ゴールデンウィーク明けから図書館が休館になってしまった札幌。
なので、「このミステリーがすごい!」以降の本は自前の本ということになります。
自前の本だとどうしても読むペースが上がらないのですが、21冊とはまあまあ頑張って読んだほうではないでしょうか。
休館が延長になってしまったので、まだしばらくは自前の本でしのがなければなりません。
ここ数年、入院するたびに未読の本を減らしてきました。
そろそろ底をつくか?
未読の単行本及び文庫本があと30冊くらい、世界文学全集はあと5冊くらい、日本文学全集は手つかずなので30冊くらい。
うん、まだ大丈夫。
さて、★5つは4冊。
『教団X』は好き嫌いが分かれる作品だと思うけど、私は面白かった。
とにかく教祖の語る奇妙な話が、うさん臭いんだけど妙な説得力があって。
宗教、哲学、この世の理が、ダムの決壊のように押し寄せてきて、その流れに身をまかせながら読む本書が本当に楽しかった。
『すて猫カテキン』は、とにかくカテキンの愛くるしさに尽きる。
『フレドリック・ブラウンSF短編全集』は、何度も何度も読んだ作品ばかりなのに、読んでも読んでもわくわくできる。
うん、うん、これよ。これなのよ~。と、深く頷きながら幸せな読書。
『戸村飯店青春100連発』は、正直言って瀬尾まいこの最高傑作ではないけれど、でも面白いんだもの。
こてこての大阪。
正反対の兄弟。
真面目に軽やか。
青春だよね~。
5月の読書メーター
読んだ本の数:32
読んだページ数:8445
ナイス数:834
教団X (集英社文庫)の感想
これは面白かった。第一部は。惜しむらくは性描写がくどいこと。でも、とにかく名前のない宗教団体の教祖、松尾の語る奇妙な話が面白い。ブッダはただ思索するだけで、細心の脳理論、さらには量子力学がいうところのものと同じ結論に達していると、松尾は言う。無限と有限、光と闇、物質と反物質。相対するものが最初から用意されていることの意味とは。なんてことを読むのが本当に楽しくて、楽しくて。だから第二部になって、相変わらず過剰な性描写に辟易しながらも読み進めていくうちにテロと公安の話が挟まってきて、ちょっと減速したかな。★★★★★
読了日:05月01日 著者:中村 文則
花よりも花の如く 第11巻 (花とゆめCOMICS)の感想
私からすると十分「能」の家に育っていると思うけど、内弟子になったことがなく、同居家族も能とは無関係の家に育ったことに軽くコンプレックスを感じる憲人。酔った勢いで深夜の高尾山で迷子になり、盲目の鍼灸師県バイオリニストの武内望と知り合いになる。弱法師という盲目の人物を演じる予定の憲人は、彼の存在を通して解釈を深めていく。「年を取るというのはマトリョーシカみたいなものでねえ。20歳の自分も5歳の自分も中にいるんだよ」とはゴッホ先生の至言。
読了日:05月02日 著者:成田 美名子
花よりも花の如く 12 (花とゆめCOMICS)の感想
この巻から表紙のデザインが変わりましたね。絵の部分が大きくなってステキです。さて、青森公演の後、父方の本家である神社の祭りで弓を引くことになった憲人。そこで丑の刻参りをするゴスロリの少女と出会う。彼女が誰を呪っているのか。憲人の能教室の生徒になった彼女を気に掛ける憲人。それをおせっかいと言ってしまうのは簡単だけど、何かをせずにいられない憲人の思いは、決して自己満足ではない。いつも誰かのために走り回ることになってしまう憲人だけれど、遂に葉月に告白する。きゃあ~。
読了日:05月02日 著者:成田美名子
ローマ人の物語 (29) 終わりの始まり(上) (新潮文庫)の感想
