先月は18冊しか読めなかったうえ、★5つもありませんでした。
一番★5つに近かったのは『モンテ・クリスト伯』ですが、シリーズ物の第一巻ということで評価を棚上げしたのでした。
逆に★3つは『ぶたぶたは見た』
基本的にぶたぶたさんのシリーズは好きですが、それだけに今作のプロットのひどさ、キャラクター造形のひどさ、文章のまずさがとても気になりました。
さて、思わせぶりに書いたコナンの感想「ヒロちゃんってもしかして…?」っていうのは、「公安にいるのではないか」という台詞を受けて、安室さんがらみのエピソードで今後出てくるのではないか?と思ったのです。
しかし次男に聞いたらすでに88巻のガールズ・バンド事件に登場していて、スコッチと呼ばれてました。
で、赤井さんに殺されたらしい。
人間関係が複雑怪奇すぎて、もう最近は付いていけない。
シンプルに黒の組織の話を進めてくれぃ。
今月はもりもり本を読み進めたいけれど、今読んでいる本がめっちゃ難しいし、月の中盤には遠征に行ったりもするので、読めるかなあ。
次男が『銀の匙』全巻を置いて行ってくれたので、そっちも読まねばなんだよね。
きゃ~!!←嬉しい悲鳴
9月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:6399
ナイス数:693
北斎になりすました女 葛飾応為伝の感想
「なりすました」って、随分強い言葉だと思うのですが、この本を読み終わった時には納得でした。天才葛飾北斎の娘として、ずっと父の背中を見て絵と向き合ってきた応為こと栄。彼女の書いた絵が何枚も紹介されているが、ぱっと見日本画とは思えない。光と影のコントラストで、奥行きがあり、空間の力が強い。大き過ぎる父親を持つ苦労はあったろうが、画家として満足のいく生涯だったのではないだろうか。絵を描くことだけが幸せだった父子。そういう生き方に圧倒された。★★★★☆
読了日:09月01日 著者:檀 乃歩也
その犬の歩むところ (文春文庫)の感想
文体に癖があるので、とっつきにくく感じる人もいるかもしれない。けれどこれは、イラク戦争で疲弊してしまったアメリカという国に、犬という姿を借りて、夢や希望や小さな奇跡などを思い出させてくれる作品なのだ。だからすべての謎が解明されたわけではない。大切なのは、その犬の歩んだところには交流があり、犬を救おうとした人たちが結局犬に救われている、ということなのだ。前半、良い人たちに起きる悲劇が辛くて、読み通せるか?と思ったけれども、最後まで読んでよかった。★★★★☆
読了日:09月02日 著者:ボストン テラン
文学少女対数学少女 (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想
文学少女こと陸秋槎は、本格ミステリが好きで、自分でもミステリ小説を書いてみたりする。その代わり数学が苦手、という設定なんだけど、随分と理解が早いようには思える。話の構造としては、陸秋槎の書くミステリ(の構造)が、彼女たちの日常の謎を解くための手掛かりとなる。天才数学少女の韓采蘆は、天才だけあって人付き合いもできなければ、一般常識にも欠ける。でもこの二人のキャラクター設定がとても良く、陸秋槎と3年間寮で同室だった親友の陳姝琳も賢くてクールで友達思いでとても良いので、続編が出てもいいと思う。★★★★☆
読了日:09月03日 著者:陸 秋槎
ダレン・シャン 2 (小学館ファンタジー文庫)の感想
親友の命を救うために半バンパイアとなったダレン。でも、ダレンは、絶対に人間の血を吸わないと心に決めた。家族と別れ、友達をつくることのできないダレンは、クレプスリーとサーカスに戻った時、ついに友達ができる。へびおとこのエブラ。そして、サーカスに入りたがっていた少年、サム。環境保護団体グループのメンバーがサーカスを見に来たことにより、大事件が起こる。ダレンはまた一つ大切なものを失うことになるが、ダレンの忌み嫌う行為によってその存在はダレンの中で生き続けることになる。1巻よりもダレンの心の動きに納得できる。★★★★☆
読了日:09月05日 著者:ダレン・シャン
ぶたぶたさん (光文社文庫)の感想
20~30ページほどの短い作品がいくつもあると、しかもそれがシリーズ物だと、感想を書くのが難しい。安定のぶたぶたさん、としか言いようがないから。どれも面白かったけれど、一番好きなのはというと『新しいお母さん』かな。個人的には執事喫茶でぶたぶたさんに接客して欲しい。★★★★☆
読了日:09月06日 著者:矢崎 存美
何用あって月世界へ―山本夏彦名言集の感想
名言集なので、感想といっても…。”告白」というものは多くまゆつばである。自慢話の一種ではないかと私はみている。”なるほど。確かに。”あれ、老衰の兆候なんですよ。年とってから一番避けなくちゃならないのは、人生の師匠になりたがることと説教すること。年とったからって自動的に人の師匠になれるなんて、とんでもない誤解ですよ。”いるよね、そういう人。当たり前とされていること、してもらって当然と思っていることにこそ、思考停止の種があるんだなあ。気を付けよう。★★★★☆
