8月も思った以上に読めました。
だけど、ここのところずっと「あーマンガ読みたい」という気持ちと、図書館本の返却日のはざまで悶々としています。
今現在も、土曜日に返さなければならない本があと2冊半残っているのです。
あーマンガ読みたい。

★5つは4冊。
そのうちの2冊は『13・67』(陳浩基)です。
上下巻ともに★5つの面白さ。
ミステリとして、クワンの生き様として、香港という街として、どれも存分に読ませる面白さを持っていました。
華文ミステリに俄然興味が出て、今も1冊借りています。(読んで返すぞ!)

『三国志』(宮城谷昌光)、とうとう読み終えてしまいました。
硬い文章、どんどん脱線し重なっていくエピソードの数々。
決して読みやすくはない作品なのに、今まで読んだ『演義』ベースの『三国志』とは全然違う事実と解釈に、読んでいてワクワクがとまりませんでした。
本当に面白かった~。

『黒い仏』(殊能将之)は、賛否両論あるだろうな~。
多分6~7割くらいの人は「ふざけるな!」と本を叩きつけるのではないでしょうか。
でも、それもありかな、って私は思ったの。
知らないことに対しては完ぺきになんてなれないよな~って。

8月の読書メーター
読んだ本の数:25
読んだページ数:7679
ナイス数:767


燃える男 (新潮文庫)燃える男 (新潮文庫)感想
前半、主人公・クリーシィが自分の殻に閉じこもっているうちは、話も進まず、主人公の魅力もほとんどない。その代わり語られるグィドーの半生が面白くて、こちらが主人公でいいとまで思った。が、11歳の少女ピンタが、純粋な子どもの好奇心を持って、少しずつ戦略的にクリーシィに近づいて行ったところから徐々にクリーシィが変わってくる。ところが突然の暗転。そしてクリーシィの復讐が始まる。少しテンポがゆっくりかもしれない。けれどその分、丁寧にクリーシィの内面が描写されていて、クリーシィの苦しみや怒りが存分に伝わってくる。★★★★☆
読了日:08月03日 著者:A.J. クィネル

宇宙【そら】へ 下 (ハヤカワ文庫SF)宇宙【そら】へ 下 (ハヤカワ文庫SF)感想
巨大隕石が落下したことによって温暖化が起こり、地球は人類が住めない星になる。そうなる前に人類は宇宙に移住先を探し、コロニーの建設をしなければいけない。という背景は、この下巻では随分薄まっていて、ひたすら主人公のエルマが宇宙飛行士を目指す話に終始してしまった。それというのも、解説によればこれは、エルマを主人公にしたシリーズ物というか、年代記なのだ。その中でこの作品は、宇宙飛行士を目指す女性として、能力を訓練しつつ、世間の偏見と闘うところに特化したものとなっている。1950年代という時代はそうだったのだ。★★★★☆
読了日:08月04日 著者:メアリ・ロビネット・コワル

13・67 上 (文春文庫)13・67 上 (文春文庫)感想

タイトルの『13・67』というのは2013年から1967年に遡るタイプのクワンという一人の警察官の年味です。2013年…これはクワンが余命僅かという状態で病院のベッドに横たわりながら行った、彼の最後の事件となります。しかしこの捜査方法!あきらかに黒寄りの捜査をするクワンを主人公にしたこの作品はノワール小説と言えるかもしれないし単純に警察小説と言ってもいい。しかし、犯人を推理できるヒントはすべてフェアに記載されているのだから、本格推理小説と言うこともできる。一度読んでみ?面白いから。★★★★★
読了日:08月05日 著者:陳 浩基

雪月花: 謎解き私小説雪月花: 謎解き私小説感想
かなわんなーと思う。もちろん作家相手に本のことでかなうわけはないのだが、中学生の頃、学校帰りに芥川の文庫本を読み、その巧さに感心したってところを読んで、かなわんなーと思う。巧さに感心するのは、既に創作者の視点を持っているから。それに引き換え、私はいつまでたっても読者の視点からしか本を読めない。でも、それもまた楽しいから、いいか。”それぞれの位置から向かい、それぞれの収穫をする。 それこそが、読むことの面白さだ。”★★★★☆
読了日:08月06日 著者:北村 薫