ハドリアヌスはその治世のほとんどの期間帝国の辺境を視察し、地域の、組織の、インフラの問題を徹底的に洗い出し、解決しまくった。ところがアントニヌス・ピウスは、事前に手を打つという必要性を理解しない人だった。そして、次の皇帝にするはずのマルクス・アウレリウスを手元に置いて、辺境に行ったり軍隊を指揮したりの経験をさせなかった。マルクス・アウレリウスは素直で賢くて努力家なので(子どもか?)、最終的には何とかなった。だから賢帝と呼ばれたのだろう。だけど、ラッキーは続かない。そこからローマ帝国の終わりがはじまった。★★★★☆
読了日:05月04日 著者:塩野 七生
すて猫カテキンの感想
2001年9月12日、マンハッタンのツインタワーが崩れていく映像が繰り返し流されたその朝、小さな公園の植え込みに半分埋もれて、まだ目も空いていない子猫が2匹鳴いていた。そのうちのカテキンは、ゼイゼイと音のする呼吸をし、薄い鼻水でいつも鼻が濡れていた。だけど突然死んでしまったのは、リコピンの方だった。著者はひとり残されたカテキンを気遣い、今まで以上に注意深く世話をしたので、カテキンは元気になった。そして著者や同居の猫たちに甘えたり、イタズラしたりして成長していく。とにかく、子猫の可愛さったら無敵です。★★★★★
読了日:05月05日 著者:新美 敬子
流転の海 第3部 血脈の火 (新潮文庫)の感想
第三部に入っても、面白さの勢いは止まらない。一度読み始めると、読み止めるのが本当に難しい。なににそんなに引きつけられるのだろうなあ。大きなストーリーのうねりに身をまかせながら、熊吾の生き様を眺めているのが心地よい。熊吾は小学校低学年の伸仁に麻雀を教えたり、競馬を教えたり、キャバレーに連れていったりと、親としては相当破天荒なことをしてのけるけれど、嘘をついたり弱いものをいじめたりなどをさせないことは徹底している。小説を読む楽しみを、存分に味わえた一冊。子どもの頃の読書はいつもこんな感じだったよなあ。★★★★☆
読了日:05月06日 著者:宮本 輝
おいしいコーヒーのいれ方 (9) 聞きたい言葉 (集英社文庫)の感想
今回は今までよりは格段に良かった。かれんの出生の秘密は家族で共有され、秘密でなくなったからだ。かれんが自分の足で立ち、自分の力で生きていこうとするとき、下手に止めようとしなかった勝利はえらい。内心でいろいろ思うところはあったにせよ。だって東京と鴨川でしょ?それほど遠距離とは思えないんだけどなあ。★★★★☆
読了日:05月08日 著者:村山 由佳
花よりも花の如く 13 (花とゆめCOMICS)の感想
前巻で葉月に告白した憲人だったけど、その後なんだかぎくしゃくした関係になってしまう。しかし、ドラマの参考に一ノ谷へ向かうと、まさかのリフトでのすれ違い。これはもう運命だと思うんだけどな。そして明石でも…。私も明石に行ったとき月曜だったので、憲人の無念はよくわかる。駅のホームで子午線またいで我慢したけど。ようやく葉月と気持ちが繋がったけど、その時憲人は気づく。葉月は過去にストーカー被害になったことがあるのでは?と。
読了日:05月09日 著者:成田美名子
花よりも花の如く 14 (花とゆめCOMICS)の感想
ストーカー事件については解決。まあ、表面的には解決しても、トラウマにはなってしまうと思うけど。能にドラマに恋愛に、忙しすぎる憲人が「自分で自分を羽交い絞め」と思う気持ちはよくわかる。やらなければいけないことが多すぎて、しんどい気持ちは。けれど、準備をしないで行動することができない性格なのだもの。「問題点を見つけるのが準備ってものです」準備が整ったら、物語が一気に進みそう。
読了日:05月09日 著者:成田美名子
チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (塩野七生ルネサンス著作集)の感想