読了日:09月07日 著者:山本 夏彦
クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)の感想
主人公は会社が倒産し、妻に財産を持って出ていかれ、ホームレスにまでなった男・藤木芳彦40歳。目が覚めたら見知らぬ場所。記憶もはっきりしない中、そばにあった携帯用ゲーム機の指示に従って第1のチェックポイントを目指す。続きが気になって気になって、読むのを止められない。はっきり言ってご都合主義的な部分は結構あった。けれども、やっぱりこの作品がひきつける力というのは間違いなく強くて、中途半端なエンディングをもってしても面白かったと言わざるを得ない。読み終わったのは深夜だったので相当怖かったけど、読んでよかった。★★★★☆
読了日:09月08日 著者:貴志 祐介
春琴抄 (新潮文庫)の感想
盲目で美しい三味線の師匠・春琴と彼女を支える奉公人の佐助。春琴は見た目こそきれいでも、驕慢で吝嗇で、自分の意に染まないことは絶対にしない。そんな春琴を、4つ年上の佐助は、美しいというだけですべてを受け入れる。人は見た目が10割?春琴がある日、熱湯を顔にかけられ二目とみられない顔になる。それを知った佐助は意気揚々と自分の両眼を針で潰して、美しかった頃の春琴の面影を永遠に脳裏に焼き付けるのだ。凄まじすぎる。春琴の気持慮ったのではない。自分の気持ちに正直に行動しただけ。人は見た目が10割?佐吉の執着が恐ろしい。★★★★☆
読了日:09月09日 著者:谷崎 潤一郎
アウトランダー 時の旅人クレア 3 (ハヤカワ文庫NV)の感想
突然ブツッと話が終わってしまった。謎はまだ残っているんだけど。だとしたら、フランクが生まれない未来に変わってしまうということ?または、あんな状況でランダル大尉は生き延びたのか?クレアは当面20世紀に戻らないことを選んだけれど、20世紀に戻ったらジェイミーは過去の人・すでにこの世にいない人になってしまうわけで、それをどう受け入れるんだろうというのも気になる。ずっと18世紀に留まるのなら、『時の旅人』とは言わないような気がするしなあ。とにかく読み進めるしかない。★★★★☆
読了日:09月11日 著者:ダイアナ ガバルドン
三体Ⅱ 黒暗森林 上の感想
地球に比べて圧倒的に科学力が上の三体世界。三体人は11次元の陽子である智子(ソフォン)という原子より小さいスーパーコンピュータを大量に地球に送り込むことによって、地球人たち語る言葉、書いた文字などすべてを知ることができ、地球人たちの科学的進歩の芽をすべて摘み取った。地球はこのまま三体人に乗っ取られてしまうのか。登場人物たちそれぞれに思惑があり、それが錯綜し、読んでいて楽しくてしょうがない。まだ物語のなかばなので、この先どう話が広がっていくのかはわからないけれど、とにかく先が気になる。★★★★☆
読了日:09月14日 著者:劉 慈欣
二百十番館にようこその感想
主人公は、く普通に就職する…はずだったのだが、ことごとく不採用の通知を受けるうちに、家に引きこもったままゲーム三昧の日々を送っているアラサー男。これではまずい、と自分でもわかっている。そんなとき、遺産として南の島にある館を贈られた。ここから主人公がどうにか生きる力をつけていく話なのですが、どこにでもいる当たり前の子が陥る、自己否定の落とし穴。だけど、やり直すことはできるんだよ、前に進むことはできるんだよ。自分らしくあるままで。ということを、ここ最近の加納作品は書き続けているように思う。★★★★☆
読了日:09月15日 著者:加納 朋子
異人たちの館 (文春文庫)の感想
ストーリーは単純で、1年前に富士の樹海で行方不明になった作家志望の青年の伝記を、彼の母親の依頼で書くことになったゴーストライターが取材をしていくにつれ、徐々に明らかになる青年の周囲にある過去の闇と、ライター自身が巻き込まれていく現在が混じり合い…。あれ?全然単純じゃないね。ミステリなので詳しくは書けないけれども、何に圧倒されたかというと、一つ一つの謎は割と簡単に解けるのに、全体像が全く見えてこないところ。地の文の外に、淳が書いた小説、島崎の書く伝記など何種類もの文章が錯綜し、現在と過去が捻じれていく不穏。★★★★☆
読了日:09月17日 著者:折原 一
ベルリンは晴れているか (単行本)の感想
1945年7月。敗戦国ドイツのベルリン郊外にあるポツダムで、会議が行われるそばで、ドイツ人少女アウグスタが恩人の死を伝えるために彼の甥を探していた。生まれてから現在までのアウグスタについて語られる幕間。ノンフィクションのように容赦なく書かれる敗戦国ドイツ。しかしこれミステリだったんだな、と最後まで読んで思い出す。400ページ辺りの衝撃の発言で、時々チクチクと感じていた違和感の正体を知ることになる。最後に、幼いころ父に買ってもらった英語版のケストナーの本が彼女の光となる。ケストナーってところが良かったな。★★★★☆
