早いもので1年ももう6分の1が過ぎてしまいました。(げっ、本当に早い)
ひと月以上滞在した娘も東京へ戻り、夫婦二人の静かな生活が戻…らないんだな、これが。
ますます実家とのあれこれが大変になってきて、休暇の減りが早い早い。
3月中に母の居場所が見つかるでしょうか。

さて、先月は21冊の読了に対して6冊の★5つ、5冊の★3つ。
情緒不安定ですね。
先に★3つについて述べると、作品が駄作だというわけではなく、私には合わなかった、ということです。
世間的評価の高い本でも、自分が面白く読めなかったら★は3つです。
もしかすると私の体調のせいかもしれませんし、気分の問題かもしれませんので、あまり私の評価は真に受けないでくださいね。

と言いつつ、★5つについて。(情緒不安定だな)
塩野七生の『ローマ人の物語』。
これはシリーズに対しての★5つです。
やっぱりローマが元気だった前半の方が圧倒的におもしろいのですが、後半は後半で知らなかったことをずいぶん知ることができましたし、どんな時も人材はいるということがわかりました。
人材を活かせないのが、凋落している証拠って感じです。

『ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険』
辞書が好きだから、辞書を作ることの裏話的な部分が単純におもしろかったです。
言葉って、普段意味を意識しないで使っているようなものほど、奥が深くて素敵。
そして言葉ってまさしく文化なのよね。
深掘りしがいのある分野です。

『建築探偵日記』
どちらかと言うと間取り図が好きなのですが、ウォーキングしている時に立ち並ぶ家々を見るのも好きです。
その時々の流行りの外壁や、窓のつけ方、サッシの色などを見ながら歩くのは楽しい。
建築探偵みたいに、建物について歴史的に探ってみるのは楽しいだろうなあと思いました。

『これが鳥獣戯画でござる』
面白かった。家に一冊欲しいくらい。
そして原画展があったら是非行きたいと思います。

『三国志 第一巻』宮城谷昌光。
できる限り史実に忠実な宮城谷三国志。
全然知らない時代の知らない人からスタートしたけれど、面白くってページを繰る手が止まりません。
久しぶりに物語の方から強く呼び込まれてしまいました。

『かがみの孤城』辻村深月。
傷ついた子どもたちがメインの小説は、読むのが辛いことが多いのですが、この作品はずっと作者が「大丈夫だよ」と寄り添っているように感じました。
だから最終的に現実を変えていくのは本人たちの力なのです。
でも、寄り添ってさせてくれる人がいる。
そこがいいなあと思いました。





2月の読書メーター
読んだ本の数:21
読んだページ数:6573
ナイス数:672


我らが少女A我らが少女A感想
若い女性が同棲相手に殴り殺される。犯人はすぐに自首し、事件はそれで終わるはずだった。だが、被害者が12年前起った未解決の殺人事件の関係者だったため、止まっていた時間、あるいは薄れかけていた記憶が再び蘇る。さて、否応もなく事件の関係者になった人たちの視点で語られる事件は、一向に進展しない。何しろ12年も前のことだし、ひとりの人間が知っていることなんてそもそもそれほどないのだから。しかし、昔と違って今はSNSの向こうから簡単に過去が現れることがある。怖い、そして寂しい時代だなあと思う。★★★★☆
読了日:02月01日 著者:髙村 薫

ちょー火祭り (ちょーシリーズ) (コバルト文庫)ちょー火祭り (ちょーシリーズ) (コバルト文庫)感想
前巻に続いて感想が特になし。っていうか、急速に物語に対する興味が失われていくのを感じる。やっぱりこのような本を読むのに適して年齢ってのから逸脱しているからかな。なによりも、殺されるために誘拐されたオニキスのパートが全然進まないので、間延び感がハンパない。みんなそれぞれ自分の置かれた場所で最善を尽しているはずだけれど、分散し過ぎちゃったから誰が何をやってもチョビっとしか進展しないのよ。とりあえずレフーラ編の顚末は見届けるとして、その先はどうするかなあ…。★★★☆☆
読了日:02月02日 著者:野梨原 花南

ローマ人の物語 (43) ローマ世界の終焉(下) (新潮文庫)ローマ人の物語 (43) ローマ世界の終焉(下) (新潮文庫)感想
長い長いローマ人の物語も、ついに最後の巻となってしまった。舞台こそ現在のイタリア半島だけれど、そこで争っているのはローマ人ではない。残ったのはただ、ローマ人が作った法律のみっていうのが、いかにもローマ人らしくて笑ってしまうが、現代にも残るローマの法の精神は、もしかするとローマ帝国の熾火なのかもしれない。他者への寛容を捨て去った時点で私の中のローマ帝国は終わったのだけれど、著者も東ローマ帝国のことはローマ人の物語とは別物と思っているのがあからさまで、心の中でがっちりと握手する。★★★★★
読了日:02月03日 著者:塩野 七生