チェーザレ・ボルジアってどんな人なのかというと、ルネサンス期のローマ法王の息子です。ええと…ローマ法王って結婚が禁じられています。→なのに子ども。そしてチェーザレのお母さんは、人妻です。→もちろん法王の妻ではない。つまり、2重に罪の子なわけです。そんな彼が、イタリアを手中に収めようと戦いに明け暮れる半生。何を言っても推論でしかないけれども、私は、チェーザレは何か確固としたものが欲しかっただけなんじゃないかと思いました。事実パパが亡くなってからチェーザレの運が尽きるまでの速さよ。なんか切なくなりました。★★★★☆
読了日:05月11日 著者:塩野 七生
危険な弁護士 (上) (新潮文庫)の感想
主人公は”無頼の弁護士”セバスチャン・ラッド。とりわけ凶悪でスキャンダラスな事件の被告を弁護してばかりいるので、周囲はことごとく敵である。悪人を弁護する弁護士としてテレビや新聞に顔が出るので、善意の一般庶民から警察、裁判所も彼を見ると眉をしかめ、犯罪組織の暗部を知る男としてそちらからも命を狙われている。主人公は多数の考える正義のために罪に陥れられようとする被告を守るためには手段を問わない。特に腐った警察や判事には容赦ない。作者はよほど警察やアメリカの司法制度が嫌いなのではないだろうか。★★★★☆
読了日:05月13日 著者:ジョン グリシャム
火花 (文春文庫)の感想
本当におもしろいこと。混じりけのない、純粋な。それは自分の頭の中にしかないものだろうか。ストイックに笑いを究めようとする彼らは、まるで求道者のようで。けれど傍から見るとただの人生の落後者なのかもしれない。誰にも媚びずに全力で笑いと向き合う神谷を”僕は憧憬と嫉妬と僅かな侮蔑が入り混じった勘定で恐れながら愛するのである。”真面目で不器用で真剣だからこそ、傍から見ると滑稽で無様な神谷が、ずっと脳内では桐谷健太だった。笑いながら泣いているような目が、ありありと浮かんできてしまって、ちょっと泣けた。★★★★☆
読了日:05月14日 著者:又吉 直樹
妖怪アパートの幽雅な日常 3 (講談社文庫)の感想
前任の有名女子高で、女生徒たちにいじめられて引きこもりになった三浦。学生時代から勉強を重ねて教師になった三浦の、それは初めての挫折だった。”たとえば、なまじ頭がよくて勉強一筋で、友だちとの人間関係もなく、世の中への関心や反発もなく、自分だけの世界で過ごしてきた奴の中には、自分を作ることができずに、大人になってからダメになるのがいくらでもいるという。これは男も女も同じなんだと。”私達は人と人の間で生きていかねばならないわけで、そこで謙虚になれるかなれないかが人としての成長に差をつけるのかもしれない。★★★★☆
読了日:05月15日 著者:香月 日輪
花よりも花の如く 15 (花とゆめCOMICS)の感想
お遍路編終了。好きな人が、東京で生きづらそうだったから「地元に戻ってきたら」と言ったら、戻ってくる途中の事故で亡くなってしまう。自分のせいだと自分を責めるのはとてもつらいことだけれど、時を止めて喪失の辛さから自分を守っているともいえる。掛け違ってしまった思い。それは能「清経」の中にもあり、憲人と葉月との間にもある。能との向き合い方は出来ているけれど、葉月との向き合い方が居間だ不器用な憲人。というか、他の物事にも誠実に向き合いすぎ。そこが彼のいいところでもあるんだけどね。
読了日:05月16日 著者:成田美名子
花よりも花の如く 16 (花とゆめCOMICS)の感想
ゴミ屋敷編終了。まだ使える物を捨てられない。気持ちはわかるけれど常識の範囲ってあると思う。では、常識と非常識のラインはどこに?それは紙一重なのではないかとじいさんは言う。とは言えじいさんは神職なので、清潔第一だからゴミ屋敷になりようがないけれど。物に対する愛着は、実は過去に対する執着なのではないか。未来に向けるまなざしがあれば…とは、我が母にも言えるので、他人事とは思えなかった。スピンオフとして楽の話。人の気持ちが見えるからこその楽の人との距離の取り方。でも、ぶつからなければ進めない時もきっと来ると思う。