読了日:09月18日 著者:深緑 野分
名探偵コナン (102) (少年サンデーコミックス)の感想
ヒロちゃんってもしかして…?
読了日:09月18日 著者:青山 剛昌
ダレン・シャン 3 (小学館ファンタジー文庫)の感想
最近ちょっと深い、複雑な、面白い本を立て続けに読んだので、ちょっと浅くて単純に思えてしまった。親友サムの記憶を体内にとどめるためにサムの血を飲んでから、人間の血を飲むことへの抵抗が薄れてきたダレン。それにつれてクレプスリーへの憎しみも薄れつつあったのだけれど。今回ダレンはバンパニーズという、バンパイアから分かれて、人間を血の供給源としか見ない吸血鬼たちを知ることになる。ハラハラ出来たらよかったのだけど、クレプスリーの秘密主義に辟易し、ダレンの作戦も読めちゃったし。★★★★☆
読了日:09月19日 著者:ダレン・シャン
ぶたぶたは見た (光文社文庫)の感想
今回のはちょっとよろしくないと思いますよ。沼口老人の行動はひどすぎです。その発端は、自分の家族に対する愛情からなのかもしれませんが、ストーカーのようにつきまとい個人情報を聞きまくったり、何の罪もない少女に嘘をついて傷つけたり、あまりに身勝手過ぎる。ネタバレになるからあんまり詳しく書けないけれど、事の善悪の判断ができない人なのですか?真っ当な社会人だったんじゃないの?あと、今回は文章もひどい。「てにをは」や語順について、もう少し練り直して、伝わりやすい文章にするべきです。書きなぐり?って思っちゃいました。★★★☆☆
読了日:09月23日 著者:矢崎 存美
コロンブスの卵の感想
文学評論を中心にした評論集。難しくてなかなか手こずりました。だって普段小説を読む時は、面白いか面白くないかが問題で、作者がなぜこう書いたのかなどを考えながら読むことなんて、学生じゃなくなってからはしていないから。小説を読むたびにそのようなことを考えなければならないのなら、私は研究者にならなくてよかったな。一読者の方が数倍楽しいと思うので。私ごときの浅薄な知識で文芸評論を読むのは時期尚早なのかもしれないと痛感。しかし、だとしたらいつなら読むに値する自分になれるのか。精進せよ、自分。★★★★☆
読了日:09月24日 著者:丸谷 才一
黒武御神火御殿 三島屋変調百物語六之続の感想
聞き手がおちかから富次郎に代わって、探り探りの百物語。おちかは最初から語り手に寄り添うように聞いていたような気がするけれど、富次郎はまだ話し手との距離に迷いがあるような。いや、おちかも最初は迷ってたんだっけ?「同行二人」以外の三作品は、理由を明確にされないまま悲劇に見舞われるのがとても理不尽で、かつ恐ろしい。あからさまに幽霊の出てくる「同行二人」は、どことなくユーモラスでもあり、哀しくもある。このシリーズはいつも、怖いのは人間の方なんだよなあ。★★★★☆
読了日:09月26日 著者:宮部 みゆき
モンテ・クリスト伯 1 (岩波文庫)の感想
ストーリーはわかっていますが、ページを繰る手がとまりません。エドモン・ダンテスくんの人の良さというか、世間知らずというか…にヤキモキしてしまいます。時代は一度失脚したナポレオンが再びパリを目指す頃のこと。ナポレオン派と親王派に分かれて政治も軍事も争いの予感を孕んで不安定な時。ダンテスはそうした争いの只中に、政治犯として終身刑を受けてしまいます。もちろん冤罪。次期船長の内示をもらい、メルセデスとの結婚直前という幸福の絶頂からの不幸のどん底。驚愕、不審、怒り、そして絶望。そこからどう立ち直るか、今後が楽しみ。★★★★☆
読了日:09月28日 著者:アレクサンドル デュマ
読書メーター
一番★5つに近かったのは『モンテ・クリスト伯』ですが、シリーズ物の第一巻ということで評価を棚上げしたのでした。
逆に★3つは『ぶたぶたは見た』
基本的にぶたぶたさんのシリーズは好きですが、それだけに今作のプロットのひどさ、キャラクター造形のひどさ、文章のまずさがとても気になりました。
さて、思わせぶりに書いたコナンの感想「ヒロちゃんってもしかして…?」っていうのは、「公安にいるのではないか」という台詞を受けて、安室さんがらみのエピソードで今後出てくるのではないか?と思ったのです。
しかし次男に聞いたらすでに88巻のガールズ・バンド事件に登場していて、スコッチと呼ばれてました。
で、赤井さんに殺されたらしい。
人間関係が複雑怪奇すぎて、もう最近は付いていけない。
シンプルに黒の組織の話を進めてくれぃ。
今月はもりもり本を読み進めたいけれど、今読んでいる本がめっちゃ難しいし、月の中盤には遠征に行ったりもするので、読めるかなあ。
次男が『銀の匙』全巻を置いて行ってくれたので、そっちも読まねばなんだよね。
きゃ~!!←嬉しい悲鳴
9月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:6399
ナイス数:693