おしゃれ手帖 Cahier de la Mode (朝日文庫)おしゃれ手帖 Cahier de la Mode (朝日文庫)感想
私自身は全然おしゃれじゃないのですが、おしゃれな人が書く極上の文章を読みたくて。ピチカート・ファイヴが全盛だったとき、子育て真っ最中だった私は、童謡以外の音楽をほとんど聞くことはなかったのですが、さすがに彼らのヒット曲は知っていました。すごいな。私としてはファッションより音楽の変遷が面白かったです。でも、全くの苦手分野であるファッションの話も、面白く読ませる力のある文章でした。年をとっても好きな服を着ていいんだって。私の好きな服ってどんなのだろう。そこからまず考えてみよう。★★★★☆
読了日:02月04日 著者:野宮 真貴

あるき太郎―武井武雄画噺〈1〉 (武井武雄画噺 (1))あるき太郎―武井武雄画噺〈1〉 (武井武雄画噺 (1))感想
小学校に入る前だったと思います。知り合いの家から古い子どもの絵本雑誌を沢山いただいたことがありました。「キンダーブック」という名前は覚えています。そして、武井武雄の名前も。怖かったんですよ、絵が。今時のかわいらしい絵ではなくて、妙に眼つきが怖かった。壁にかけられたあやつり人形の表情の無さと手足の細さが、本当に怖かった。あるき太郎、100ページ中80ページは歩いていません。乗り物に乗っています。その後健康のために歩くのですが…。オチがどこかで聞いたことがあるようなのは、ご愛敬。★★★★☆
読了日:02月05日 著者:武井 武雄

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)感想
やっぱり恋愛小説ってよくわからない。下手をすると腹が立ってきてしまう。主人公の葵は、生活の大半を恋人のマーヴにぶら下がっておきながら、心の中の優先順位は順正が上なのね。ずっと。それはマーヴに対して不誠実なのではないかと私は思うのだけど。生活費が対等ならまだしも、養われている状態なわけじゃないか。うん、不誠実。それから、最後の方に出て来る順正の行動も、「え?」ってなった。それって不誠実とは言わないの?運命の恋人っていう設定に酔ってるふたりとしか思えませんでした。はた迷惑。以上、恋愛オンチのたわごとでした。★★★☆☆
読了日:02月07日 著者:江國 香織

ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険感想
辞書が好きなので、憧れをもってワクワクと読み始めました。三浦しをんの小説『舟を編む』でも、主人公たちは大変だけどやりがいがあり、楽しそうに辞書の編纂をしていたではありませんか。しかし、事実は小説よりよほどハードだし、お国柄なんでしょうか、自分の意見と違うものが記載されると抗議のメールが信じられないくらい大量にくるようです。例えば、汚い言葉が掲載され、語釈が書いてあると、「子どもがこれを読んで汚い言葉を覚えたらどうするのか!」って。語釈は社会の変化を敏感に反映しているらしい。もっと真剣に辞書を読もう。★★★★★
読了日:02月09日 著者:コーリー・スタンパー

先生はえらい (ちくまプリマー新書)先生はえらい (ちくまプリマー新書)感想
尊敬できるような先生に出会えないのは、先生が悪いのではなく、漫然とえらい先生の出現を待っている自分が悪いのだと内田センセイはおっしゃる。どんなに先生が素晴らしいことをおっしゃっても、聞く気のない人の耳にその言葉は届かない。逆に先生が何の気なしに言ったことが、人生を変えることだってある(かもしれない)。万人向けの言葉の中に大切な言葉はない。たった一人の自分のために言われた言葉だから価値があるのだ。恋愛しかり。「わかりやすい=誰にでもわかる」よりも「自分にしかわからない良さ」が、ポイントなんだって。★★★★☆
読了日:02月10日 著者:内田 樹

熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
最初から、最後は破滅で終わるのだろうと思っていた。だけど、彼らは本当に成功し続けた強盗だったのか?確かに警察に尻尾は掴ませなかったが、いつも目標を下回る金額しか奪うことができなかった。そのことについてレオは一度でも考えたことがあるのだろうか。そしてレオは、家族は一致団結するのが当然と考えていたけれど、レオと弟たちは団結していたが、最初から一致なんてしていなかった。レオにはそれが見えていなかった。たった10歳の子どもがどうやって家族を守ることができるのか。父のとおりにふるまうしかないではないか。★★★★☆
読了日:02月12日 著者:アンデシュ・ルースルンド,ステファン・トゥンベリ