読了日:05月16日 著者:成田美名子
一路(上)の感想
不幸の上に不幸と不幸が襲う小野寺一路19歳。さらに本人の知らなかった不幸が次々明かされ…。文武に秀でているとはいえ、参勤交代など初めての一路が御供頭としてそれを差配しなければならない。唯一の部下もまた、初めての参勤交代。参勤交代で不始末を仕出かしてしまえば、一路が切腹してお家断絶するだけではなく、お殿様にもその火の粉が降りかかることになる。という、がけっぷち道中でありながら、ちゃんとした道中記になっていて、さらにはぷっと噴いてしまう愉快なやりとりがあり、家臣たちの矜持が熱く、めっぽう面白くってならない。★★★★☆
読了日:05月16日 著者:浅田 次郎
本と鍵の季節の感想
高校の図書委員男子二人が主人公。『本と鍵の季節』って、本と鍵が作品内にしれっと出てくるからかあ、なんて思っていたら、起承転結の転でとんでもないことになりました。まさしく”本と鍵”。のっけから後味の悪かった「913」の謎が、ここにきて効いてくる。一線を超えてしまうのか。背に腹は代えられない。でも、信じてくれる人がいるのだから、歯を食いしばって踏みとどまって欲しい。友は図書館で待っているのだから。続編が出るらしいけれど、これはこれできれいな終わり方だと思いましたよ。まあ、続編が出るなら読みますが。★★★★☆
読了日:05月17日 著者:米澤 穂信
このミステリーがすごい! 2021年版の感想
年末に買ったのに、ようやく読み終わりました。特集の『名探偵コナン』と『伊坂幸太郎』目当てで買ったのですが、特集記事少なっ!それにしても、ミステリファンのミステリに対する深い思いと深い知識。特定のジャンルに詳しいなんてことのない私には、とても羨ましい。「これに関しては人後に落ちない」と思える何かがないからなあ。今年は少しミステリを読んでみようかな、と思えるくらいの熱量は受け取りました。頑張ります。★★★★☆
読了日:05月18日 著者:
フレドリック・ブラウンSF短編全集1 星ねずみの感想
高校生のころにそろえたフレドリック・ブラウンの本の数々。毎年毎年必ず再読したものだ。一度と言わず二度も三度も。何度も読んでいるから、ストーリーはもちろん分かっている。「そうそう、ここの展開がいいんだよね」とか「このオチ最高」なんて思いながら読んでいる。多分小さな子どもが何度も同じ絵本を読んで満足するのと同じ。で、今回もまた立派な装丁で、読みやすいサイズの文字のこの本を存分に楽しめたのですが…タイトルが一部変わっている。だけど、「ミミズ天使」は絶対「ミミズ天使」であって、「天使ミミズ」ではダメなんだ。絶対。★★★★★
読了日:05月19日 著者:フレドリック・ブラウン
天を測るの感想
この本を書くに至った経緯はわからないけれど、多分小野友五郎の生き方に感銘を受けたのだろう。だからなのか歴史小説として読むとあまりに一面的に過ぎてびっくりした。小野に近しい人は善人で能力高し。そうでなければ口ばっかりの役立たず扱いか、全くの無視。会話も平板で、同僚と話しても妻と話しても同じ口調。作品後半はそれも相まって、ただの史実の羅列にしか感じられなかった。作者の経歴を見たら北海道出身なのね。だからなのか、作中にほんの少しだけ荒井郁之助が登場。戊辰戦争で奮戦し、後、開拓使として北海道で測量をした人。★★★☆☆
読了日:05月20日 著者:今野 敏
パパと親父のウチ呑み 1 (BUNCH COMICS)の感想
『花よりも花の如く』の17巻が借りられていたので、急遽2冊くらいで終わるマンガを物色。これはネットで読んだことのある『パパと親父のウチご飯』のスピンオフで、同居するシングルファーザー2人が、子どもたちを寝かせた後に飲む時の酒のアテつくり。子どもたちと晩ご飯を食べた後の飲みなので、基本一品。ナッツの燻製は作ってみたい。ついでにチーズも一緒に。娘がいた頃は「まぐろアボカドユッケ」よく作ったけど、久しぶりに作るか。