「なりすました」って、随分強い言葉だと思うのですが、この本を読み終わった時には納得でした。天才葛飾北斎の娘として、ずっと父の背中を見て絵と向き合ってきた応為こと栄。彼女の書いた絵が何枚も紹介されているが、ぱっと見日本画とは思えない。光と影のコントラストで、奥行きがあり、空間の力が強い。大き過ぎる父親を持つ苦労はあったろうが、画家として満足のいく生涯だったのではないだろうか。絵を描くことだけが幸せだった父子。そういう生き方に圧倒された。★★★★☆
読了日:09月01日 著者:檀 乃歩也

文体に癖があるので、とっつきにくく感じる人もいるかもしれない。けれどこれは、イラク戦争で疲弊してしまったアメリカという国に、犬という姿を借りて、夢や希望や小さな奇跡などを思い出させてくれる作品なのだ。だからすべての謎が解明されたわけではない。大切なのは、その犬の歩んだところには交流があり、犬を救おうとした人たちが結局犬に救われている、ということなのだ。前半、良い人たちに起きる悲劇が辛くて、読み通せるか?と思ったけれども、最後まで読んでよかった。★★★★☆
読了日:09月02日 著者:ボストン テラン

文学少女こと陸秋槎は、本格ミステリが好きで、自分でもミステリ小説を書いてみたりする。その代わり数学が苦手、という設定なんだけど、随分と理解が早いようには思える。話の構造としては、陸秋槎の書くミステリ(の構造)が、彼女たちの日常の謎を解くための手掛かりとなる。天才数学少女の韓采蘆は、天才だけあって人付き合いもできなければ、一般常識にも欠ける。でもこの二人のキャラクター設定がとても良く、陸秋槎と3年間寮で同室だった親友の陳姝琳も賢くてクールで友達思いでとても良いので、続編が出てもいいと思う。★★★★☆
読了日:09月03日 著者:陸 秋槎