三国志 第十二巻 (文春文庫)三国志 第十二巻 (文春文庫)感想
遂に終わってしまった。三国時代って、中国の長い長い歴史の中で一瞬のように短い。才ある者の枯渇、権力者の専横、など。滅ぶべくしてほろんだ王朝ではあるけれど、建国前から読んでいた身にすると、先人たちの苦労や偉業をふみにじるような愚かな後継者たちに忸怩たる思いがぬぐえない。それにしても今まで読んできた三国志となんと違う事よ。時代の違い、文化の違いを超えて、人の思いや行為って通じるものがあるんだなあと巻を通してしみじみ思う。ああ、面白かった。次はだれの三国志を読もうかな。★★★★★
読了日:08月07日 著者:宮城谷 昌光

再びのぶたぶた (光文社文庫)再びのぶたぶた (光文社文庫)感想
スピンオフ作品多めの短編集。特に『ぶたぶたの食卓』収録の『十三年目の再会』の前日譚である『桜色七日』がよい。作者もこれを書きたくてこの本を出したようなものというだけあって、小池信江の、孫娘に対する愛情と、その後の彼女の運命を知ってしまっているがゆえの読み手が感じる切なさが相まって、胸が苦しくなってしまった。個人的にお気に入りなのは『小さなストーカー』。幼児がまっすぐに語る正論には誰も敵わない。彼女の声、私の脳内ではトトロのメイちゃんでした。可愛い可愛いぶたぶたさんの末娘。★★★★☆
読了日:08月08日 著者:矢崎 存美

楼蘭 (新潮文庫)楼蘭 (新潮文庫)感想
事実を淡々と連ねる文章は、ともすれば歴史の専門書を読んでいるようで、これが小説であることを忘れてしまう。何百年にもわたる、ロブ湖のほとりの楼蘭という国の歴史。しかし、これはヘディンが発掘した楼蘭の遺跡からインスパイアされた、れっきとした小説なのだ。誰がこのような想いを持って行動したかなどと、どんな歴史書にも書いてはいない。次は『天平の甍』を読みたい。時間が許せば『おろしや国粋夢譚』も。★★★★☆
読了日:08月10日 著者:井上 靖

黒い仏 (講談社文庫)黒い仏 (講談社文庫)感想
シリーズ物の探偵、石動戯作ものなので、当然これは本格ミステリだと思ったのです。ところが読み進めるうちに、何やら雲行きが怪しくなってくる。結果的には名探偵石動戯作は、依頼された案件の外に殺人事件の謎も解いてしまうのだけど。でも、これ、絶対受け付けない人が一定数いると思うわ。『ハサミ男』を読んだ時の衝撃は「おおっ!」だとしたら、この作品の衝撃は「ええ~っ!?」デビュー当時から評価が高いのは知っていたけど、個人的にはノーマークだったので、今さらながら衝撃が大きすぎます。もっと早く読んどけばよかったなあ。★★★★★
読了日:08月12日 著者:殊能 将之

ひらばのひと(1) (モーニング KC)ひらばのひと(1) (モーニング KC)感想
本屋でサイン本として売られていたので、てっきり番子さんのサインかと思ったら、監修の神田伯山さんのでした。でも、面白かった。修羅場(ひらば)と読むとか、講談師は女性が圧倒的に多いとか、知らなかった。主人公の泉花はまだ二枚目。真面目に公団と向き合っているけど、男というだけで師匠や常連さんにちやほやされる弟弟子が気になってしょうがない。ふーん、そういう世界なんだ。講談社だから講談の話にしたそうだけど、講談おもしろいね。多分耳で聞いたらもっと面白いと思う。
読了日:08月14日 著者:久世 番子