読了日:05月23日 著者:豊田悠
パパと親父のウチ呑み 2 (BUNCH COMICS)の感想
お店で飲むのもいいんだけど、家で、あるものを使って、自分好みの味付けでアテを作って飲むというのが一番好き。基本ひきこもり体質なので。山芋の明太マヨピザは簡単だしおいしそう。今度作ろう。スペアリブの煮込みは、子どもたちがいた頃は冬の定番だったけど、夏でもよさそうな気がしてきたぞ。だけど、晩ご飯食べた後のスペアリブは、ちょっとやばいよね。蓮根まんじゅうも美味しいけど、手間がかかるんだよなあ。
読了日:05月23日 著者:豊田 悠
旨いものはうまい (グルメ文庫)の感想
日々忙しく外で働く男性陣のために、一日六食主義を採用すべきであるとおっしゃる健一氏は、今ならば即離婚ですな。朝食を早めに食べて、10時に食べ、昼食を食べて、三時のおやつ(鱒鮨とかローストビーフを食わせろと言っているが)を食べ、晩ご飯を食べて、夜食を食べる。なぜ太らん、吉田健一。”お上品はいいことだというのが疑問で、古今東西、現在から未来に掛けてまで、お上品が他人に愉快な印象を与へるといふことはあり得ない。これは自分に対する気どりにすぎない”だからたくさん食わせろと言っているのだが。そして酒は必須。★★★★☆
読了日:05月23日 著者:吉田 健一
じんかんの感想
いやいや、面白かったです。大体どんな本を読んでも稀代の悪人と言われる松永久秀が、これほどまでに情の濃い熱い男として書かれるとは。そして、その書かれ方にすっかり納得できてしまうとは。帯を読むと松永久秀の話のはずなのに、人物紹介の中にその名前がない。最初の100ページは、たよるべき大人のいない子どもたちの話だ。戦国時代、何一つ悪いことをしなくても、たやすく命が喪われていく。神は、仏は何をしているのか。一番の不思議は彼が二度も織田信長を裏切ったことだ。一体何を考えているのか。その答えがこの作品にある。熱い。★★★★☆
読了日:05月25日 著者:今村 翔吾
学業から芸能、スポーツまで上達・合格祈願 「学問の神様」徹底ガイド (双葉文庫)の感想
実は日本にはたくさんの学問の神様がいらしたのですね。あまりにたくさんすぎて全然覚えられないけれど、逆にたいていの有名な神様は学問の分野でもありがたいご利益があるのかもしれません。しかしこの本に紹介されている神様の、大半は元人間。偉大な功績があった人や、激しく祟る人などが神様として祀られる。いつか、「古事記」や「日本書紀」の中に生き生きと描かれている神様たちの姿も読んでみたいものです。★★★★☆
読了日:05月26日 著者:戸部 民夫
有頂天家族 二代目の帰朝 (幻冬舎文庫)の感想
二代目が帰朝した理由については最初から予想がついたけど、では帰朝して何がしたかったのか。二代目も弁天も、結局は赤玉先生のせいで人生を狂わされたわけで、赤玉先生の罪は大きいと思うなあ。いつもこ憎たらしい弁天も、今回の最後はちょっとかわいそうだったよねえ。三部作らしいので、最後はハッピーになってほしいと思う。そして、私が一番怖いのが寿老人。ただの人間のはずなのに、なんであんなにすごいの?生まれ変わったら狸になって、幸福な毛玉としての狸生を送りたいです。★★★★☆
読了日:05月28日 著者:森見 登美彦
戸村飯店 青春100連発 (文春文庫)の感想
男同士の兄弟って、こういう感じなのだろうか。自分にないものを相手の中に見つけ、それがコンプレックスとして心にしこる。同じ出来事でもヘイスケの視点とコウスケの視点では、見え方が違う。一目置かれる長男と、可愛がられる次男。長男には長男の言い分があって、悩みや屈託があって、次男には次男の言い分があって、悩みや屈託がある。だから、若い人にはこの本を読んで、大笑いしながら悩み事を吹っ飛ばし、ついでに自分をみつめ直してほしいと思いました。瀬尾まいこ作品にしては珍しく、血のつながった父の存在感が大。★★★★★