親友の命を救うために半バンパイアとなったダレン。でも、ダレンは、絶対に人間の血を吸わないと心に決めた。家族と別れ、友達をつくることのできないダレンは、クレプスリーとサーカスに戻った時、ついに友達ができる。へびおとこのエブラ。そして、サーカスに入りたがっていた少年、サム。環境保護団体グループのメンバーがサーカスを見に来たことにより、大事件が起こる。ダレンはまた一つ大切なものを失うことになるが、ダレンの忌み嫌う行為によってその存在はダレンの中で生き続けることになる。1巻よりもダレンの心の動きに納得できる。★★★★☆
読了日:09月05日 著者:ダレン・シャン

20~30ページほどの短い作品がいくつもあると、しかもそれがシリーズ物だと、感想を書くのが難しい。安定のぶたぶたさん、としか言いようがないから。どれも面白かったけれど、一番好きなのはというと『新しいお母さん』かな。個人的には執事喫茶でぶたぶたさんに接客して欲しい。★★★★☆
読了日:09月06日 著者:矢崎 存美

名言集なので、感想といっても…。”告白」というものは多くまゆつばである。自慢話の一種ではないかと私はみている。”なるほど。確かに。”あれ、老衰の兆候なんですよ。年とってから一番避けなくちゃならないのは、人生の師匠になりたがることと説教すること。年とったからって自動的に人の師匠になれるなんて、とんでもない誤解ですよ。”いるよね、そういう人。当たり前とされていること、してもらって当然と思っていることにこそ、思考停止の種があるんだなあ。気を付けよう。★★★★☆
読了日:09月07日 著者:山本 夏彦

主人公は会社が倒産し、妻に財産を持って出ていかれ、ホームレスにまでなった男・藤木芳彦40歳。目が覚めたら見知らぬ場所。記憶もはっきりしない中、そばにあった携帯用ゲーム機の指示に従って第1のチェックポイントを目指す。続きが気になって気になって、読むのを止められない。はっきり言ってご都合主義的な部分は結構あった。けれども、やっぱりこの作品がひきつける力というのは間違いなく強くて、中途半端なエンディングをもってしても面白かったと言わざるを得ない。読み終わったのは深夜だったので相当怖かったけど、読んでよかった。★★★★☆
読了日:09月08日 著者:貴志 祐介