ひらばのひと(2) (モーニング KC)ひらばのひと(2) (モーニング KC)感想
講談とは歴史を舞台にした話なので、元ネタが同じ話は能や落語にもある。けれど、解釈も表現方法も違うので、同じ話にならないという。また、講談は長尺の芸だけれど、よせでは落語などに合わせて話を端折って読むのだとも。もったいないねえ。一度実際にきちんと講談を聞いてみたいものです。
読了日:08月14日 著者:久世 番子

エメラルドグリーンの誘惑 (ヴィレッジブックス)エメラルドグリーンの誘惑 (ヴィレッジブックス)感想
貧乏貴族の娘ソフィー。両親も妹もすでになく、祖父母とひっそり暮らしていたのだが、となりに領地を持つ大貴族のジュリアンにプロポーズされたが断る。なぜって、相手は金持ちでイケメンで女たらしで酷薄。対するソフィーは裕福ではなく、見た目もぱっとせず、行き遅れ(24歳)で、女のくせに読書家!傲慢で、男尊女卑の金持ち男ジュリアンと、自尊心が高くて賢い貧乏貴族の娘ソフィーの、結婚から始まる恋愛模様。これ、オースティンが好きな人なら、絶対好きなやつ。オースティン寄りのハーレクインと言いますか、分厚いのに一気読みでした。★★★★☆
読了日:08月14日 著者:アマンダ クイック

希望の図書館 (ポプラせかいの文学)希望の図書館 (ポプラせかいの文学)感想
主人公のラングストンは最近母親を亡くし、父さんと南部のアラバマから北部のシカゴに引っ越してきたばかり。学校では友達が一人もできないどころか「南部の田舎者」といじめられている。家にひとりで父さんを待つのは辛い。学校にも家にも居場所がない。そんなとき、学校帰りにラングストンは図書館を見つける。黒人がまだ、公的な権力を持てなかった時代の話。図書館が直接ラングストンに希望を与えたわけではない。けれど、本を読むことでラングストンの心が大きく成長し、そのことが家や学校での彼にも影響を与える。希望はそこから始まるのだ。★★★★☆
読了日:08月15日 著者:リサ クライン・ランサム

戦場の秘密図書館~シリアに残された希望戦場の秘密図書館~シリアに残された希望感想
2011年から現在に続くシリアの内戦。その始まりは、10代の子どもたちの壁の落書きだったことに驚く。そのようなことすら許さない独裁政権の恐ろしさ。そんな中、瓦礫に埋もれた建物の地下室で、彼らは秘密図書館を開く。一日に一食、薄いスープしか食べることのできない日々で、「栄養が必要なのは、体だけではない。頭や心にだって栄養が必要なんだ」しかし、図書館開館から三年後、ダラヤはついに陥落し、図書館はシリア軍に蹂躙される。一年後。移住先のイドリブ件で、秘密図書館の設立メンバーたちは移動図書館をはじめる。★★★★☆

読了日:08月16日 著者:マイク トムソン

アウトランダー 時の旅人クレア 1 (ハヤカワ文庫NV)アウトランダー 時の旅人クレア 1 (ハヤカワ文庫NV)感想
この作品、一応はSFに分類されているようです。でも、ハイファンタジーが好きな人にも面白いかもしれない。魔法はないけれども。主人公のクレアは、歴史研究家である夫と休暇旅行中、ストーン・サークルを一人で訪れた時に気分が悪くなり、気がつくと…。突然200年前の世界に投げ出されたクレアは、言葉の違い(当時のスコットランド人はゲール語が主流)、風習の違いなどで、なかなか現状を把握することができない。さて、クレアは無事現代に帰ってこられるのか、それとも過去の世界で生きることになるのか。先は長いぞ。★★★★☆
読了日:08月17日 著者:ダイアナ ガバルドン

13・67 下 (文春文庫)13・67 下 (文春文庫)感想
この本は自分で買うなら上下巻一気に、図書館で借りるなら単行本で読むべき本でした。最後まで読んだら最初の話を読み返し、いろいろ確かめたくなること必至です。上巻は切れ者と言われたクワンとその愛弟子と言っていい部下のローの関係が細やかに書かれていました。が、この下巻は、クワンがなぜ手段を選ばないほど非情に正義を貫くのか、いかにしてクワンという刑事ができたのかが書かれていました。後のクワンに繋がる種は、こうして蒔かれたのか…結構感動して本を置こうと思ったら最後の最後に明かされた驚愕の事実。最後の一行まで楽しめた。★★★★★
読了日:08月18日 著者:陳 浩基

