだ本の数:23
読んだページ数:5474
ナイス数:678


サンタクロースっているんでしょうか?サンタクロースっているんでしょうか?感想
この本を手に取ったのは今回が初めてだけど、内容は知っていた。だけど、「サンタが信じられないのは妖精が信じられないというのと同じです」というのはさすがに驚き。日本の子どもだったら、サンタさんより妖精を信じていなさそうだが。全体的にキリスト教的で、世界は美しいものであるべきという確信を感じますが、その根拠というのが性善説というか、あまり論理的ではない。そもそも論理で語るものではないというスタンスなのでしょう。大人がこれほどきっぱりと「サンタさんはいます」と断言すれば、子どもは安心するし、大事なのはそこだ。★★★★☆
読了日:08月02日 著者:

完訳マルコムX自伝 上 (中公文庫 B 1-31 BIBLIO20世紀)完訳マルコムX自伝 上 (中公文庫 B 1-31 BIBLIO20世紀)感想
マルコムXの「X」とは、永久にわからない自分のアフリカの家族の姓の象徴で、教団員がみんな用いていたものだった。失われた、いや、白人に奪われた故郷アフリカ、黒人としての尊厳。その無念はわかる。けれど、黒人至上主義は、白人至上主義と同じくらい違うと思うのだが。上巻は公民権運動より前の1950年代最初のころまでが書かれている。想像以上に黒人たちは虐げられていて、だからこそ白人を見返したい気持ちは澱のようにたまっていて、怨嗟の声が噴き出すのは時間の問題。マルコムXの結婚でこの巻は終わるが、不穏な気配濃厚。★★★★☆
読了日:08月03日 著者:マルコムX

ABC戦争ABC戦争感想
ABC戦争ってそういう意味か。N国Y県のO線沿いにあるH市とM市に住む高校生たちの間で戦争が勃発した。したといいながら、具体的な戦闘シーンはない。奇をてらった表記、もってまわった言い回し。円城塔が好きそうだなあ。多分、私たちの日常からリアルが失われていることを描いた作品なのかなとも思ったけれど、私としてはポンコツ高校生のひと夏の冒険(おバカ寄り)が面白かった。最後のほうは不穏な展開になるし、死者も出るのだけど、リアルが失われた世界では、そんなことは大したことではない。という実は恐ろしい小説なのかもしれない★★★★☆
読了日:08月06日 著者:阿部和重

あくせくするな、ゆっくり生きよう!―人生に不満を持たない生き方あくせくするな、ゆっくり生きよう!―人生に不満を持たない生き方感想
この本が書きたいことは、心の持ちようひとつでストレスがなくなり、ストレスがなくなれば心に余裕が生まれ、心に余裕が生まれれば「今」を豊かに生きることができる、というもの。確かにそのような部分もあるけれど、人の心はそれほど単純ではないだろう。先のことを考えて不安になる必要はない。仕事で行き詰まっていても、心が穏やかになればおのずと解決策はわかるはず。…わかるはず?基本的にはあくせくしないタイプなので、ゆったりとポジティブに生きよう。と思う。できるといいね。★★★★☆
読了日:08月07日 著者:リチャード カールソン,ジョセフ ベイリー

旗師・冬狐堂 瑠璃の契り (文春文庫)旗師・冬狐堂 瑠璃の契り (文春文庫)感想
この巻の最初から陶子は目を患っている。骨董の鑑定をするにあたって、飛蚊症というの致命的かもしれない。目に負担をかけすぎると、命にもかかわるというくらいの症状。だからといって仕事の手を抜くことはしない陶子。四篇の作品中、一番ミステリの色合いが強いのが、『黒髪のクピド』。好きなのは『瑠璃の契り』。クールで何事にも動じない、ある意味あまり人間味を感じさせない陶子の親友・硝子の話。ガラスの切子細工と硝子の切ない思い出の話でした。しかも硝子はメインじゃないんだよね。★★★★☆
読了日:08月09日 著者:北森 鴻

火のないところに煙は (新潮文庫)火のないところに煙は (新潮文庫)感想
とても読みやすい文章で、気がついたらすいすい読めていました。一応、夜に読むのは自粛しましたが、怖いことは怖いけど、これなら大丈夫。と思ったら、だんだん話が進むにつれて、雲行きが怪しくなってきます。え?そうなっちゃうの?でも一つ疑問なのは、お祓い師の陣内さんは何してるの?榊さんの単独行動だったのだから、関係ないということ?それとも陣内さんまで…?にしても、こういう系の話のどこが嫌って、怖いのももちろん嫌なのだけど、何も悪くない人の命が簡単に失われてしまうこと。これが読んでいてどんよりしてしまうわけです。★★★★☆
読了日:08月10日 著者:芦沢 央