読了日:05月29日 著者:瀬尾 まいこ
特等添乗員αの難事件 I (あすかコミックスDX)の感想
初読みのマンガ家でしたが、原作者が有名なので読んでみました。少女マンガと思ってページを開くと、黒っ!ベタとトーンの多用で、ホラーマンガかと思うくらい黒い。ロジカルシンキング(垂直思考)ではなくラテラルシンキング(水平思考)で謎を解くミステリ。常識を超えた発想が大事だとはいえ、一般常識がなさすぎなヒロインに多少不安。添乗員を目指しながら47都道府県の県庁所在地がわからず、「興味ない!」って逆切れはどうなの?ミステリについては、今のところ初級レベル。
読了日:05月30日 著者:蒼崎 律
特等添乗員αの難事件 (2) (あすかコミックスDX)の感想
私の頭が悪いせいか、添乗員試験のときの絢奈の回答の意味が分からない。7人の乗客がいるって言っているのに、6人目の人を座らせた時点でまだ席が余ってますねと、1人目の人の膝に座っていた2人目を残る一つの席に座らせるって、解決じゃないんじゃない?だって7人目の人は座れてないよ。ここでもやってしまったので、あとの話が頭に入ってこない。添乗員にとって臨機応変な対応はもちろん大事だけれど、理屈で丸め込むのは違う。座れなかった7人目にきちんと謝るべき。それにしても展開速い話だな。
読了日:05月30日 著者:蒼崎 律
特等添乗員αの難事件 (3) (あすかコミックスDX)の感想
これからってところで終わってしまいましたね。それにしても、できのいい姉だけをひいきしてヒロインをあからさまに全否定する母親といい、何様のつもりか妹を全否定する姉といい、本人の目の前で「チートの得意な添乗員」と言い放つ国交省の官僚といい、随分と嫌なやつてんこ盛りだったと思います。よくこんな中で、まっすぐに育ってきましたね、絢奈。でも常識は身につけようね。
読了日:05月30日 著者:蒼崎 律
光 (集英社文庫)の感想
これはジャンルで言うとミステリなのかもしれないけれど、私にはホラーのように恐ろしかった。主要な人物の誰一人として真っ当ではない。ああ、何が恐ろしかったのかわかった。日常生活の中で、すぐ側にいる人が、自分を含む人間関係に何の関心も持たず、ただそこにいるだけっていうのが吉田修一の『パレード』を読んだ時みたいに気持ち悪くて怖かったんだ。タイトルは『光』だけど、最後のシーンを見ても信之たちに明るい未来の光が差し込んでくるようには思えなかった。最後に見せられたのは、あり得たかもしれない未来の光だったのかもしれない。★★★★☆
読了日:05月30日 著者:三浦 しをん
ドラえもん社会ワールド 地図のひみつ (ビッグ・コロタン)の感想
以前仕事で小中学生のための教材を作ったことがあり、そのための参考にと買った本。そのときは5年生までに習う漢字には読み仮名をつけないというルールで作ったけれど、この本はマンガがベースなので、全ての漢字に読み仮名がふってある。やっぱり子ども向けの本は、総ルビがいいと思うのよね。解説文はフレンドリーな文体で、必要事項を簡潔に書き記す。大事な事柄は多少難しくてもきちんと書く。知りたい子はわからないところを事典で調べることができる。総ルビなので。もう、教材を作ることなんてないけれど、この本は本当に参考になったなあ。★★★★☆
読了日:05月31日 著者:
読書メーター
なので、「このミステリーがすごい!」以降の本は自前の本ということになります。
自前の本だとどうしても読むペースが上がらないのですが、21冊とはまあまあ頑張って読んだほうではないでしょうか。
休館が延長になってしまったので、まだしばらくは自前の本でしのがなければなりません。
ここ数年、入院するたびに未読の本を減らしてきました。
そろそろ底をつくか?