盲目で美しい三味線の師匠・春琴と彼女を支える奉公人の佐助。春琴は見た目こそきれいでも、驕慢で吝嗇で、自分の意に染まないことは絶対にしない。そんな春琴を、4つ年上の佐助は、美しいというだけですべてを受け入れる。人は見た目が10割?春琴がある日、熱湯を顔にかけられ二目とみられない顔になる。それを知った佐助は意気揚々と自分の両眼を針で潰して、美しかった頃の春琴の面影を永遠に脳裏に焼き付けるのだ。凄まじすぎる。春琴の気持慮ったのではない。自分の気持ちに正直に行動しただけ。人は見た目が10割?佐吉の執着が恐ろしい。★★★★☆
読了日:09月09日 著者:谷崎 潤一郎

突然ブツッと話が終わってしまった。謎はまだ残っているんだけど。だとしたら、フランクが生まれない未来に変わってしまうということ?または、あんな状況でランダル大尉は生き延びたのか?クレアは当面20世紀に戻らないことを選んだけれど、20世紀に戻ったらジェイミーは過去の人・すでにこの世にいない人になってしまうわけで、それをどう受け入れるんだろうというのも気になる。ずっと18世紀に留まるのなら、『時の旅人』とは言わないような気がするしなあ。とにかく読み進めるしかない。★★★★☆
読了日:09月11日 著者:ダイアナ ガバルドン

地球に比べて圧倒的に科学力が上の三体世界。三体人は11次元の陽子である智子(ソフォン)という原子より小さいスーパーコンピュータを大量に地球に送り込むことによって、地球人たち語る言葉、書いた文字などすべてを知ることができ、地球人たちの科学的進歩の芽をすべて摘み取った。地球はこのまま三体人に乗っ取られてしまうのか。登場人物たちそれぞれに思惑があり、それが錯綜し、読んでいて楽しくてしょうがない。まだ物語のなかばなので、この先どう話が広がっていくのかはわからないけれど、とにかく先が気になる。★★★★☆
読了日:09月14日 著者:劉 慈欣

主人公は、く普通に就職する…はずだったのだが、ことごとく不採用の通知を受けるうちに、家に引きこもったままゲーム三昧の日々を送っているアラサー男。これではまずい、と自分でもわかっている。そんなとき、遺産として南の島にある館を贈られた。ここから主人公がどうにか生きる力をつけていく話なのですが、どこにでもいる当たり前の子が陥る、自己否定の落とし穴。だけど、やり直すことはできるんだよ、前に進むことはできるんだよ。自分らしくあるままで。ということを、ここ最近の加納作品は書き続けているように思う。★★★★☆
読了日:09月15日 著者:加納 朋子

ストーリーは単純で、1年前に富士の樹海で行方不明になった作家志望の青年の伝記を、彼の母親の依頼で書くことになったゴーストライターが取材をしていくにつれ、徐々に明らかになる青年の周囲にある過去の闇と、ライター自身が巻き込まれていく現在が混じり合い…。あれ?全然単純じゃないね。ミステリなので詳しくは書けないけれども、何に圧倒されたかというと、一つ一つの謎は割と簡単に解けるのに、全体像が全く見えてこないところ。地の文の外に、淳が書いた小説、島崎の書く伝記など何種類もの文章が錯綜し、現在と過去が捻じれていく不穏。★★★★☆
読了日:09月17日 著者:折原 一