チーズはどこへ消えた?チーズはどこへ消えた?感想
書いてあることは、変化を怖れるな!ってこと。いかにもだけど、これ、企業が研修のテキストに採用している本。つまり組織や業務の統廃合を社員に受け入れさせるための本ってことのように私には思えました。もちろん不必要に変化を怖れたり拒否したりするのは愚かなこと。でも、変化=良い結果を生むと断ずるのは、あまりにも危うい。世界的ベストセラーってことで、思考停止したまま熱狂的にこの本の内容を受け入れるのは、とっても恐ろしいことだと思います。大事なのは冷静にバランスをとることなのでは?★★★☆☆
読了日:08月19日 著者:スペンサー ジョンソン

ロボット・イン・ザ・ファミリー (小学館文庫)ロボット・イン・ザ・ファミリー (小学館文庫)感想
第2弾、第3弾と徐々に読むのがしんどくなってきたので、それ以降、新作が出版されていたのは知っていましたが、読む気にはなりませんでした。少し間があいたからでしょうか、以前ほどベンの面倒を避けてやり過ごそうというところが気にはなりませんでした。今回はボニーの癇癪はわがままなのではないと徐々に気づきます。やっぱり今作もタングはメインのストーリーにはあまり絡んできませんでしたが、タングにはタングの世界があり、タングなりに家族を大切に思っている姿が見えたので、今回はこれで良しとします。←何様?★★★★☆
読了日:08月20日 著者:デボラ インストール

ロボット・イン・ザ・ホスピタル (小学館文庫 イ 2-5)ロボット・イン・ザ・ホスピタル (小学館文庫 イ 2-5)感想
今作は久々にタングが話の中心…になった部分もありました。しかしもはやこの作品はロボット=タングではなく、ロボット=AI知能を搭載したロボットたちのことなのかもしれません。タングが成長するにつれて、人間とロボットの持つ権利の違いが明確になり、それに苦しむタングと、心を痛めるベン。どうして自分はみんなと違うの?人間同士ならそれは個性と言われるが、人間とロボットの差異は…。でも、明るくて楽天的で、時に癇癪持ちだけど素直なタングの存在は、この作品の癒しだよね。うーん、可愛いなあ。★★★★☆
読了日:08月21日 著者:デボラ・インストール

キッチンぶたぶた (光文社文庫)キッチンぶたぶた (光文社文庫)感想
ぶたぶたの話に慣れてきたからでしょうか、どれも想像の範囲内の話でした。とくに、「初めてのバイト」。ぶたぶたさんにまだ会ったことのない若葉が、風邪をひいた従姉の代わりに「キッチンぶたぶた」に行ったら、ぶたぶたさんが誘拐された!と大騒ぎになっていて……。誰もぶたぶたさんの外見について説明することなく、若葉に「探してきて」という言う不自然さはさておき、みんなの言葉だけで状況を想像する若葉を面白がるのはちょっと悪趣味だなあ、と思いながら読んでいたのですが、最終的にやっぱり面白かったわ。←悪趣味だなあ★★★★☆
読了日:08月22日 著者:矢崎 存美

ダレン・シャン 1 (小学館ファンタジー文庫)ダレン・シャン 1 (小学館ファンタジー文庫)感想
どうにも読後感がよろしくありません。まず、蜘蛛が苦手。ペットにしたいなんて信じられない。(ダレン)バンパイアになりたい気持ちもわからない。(スティーブ)要するに、主人公たちを好きになれんのですわ。自業自得とはいえ、まだほんの少年のダレンが、親友のスティーブの命を助けるために半バンパイアとなり、家族と別れて生きていかなければならなくなったところまでの話。多分これからダレンはいろいろな試練を受けるんだろうなあ。一度手を付けてしまったのが運の尽き。最後までダレンに付き合います。★★★★☆
読了日:08月23日 著者:ダレン・シャン