未読の単行本及び文庫本があと30冊くらい、世界文学全集はあと5冊くらい、日本文学全集は手つかずなので30冊くらい。
うん、まだ大丈夫。
さて、★5つは4冊。
『教団X』は好き嫌いが分かれる作品だと思うけど、私は面白かった。
とにかく教祖の語る奇妙な話が、うさん臭いんだけど妙な説得力があって。
宗教、哲学、この世の理が、ダムの決壊のように押し寄せてきて、その流れに身をまかせながら読む本書が本当に楽しかった。
『すて猫カテキン』は、とにかくカテキンの愛くるしさに尽きる。
『フレドリック・ブラウンSF短編全集』は、何度も何度も読んだ作品ばかりなのに、読んでも読んでもわくわくできる。
うん、うん、これよ。これなのよ~。と、深く頷きながら幸せな読書。
『戸村飯店青春100連発』は、正直言って瀬尾まいこの最高傑作ではないけれど、でも面白いんだもの。
こてこての大阪。
正反対の兄弟。
真面目に軽やか。
青春だよね~。
5月の読書メーター
読んだ本の数:32
読んだページ数:8445
ナイス数:834

これは面白かった。第一部は。惜しむらくは性描写がくどいこと。でも、とにかく名前のない宗教団体の教祖、松尾の語る奇妙な話が面白い。ブッダはただ思索するだけで、細心の脳理論、さらには量子力学がいうところのものと同じ結論に達していると、松尾は言う。無限と有限、光と闇、物質と反物質。相対するものが最初から用意されていることの意味とは。なんてことを読むのが本当に楽しくて、楽しくて。だから第二部になって、相変わらず過剰な性描写に辟易しながらも読み進めていくうちにテロと公安の話が挟まってきて、ちょっと減速したかな。★★★★★
読了日:05月01日 著者:中村 文則

私からすると十分「能」の家に育っていると思うけど、内弟子になったことがなく、同居家族も能とは無関係の家に育ったことに軽くコンプレックスを感じる憲人。酔った勢いで深夜の高尾山で迷子になり、盲目の鍼灸師県バイオリニストの武内望と知り合いになる。弱法師という盲目の人物を演じる予定の憲人は、彼の存在を通して解釈を深めていく。「年を取るというのはマトリョーシカみたいなものでねえ。20歳の自分も5歳の自分も中にいるんだよ」とはゴッホ先生の至言。
読了日:05月02日 著者:成田 美名子

この巻から表紙のデザインが変わりましたね。絵の部分が大きくなってステキです。さて、青森公演の後、父方の本家である神社の祭りで弓を引くことになった憲人。そこで丑の刻参りをするゴスロリの少女と出会う。彼女が誰を呪っているのか。憲人の能教室の生徒になった彼女を気に掛ける憲人。それをおせっかいと言ってしまうのは簡単だけど、何かをせずにいられない憲人の思いは、決して自己満足ではない。いつも誰かのために走り回ることになってしまう憲人だけれど、遂に葉月に告白する。きゃあ~。
読了日:05月02日 著者:成田美名子

ハドリアヌスはその治世のほとんどの期間帝国の辺境を視察し、地域の、組織の、インフラの問題を徹底的に洗い出し、解決しまくった。ところがアントニヌス・ピウスは、事前に手を打つという必要性を理解しない人だった。そして、次の皇帝にするはずのマルクス・アウレリウスを手元に置いて、辺境に行ったり軍隊を指揮したりの経験をさせなかった。マルクス・アウレリウスは素直で賢くて努力家なので(子どもか?)、最終的には何とかなった。だから賢帝と呼ばれたのだろう。だけど、ラッキーは続かない。そこからローマ帝国の終わりがはじまった。★★★★☆
読了日:05月04日 著者:塩野 七生