ぶたぶたのお引っ越し (光文社文庫)ぶたぶたのお引っ越し (光文社文庫)感想
『ぶたぶたのお引っ越し』というタイトルだけど、実際にぶたぶたさんがお引越しをするのは、『友達になりたい』のみ。話の構成としてはどれも同じで、なかなか行動を起こせない主人公の背中をぶたぶたさんが押してくれる。さすがに少し飽きてきた。その中で、定年後は田舎に住みたいという夫と、せっかく自分の自由になる時間ができたのだから都会にいたいという妻の話である『あこがれの人』に引っかかる。少なくとも大人は、自分で判断して、自分で責任を負えるようじゃなければならないと思っているので、私ならさっさと離婚だな。★★★★☆
読了日:08月12日 著者:矢崎存美

サハリン島サハリン島感想
四苦八苦しながら、ようやく読み終えることができました。400ページ二段組みという、物理的な分量の多さに苦労したのもあるのですが、しんどかったのは、徹底的な人種差別の上での暴力行為の数々。が、300ページを過ぎたとき、突如大きく話が転回します。MOB(移動性恐水病)という、致死率の高い伝染病が島を襲うのです。ここの逃亡劇が良かった。途中で投げ出さなくてよかった。ところがところが、350ページからのエピローグで再びその様相は変わってしまいます。個人的にはエピローグ部分は不要と思いました。★★★★☆
読了日:08月13日 著者:エドゥアルド・ヴェルキン

エミリーエミリー感想
多分バーバラ・クーニ―の絵が好きで、読みたいと思ったのだと思います。表紙の、青いケープコートとマフの女の子のことをエミリーと言うのだと思っていました。エミリーとは表紙の、2階の左端の部屋から外を見ている女性のことです。語り手の私はまだほんの少女で、新しい家に引っ越してきたばかり。その家の向かいにある黄色い家には、町の人たちから”なぞの女性”と呼ばれている、20年近くも家の外に出たことのない人が、妹とふたりですんでいました。少女と女性の小さな交流。それだけの絵本ですが、とても温かい気持ちになれる絵本です。★★★★☆
読了日:08月14日 著者:マイケル ビダード

トオマス・マン短篇集 (1979年) (岩波文庫)トオマス・マン短篇集 (1979年) (岩波文庫)感想
この短編集の中で一番長いのが『トリスタン』。サナトリウムで出会った売れない作家と、子どもを産んだばかりの女性の本のささやかな交流を描いた話。『魔の山』のような舞台です。二人がトリスタンとイゾルデをモチーフにした曲をピアノで弾いたとき、確かに二人の間には何かが通じ合いました。具体的に書かれていないから余計に二人の心の奥の微かな交流が美しく思われます。最初からわけもわからず死の気配が感じられて、繊細なガラス細工を扱うように、そうっと息をひそめて読みました。★★★★☆
読了日:08月15日 著者:

ねぎぼうずのあさたろう〈その2〉しゅくばはずれのけっとう (日本傑作絵本シリーズ)ねぎぼうずのあさたろう〈その2〉しゅくばはずれのけっとう (日本傑作絵本シリーズ)感想
やつがしらのごんべえ、結構執念深いですな。前回放った刺客が意外と役立たずだったので、今回は自ら追いかけてきました。ストーリーも面白いのだけど、文章のリズムがとてもいい。今の子どもは時代劇を見る機会もないだろうし、講談なんてのももちろん知らないだろう。さすがに私も知らないけど。だけど、日本人なら心が踊ると思うのね、この文章のリズムには。是非、声を出して読んでいただきたいと思います。★★★★☆
読了日:08月17日 著者:飯野 和好

蜜蜂・余生 (岩波文庫 緑 51-7)蜜蜂・余生 (岩波文庫 緑 51-7)感想
”姉”の死。死に向かって時が止まることがないのはわかっていながら、それを認めることもできずに逡巡する文章。第二次世界大戦中、男性が女性をここまでかいがいしく看病することが、他にあったのだろうか。表記は”姉”なのだけど、実際は”兄嫁”なのだ。なのに、自身より互いを思いいたわり合うふたり。日常のささやかな出来事にに幸せのかけらを見つけて、笑みを交わし合ってきたのだろう。そして亡くなった後も、姉に向かって語り掛け続ける著者。特別感情が揺さぶられることはなかったけれど、静かに涙がこぼれていった。★★★★★
読了日:08月18日 著者:中 勘助