建築探偵日記―東京物語建築探偵日記―東京物語感想
この本、昭和の終わりから平成の初めにかけて東京都の発行するコミュニティ誌に連載され、30年ほど前に書籍化された本なのだけど、書籍情報が全く見つからなかったことに驚愕。内容としては、都内に点在する明治期の建物について、その建物がどのように建てられたか、とか、なぜこのような様式なのか、とか、ここに住んでいた人たちの生活の工夫が建物にどう残っているか、とか、失われつつある明治期の建物について書かれたもの。その本の書籍情報が失われているとは…。江戸東京たてもの園の存在を知ったので、いつか必ず行ってみたいと思う。★★★★★
読了日:02月13日 著者:藤森 照信

これが鳥獣戯画でござる: 小学館あーとぶっく ニッポンのわらいの原点これが鳥獣戯画でござる: 小学館あーとぶっく ニッポンのわらいの原点感想
鳥獣戯画のかわいらしい絵が好きなので、図書館で見かけてすぐに手に取った。そして知る。わたしの知ってた「鳥獣戯画」は、甲乙丙丁にわかれた4巻本の「甲」の部分だけであったと。有名なうさぎとカエルの相撲対決のほか、水遊びや弓対決、カエル殺人事件(?)、動物たちの仏事・宮廷行事などが描かれているのが「甲」。動物図鑑のような「乙」。遊びの解説書「丙」。ギャグマンガ?「丁」。見どころをアップにしたり、丁寧な解説があったりと、とても分かりやすく面白い。そして、私が好きなのは「鳥獣戯画」の「甲」巻だ。それがよく分かった。★★★★★
読了日:02月14日 著者:結城 昌子

ちょー企画本 (ちょーシリーズ) (コバルト文庫)ちょー企画本 (ちょーシリーズ) (コバルト文庫)感想
タイトル通り、企画本でした。がっくし。進行中のストーリー無視して企画本か…。なんだろう同人誌臭が甚だしいんだよな。例えば同じくハマれなかったシリーズとして、『おいしいコーヒーのいれ方』があるけれど、これは私がハマれなかっただけで、作品としては外に開いていた。けれどこの「ちょー」シリーズは、ついてきている人にだけしか扉を開けていないように、作品が進むごとに感じてしまう。その際たるものがこの企画本。そりゃそうだよ、ファンブックなんだからさ。それは私もわかるけど、全体にクオリティが低いのよ。辛口ごめん。★★★☆☆
読了日:02月15日 著者:野梨原 花南

三国志 第一巻 (文春文庫)三国志 第一巻 (文春文庫)感想
いや、もう、面白かったのなんのって、久しぶりに手を引っ張られる勢いで物語世界に引きずり込まれました。普通の三国志は、人心がすさみ食べる物にも事欠くような世の中で黄巾の乱が起こり、それを憂いた劉備と関羽と張飛が桃の木の下で兄弟の契りを結ぶところから始まるのですが、この本は違う。少し前の時代から始まることによって、時代の背景が明確になり、何年とか誰がとかの個別のことはさておき、流れがつかめるようになります。知ってる三国志はまだまだ遠いけど、続きを読むのがとても楽しみ。★★★★★
読了日:02月16日 著者:宮城谷 昌光

冷静と情熱のあいだ Blu (角川文庫)冷静と情熱のあいだ Blu (角川文庫)感想
なるほど、なるほど。似たもの同士ってわけですね、あおいと順正は。今付き合っている目の前の人ではなく、とっくに別れたはずの人を心の一番奥に大事に抱えている。忘れられない人があるのはしょうがない。折に触れ思い出すこともあるでしょう。だけど、現実の生活を楽しむのと同時に、過去の恋人の思い出もずっと新鮮なままだよね。それは、付き合っている相手に失礼じゃないのだろうか。まあ多分、世界は二人のためにあるのでしょう。だってほかの登場人物たち、みんなあおいや順正に都合のいいことしかしてないもの。恋愛小説ってこういうもの?★★★☆☆
読了日:02月17日 著者:辻 仁成

ドレスコードのすすめ―おしゃれ手帖〈part2〉ドレスコードのすすめ―おしゃれ手帖〈part2〉感想
今回は『ドレスコードのすすめ』となっていますが、むしろ『セルフ・ドレスコードのすすめ』といった方が良い内容です。ドレスコードなんて世間が決めることではなくて、自分が決めること。しかし、読み進めてちょっと違和感が…。いつも流行の真ん中で自分らしさを謳っていたのが野宮真貴だと思うのですが、ちょっとセレブ感が鼻につくようになってきたかも。今でいうインフルエンサーだったのだから、もうちょっと地に足付けて本を書いてほしかったです。★★★☆☆
読了日:02月18日 著者:野宮 真貴