八十四歳。英語、イギリス、ひとり旅八十四歳。英語、イギリス、ひとり旅感想
とにかく好奇心旺盛で、前向きで、パワフルな人なのである。英語を勉強し直したのが53歳、そして55歳からはグループレッスンから個人レッスンに切り替える。”今から思えば五十五歳という歳は、なんと若く、未来をたっぷりはらんだ年齢だったことだろう。私は女学生の気分であった。”積極的に人と知り合い、せっかくの縁を大切にし、十何回もイギリス旅行をしたころには、イギリスに知人(友人)がたくさんできていました。このバイタリティには脱帽。私もまた英語を勉強し直したくなってきた。★★★★☆
読了日:08月24日 著者:清川 妙

天声美語天声美語感想
正直彼ほどの美意識を生活の中に常に持つことは、今の世の中ではかなり難しいだろう。というか、私には無理だ。だって美意識、平均以下だもの。でも、目次から引き込まれる。・信仰と宗教は違います/ここから始まるのである。がさつで粗忽で美意識とは真逆な私だけど、心にとめておこうと思った言葉。”めんどうくさがって利便性ばかりを追わず、手間暇かけて苦労して、「自分」という作品を完成に近づけていくのは、じつに楽しい作業なのです。”ここまで達観できるようになれればいいよね。★★★★☆
読了日:08月25日 著者:美輪 明宏

日常茶飯事 (新潮文庫)日常茶飯事 (新潮文庫)感想
この本が最初に出版されたのは、昭和37年。時代とともに古くなるテーマもありましたが、例えば「食べれる」などの「ら」抜き言葉に怒ってみたり(そんな昔からあったんだ…)、芸能人の私生活を暴いて喜ぶ芸能雑誌に怒ってみたり。事実よりもよりスキャンダルな仮説に飛びつく読者という存在。徒歩で歩いていた時代より、馬で走っていた時代より、今は何倍も速く移動することができるけれど、では、何倍も幸せになっているのか?否。却って身も心もすり減らしているではないか、と。結局何も解決することなく、現在に繋がっている事にがっかり。★★★★☆
読了日:08月27日 著者:山本 夏彦

アウトランダー 時の旅人クレア 2 (ハヤカワ文庫NV)アウトランダー 時の旅人クレア 2 (ハヤカワ文庫NV)感想
ロマンス小説の醍醐味とは、互いの言動の真意を掴めず、すれ違ってしまう恋心の妙だと思うのですが、この作品はとにかくジェイミーがクレアにメロメロすぎて物足りない。クレア自身も、フランクへの思いが残っていると言いながら、読んでいる限りでは100%ジェイミーに気持ちも身体も向いている。恋のドキドキハラハラがない分、イングランド兵に捕らわれたり、魔女裁判にかけられたりするのだけど…。正直読み進めているうちにうんざりしてきた。でも、魔女裁判からのゲイリーの正体。え?彼女みたいな人がほかにもいるかもしれないの?★★★★☆
読了日:08月30日 著者:ダイアナ ガバルドン

九重家献立暦 (講談社タイガ)九重家献立暦 (講談社タイガ)感想
生まれた時から父がおらず、地方の旧家である母の実家で、母の養母と母の三人で暮らしていた茜。小学校の卒業式の日、母は男と駆け落ちをした。そんなこともあり、茜は人との付き合い方が苦手だ。笑顔の少ない、ぶっきらぼうな、言葉足らずの茜。そんなわけで就活に失敗し、帰りたくない故郷に帰ってみると、母の駆け落ち相手の息子がそこにいた。母に(仁木くんは父に)捨てられたという事実と、それに伴う心の痛み。親にすら捨てられてしまう自分への、強い自己否定。彼らの痛みが辛くて、せっかくの趣深い行事や料理がかすんでしまった。残念。★★★★☆
読了日:08月31日 著者:白川 紺子


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