1945年7月。敗戦国ドイツのベルリン郊外にあるポツダムで、会議が行われるそばで、ドイツ人少女アウグスタが恩人の死を伝えるために彼の甥を探していた。生まれてから現在までのアウグスタについて語られる幕間。ノンフィクションのように容赦なく書かれる敗戦国ドイツ。しかしこれミステリだったんだな、と最後まで読んで思い出す。400ページ辺りの衝撃の発言で、時々チクチクと感じていた違和感の正体を知ることになる。最後に、幼いころ父に買ってもらった英語版のケストナーの本が彼女の光となる。ケストナーってところが良かったな。★★★★☆
読了日:09月18日 著者:深緑 野分

ヒロちゃんってもしかして…?
読了日:09月18日 著者:青山 剛昌

最近ちょっと深い、複雑な、面白い本を立て続けに読んだので、ちょっと浅くて単純に思えてしまった。親友サムの記憶を体内にとどめるためにサムの血を飲んでから、人間の血を飲むことへの抵抗が薄れてきたダレン。それにつれてクレプスリーへの憎しみも薄れつつあったのだけれど。今回ダレンはバンパニーズという、バンパイアから分かれて、人間を血の供給源としか見ない吸血鬼たちを知ることになる。ハラハラ出来たらよかったのだけど、クレプスリーの秘密主義に辟易し、ダレンの作戦も読めちゃったし。★★★★☆
読了日:09月19日 著者:ダレン・シャン

今回のはちょっとよろしくないと思いますよ。沼口老人の行動はひどすぎです。その発端は、自分の家族に対する愛情からなのかもしれませんが、ストーカーのようにつきまとい個人情報を聞きまくったり、何の罪もない少女に嘘をついて傷つけたり、あまりに身勝手過ぎる。ネタバレになるからあんまり詳しく書けないけれど、事の善悪の判断ができない人なのですか?真っ当な社会人だったんじゃないの?あと、今回は文章もひどい。「てにをは」や語順について、もう少し練り直して、伝わりやすい文章にするべきです。書きなぐり?って思っちゃいました。★★★☆☆
読了日:09月23日 著者:矢崎 存美

文学評論を中心にした評論集。難しくてなかなか手こずりました。だって普段小説を読む時は、面白いか面白くないかが問題で、作者がなぜこう書いたのかなどを考えながら読むことなんて、学生じゃなくなってからはしていないから。小説を読むたびにそのようなことを考えなければならないのなら、私は研究者にならなくてよかったな。一読者の方が数倍楽しいと思うので。私ごときの浅薄な知識で文芸評論を読むのは時期尚早なのかもしれないと痛感。しかし、だとしたらいつなら読むに値する自分になれるのか。精進せよ、自分。★★★★☆
読了日:09月24日 著者:丸谷 才一

聞き手がおちかから富次郎に代わって、探り探りの百物語。おちかは最初から語り手に寄り添うように聞いていたような気がするけれど、富次郎はまだ話し手との距離に迷いがあるような。いや、おちかも最初は迷ってたんだっけ?「同行二人」以外の三作品は、理由を明確にされないまま悲劇に見舞われるのがとても理不尽で、かつ恐ろしい。あからさまに幽霊の出てくる「同行二人」は、どことなくユーモラスでもあり、哀しくもある。このシリーズはいつも、怖いのは人間の方なんだよなあ。★★★★☆
読了日:09月26日 著者:宮部 みゆき

ストーリーはわかっていますが、ページを繰る手がとまりません。エドモン・ダンテスくんの人の良さというか、世間知らずというか…にヤキモキしてしまいます。時代は一度失脚したナポレオンが再びパリを目指す頃のこと。ナポレオン派と親王派に分かれて政治も軍事も争いの予感を孕んで不安定な時。ダンテスはそうした争いの只中に、政治犯として終身刑を受けてしまいます。もちろん冤罪。次期船長の内示をもらい、メルセデスとの結婚直前という幸福の絶頂からの不幸のどん底。驚愕、不審、怒り、そして絶望。そこからどう立ち直るか、今後が楽しみ。★★★★☆
読了日:09月28日 著者:アレクサンドル デュマ
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