完訳マルコムX自伝 下 (中公文庫 B 1-32 BIBLIO20世紀)完訳マルコムX自伝 下 (中公文庫 B 1-32 BIBLIO20世紀)感想
上巻での激しい白人差別(最初の人類は黒人だった、から始まり、白人は黒人の劣化版であるという主張)は鳴りを潜め、誰をも差別をしなくてすむ、個人が尊重される世の中を作るために黒人は解放されるべきという主張へとシフトしていったマルコムX。そのきっかけが、あまりのマルコムの人気に嫉妬した黒人イスラム教団の代表イライジャ・ムハマドから教団を追われ、イスラム教の本場メッカを訪問したことによるものだったのは、あまりに皮肉。マルコムXが「キリスト教では人種差別はなくせない」というのは、今のところまだ正しい。★★★★☆
読了日:08月19日 著者:マルコムX

凶笑面―蓮丈那智フィールドファイルI―(新潮文庫)凶笑面―蓮丈那智フィールドファイルI―(新潮文庫)感想
うんちくを聞くのが好きなので、収録作がことごとく面白かった。「鬼」とは何か。「面」の表情の変化について。(これは冬狐堂シリーズでも扱ってた)古来より伝わる「女性のための離屋」は何のためにあるのか。日本における仏教とキリスト教の関係について。ただ、蓮丈那智と宇佐見陶子の共演作である『双死神』は、ちょっと言葉足らずで物足りないなあと思いながら読んだ。いろんな知識があれば、もっと深く楽しめるんだろうなあ。★★★★☆
読了日:08月20日 著者:北森 鴻

半席 (新潮文庫)半席 (新潮文庫)感想
これは良い本にあたりました。徒目付として、日々仕事に励む片岡直人には、御家人から旗本への出世を目指さねばならない理由があった。彼の父は一度旗本に上り詰めたのだが、引き続き同程度の役職につかないと、一代限りの旗本ということになる。それを「半席」という。ところが上役は、公の仕事ではなく、個人的に頼まれた仕事を持って来る。事件はどれも、些細な出来事がきっかけなのだが、それは被害者にも加害者にも痛みを与え得るものだった。真摯に生きてきた半生があるからこそ、加害者の痛みが深く心に残る。★★★★★
読了日:08月21日 著者:青山 文平

あんの夢 お勝手のあん (ハルキ文庫 し 4-7 時代小説文庫)あんの夢 お勝手のあん (ハルキ文庫 し 4-7 時代小説文庫)感想
紅屋の建て替えのため二ヶ月間暇になったおやすは、深川の煮売屋を手伝うことになった。同じ料理を作るにしても、料理旅籠で作る料理と煮売屋が作る料理は違う。どういう人が食べるのか、によって、値段も味も手間暇も変わってくる。そういうことをおやすは一つ一つ学んでいくのだった。そしておやすは自分の夢に気づいてしまう。自分が紅屋を料理で有名にしたいのだ、と。もしかするとおやすには、本人も知らない出生の秘密があるのかもしれないという匂わせも。★★★★☆
読了日:08月22日 著者:柴田 よしき

千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫)千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫)感想
本を手にしたときは厚さにちょっとビビりましたが、読んでみるとあっという間。猫好きの女童(めのわらわ)、12歳の少女「あてき」目線で話が進む。あてきの仕えている御主(おんあるじ)が藤原の香子(かおるこ・のちの紫式部)である。どうして紫式部は中宮・彰子に仕えることになったのか。というのが大きな謎として、消えた猫の謎とか、誰もいない密室から聞こえてきた笛の音とか、文箱の中身紛失事件とか、日常の小さな謎を、洞察力に長けた香子が推理していく。道長の剣呑さや彰子の賢さもいい味出してます。★★★★★
読了日:08月23日 著者:森谷 明子

カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)感想
アンソニー・ホロヴィッツ作の『カササギ殺人事件 上』は、まるまる一冊がアラン・コンウェイ作の名探偵アティカス・ピュントシリーズの『カササギ殺人事件』なのでした。どゆこと?というわけで、私に書けるのは作中作の『カササギ殺人事件』のほうのみ。けれどこれがめっぽう面白い。子どものころ読んだ海外の推理小説って、こんな感じだったわ。小さなコミュニティの中の、ほんの小さな嘘や悪意が、大きな事件を起こしてしまう。誰もが善良そうで、誰もが後ろ暗い。くうぅ、これこれ。で、探偵が犯人を名指したところで下巻に続く!!★★★★☆
読了日:08月26日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ

日本の方言 (角川ソフィア文庫)日本の方言 (角川ソフィア文庫)感想
ちょっと物足りなかった。それというのも、方言調査が古くて、既に共通語になってしまったと思われる事例が多くて、肝心の方言にピンとこなかったのが大きい。面白かったのは、「明後日の次の日」。西日本の大部分は「シアサッテ」と言い、東日本は「ヤノアサッテ」というが、都区内は「シアサッテ」。あと、方言コスプレ。”話し手自身が本来身につけている生まれ育った土地の方言とは関わりなく、頭の中にあるイメージとしての方言を演出すること”言われてみれば、私も無意識にやってるでごわすなあ。★★★★☆
読了日:08月27日 著者:佐藤 亮一

ねぎぼうずのあさたろう〈その3〉人情渡し舟 (日本傑作絵本シリーズ)ねぎぼうずのあさたろう〈その3〉人情渡し舟 (日本傑作絵本シリーズ)感想
この辺りから本気でシリーズ化を考えたのでしょうか。今回は、あさたろうのお父さんの話が出てきます。左眉の上に三日月の傷があるあさたろうのお父さん。でもって、あさたろうたちのピンチを救ってくれた見知らぬ旅人の顔にも…。さて、次作でお父さんの謎は解けるのか?たねいものぶんぞうに「よくもこのおれのかおにどろをぬってくれたな」と詰め寄られたあさたろうのお父さん(と思われる)が返した一言。「なにいってるんでい。おめえのかおなんざ、さいしょっからどろだらけじゃねえか」確かに。★★★★☆
読了日:08月28日 著者:飯野 和好

新装版 ウロボロスの偽書(下) (講談社文庫)新装版 ウロボロスの偽書(下) (講談社文庫)感想
上巻が面白かっただけに、広げた風呂敷をさらに広げたままで終わってしまったのが残念。作者がやりたかったのは、そんな、小説的整合ではないことはわかっているけれど。そして、どうしても納得のできない、恐喝のネタ。暴かれるといやだからといって、殺すことはない。一生恨むことはあっても。そして隠しおおせる謎でもない。今時、それはニュースにならないわけがない。ところが、最初の殺人の動機はいったいどこから湧いてきたのだろうなんて考えてみたら、実は最初の出来事は最後の告白とつながっているのか。つまりウロボロスの環ってこと?★★★★☆
読了日:08月29日 著者:竹本 健治

マーシャと白い鳥 (世界のお話傑作選)マーシャと白い鳥 (世界のお話傑作選)感想
ロシアの昔話ですが、構造的には日本の昔話にも似たような話はたくさんあります。両親が買い物に出かける間、弟の面倒を見るように言われるマーシャ。しかし彼女は友だちのところへ遊びに行ってしまいました。戻ってくると、弟の姿がありません。弟をさらったのはババヤガー(ロシアの魔女)。ババヤガーは白い鳥たちに、マーシャを追いかけ弟を奪い返すよう命じますが…。少し文章が多めですが、背景に紛れてマーシャの家の猫たちが見え隠れしているのを探しても面白いかもしれないですね。年齢に応じた読み聞かせがができる本です。★★★★☆
読了日:08月30日 著者:ミハイル ブラートフ,出久根 育

近代能楽集 (新潮文庫)近代能楽集 (新潮文庫)感想
一応一編読むごとに元の作品のあらすじも調べてみました。
最初に一番面白いと思ったのは、『熊野』です。ユヤの嫋やかな中の強かさ、宗盛の愛情の中の酷薄さ。気持ちの切り替えの冷徹さが、三島の時代だけではなく、令和の今でも通用すると思うのですよ。『道成寺』の女性も強かで愉快です。その点『葵上』の光はダメだよね。軟弱で。『卒塔婆小町』は、舞台で見たいかも。美女と老婆が行きつ戻りつする様を、CGとかではなく演技だけで見せてほしい。想像力が喚起され、わくわくしました。三島由紀夫、当たり前かもしれないけれど、すごい。★★★★★
読了日:08月31日 著者:三島 由紀夫


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