鏡花短篇集 (岩波文庫)鏡花短篇集 (岩波文庫)感想
小説と短い紀行文が収められている。やはり鏡花といえば、この世ならざる物の気配を感じさせる小説を期待してしまうので、正直紀行文か…と思わないでもなかったけれど、意外やこれが興深く読めた。『二、三羽――十二、三羽』の雀たちの様子や、『若菜のうち』の、香樹にかぶりつく幼子の姿など、小さきものへのまなざしの優しさや描写の繊細さに、なんだかホロリとしてしまった。★★★★☆
読了日:02月21日 著者:泉 鏡花

黒塚 KUROZUKA (集英社文庫)黒塚 KUROZUKA (集英社文庫)感想
いくつもの時代、九郎坊と思しき男と黒蜜と思しき女は正体のわからない追手から逃げ続ける。いつも九郎坊は記憶をなくしており、黒蜜と思しき女が介護をしながら敵と戦うのだが、いつしか九郎坊と黒蜜は離れ離れになってしまう。記憶はないまま黒蜜を探す九郎坊。なぜ彼には記憶がないのか。なぜ黒蜜は姿を消したのか。それだけの話なんですが、とにかく続きを読みたくて、真相を知りたくて本を置くことができません。高校生の頃に読んだSFのあれこれを思い出してしまって、テンションぶち上げです。長いこと生きてると、こんな読書もありですね。★★★★☆
読了日:02月22日 著者:夢枕 獏

絶対猫から動かない絶対猫から動かない感想
もはや新井素子の作品のほとんどが、読者を選ぶものになってしまっているのではないかと心配になる。日向ぼっこしながらぬくぬく居眠りをしている猫のような日常に憧れる。だけど、現実はそんな日常からは遠く…。「いつか猫になる日までは頑張ってみるけど、理想は猫の生活だから」という20代。「いつか猫になれたなら、絶対猫からは動いてやんない。だけど今はまだ猫に慣れてないから、人間として頑張る」のが50代。多分猫の生活ができる人は年齢に関係なく猫になれる。猫の生活に憧れる人は一生猫にはなれない。30年を経て、そう思う。★★★★☆
読了日:02月24日 著者:新井 素子

かがみの孤城かがみの孤城感想
ポプラ社=子供向けの本の出版社という先入観で読むと、痛い目に遭う。主人公の安西こころは中一だけど、5月現在学校に行っていない。行けていない。ある日部屋の鏡が光って、鏡の中に吸い込まれると、そこはお城の中だった。という、ある意味子供だましのような設定ですが、真っ当な子どもは子供だましには騙されないのです。辛い思いをしている子どもたちにとってこの本が城であり、喜多嶋先生になればいい。だからこの本を、図書館のヤングアダルトのコーナーにおいてほしい。難しい本じゃないんだよ。だけど、子供だましの本でもないんだから。★★★★★
読了日:02月26日 著者:辻村 深月

ふたつめの月ふたつめの月感想
主人公の久里子は、ようやく契約社員から正社員になったと思ったら、たった2ヶ月で首になる。彼氏とも言えない、片想いというのも微妙な間柄の男性は、現在イタリアで調理師修行中で、最低でも一年は帰ってこない。なんだかいろんなことが手詰まりで、辛くて、もやもやする。そんななか、以前バイトしていたファミレスの常連客だった老人と再会し、悩みを相談しながら日常の謎を解いていく。日常の謎は、割と簡単に解けるのだけど、面白いのが途中から話に加わってくる明日香だ。彼女の存在から久里子の成長が浮かびあがる。いいね。★★★★☆
読了日:02月27日 著者:近藤 史恵

ちょー魔王(上) (ちょーシリーズ) (コバルト文庫)ちょー魔王(上) (ちょーシリーズ) (コバルト文庫)感想
もう全然登場人物の名前がわからない。メインの人物ならまあわかるけど、準レギュラークラスになると一瞬「誰だっけ?」ってなって、レフーラ編から登場の人に至っては「誰それ?」ってなる。脳の活性化にはいいのかもしれないけれど、この私の努力に比して、ストーリーの進まなさよ。理性は「もうリタイアしろよ」って言うんだけれど、感情が「せっかくここまで頑張ったのにもったいない」って言うの。次の巻までには心を決めなければ…。★★★★☆
読了日:02月28日 著者:野梨原 花南


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