2001年9月12日、マンハッタンのツインタワーが崩れていく映像が繰り返し流されたその朝、小さな公園の植え込みに半分埋もれて、まだ目も空いていない子猫が2匹鳴いていた。そのうちのカテキンは、ゼイゼイと音のする呼吸をし、薄い鼻水でいつも鼻が濡れていた。だけど突然死んでしまったのは、リコピンの方だった。著者はひとり残されたカテキンを気遣い、今まで以上に注意深く世話をしたので、カテキンは元気になった。そして著者や同居の猫たちに甘えたり、イタズラしたりして成長していく。とにかく、子猫の可愛さったら無敵です。★★★★★
読了日:05月05日 著者:新美 敬子

第三部に入っても、面白さの勢いは止まらない。一度読み始めると、読み止めるのが本当に難しい。なににそんなに引きつけられるのだろうなあ。大きなストーリーのうねりに身をまかせながら、熊吾の生き様を眺めているのが心地よい。熊吾は小学校低学年の伸仁に麻雀を教えたり、競馬を教えたり、キャバレーに連れていったりと、親としては相当破天荒なことをしてのけるけれど、嘘をついたり弱いものをいじめたりなどをさせないことは徹底している。小説を読む楽しみを、存分に味わえた一冊。子どもの頃の読書はいつもこんな感じだったよなあ。★★★★☆
読了日:05月06日 著者:宮本 輝

今回は今までよりは格段に良かった。かれんの出生の秘密は家族で共有され、秘密でなくなったからだ。かれんが自分の足で立ち、自分の力で生きていこうとするとき、下手に止めようとしなかった勝利はえらい。内心でいろいろ思うところはあったにせよ。だって東京と鴨川でしょ?それほど遠距離とは思えないんだけどなあ。★★★★☆
読了日:05月08日 著者:村山 由佳

前巻で葉月に告白した憲人だったけど、その後なんだかぎくしゃくした関係になってしまう。しかし、ドラマの参考に一ノ谷へ向かうと、まさかのリフトでのすれ違い。これはもう運命だと思うんだけどな。そして明石でも…。私も明石に行ったとき月曜だったので、憲人の無念はよくわかる。駅のホームで子午線またいで我慢したけど。ようやく葉月と気持ちが繋がったけど、その時憲人は気づく。葉月は過去にストーカー被害になったことがあるのでは?と。
読了日:05月09日 著者:成田美名子

ストーカー事件については解決。まあ、表面的には解決しても、トラウマにはなってしまうと思うけど。能にドラマに恋愛に、忙しすぎる憲人が「自分で自分を羽交い絞め」と思う気持ちはよくわかる。やらなければいけないことが多すぎて、しんどい気持ちは。けれど、準備をしないで行動することができない性格なのだもの。「問題点を見つけるのが準備ってものです」準備が整ったら、物語が一気に進みそう。
読了日:05月09日 著者:成田美名子

チェーザレ・ボルジアってどんな人なのかというと、ルネサンス期のローマ法王の息子です。ええと…ローマ法王って結婚が禁じられています。→なのに子ども。そしてチェーザレのお母さんは、人妻です。→もちろん法王の妻ではない。つまり、2重に罪の子なわけです。そんな彼が、イタリアを手中に収めようと戦いに明け暮れる半生。何を言っても推論でしかないけれども、私は、チェーザレは何か確固としたものが欲しかっただけなんじゃないかと思いました。事実パパが亡くなってからチェーザレの運が尽きるまでの速さよ。なんか切なくなりました。★★★★☆
読了日:05月11日 著者:塩野 七生

主人公は”無頼の弁護士”セバスチャン・ラッド。とりわけ凶悪でスキャンダラスな事件の被告を弁護してばかりいるので、周囲はことごとく敵である。悪人を弁護する弁護士としてテレビや新聞に顔が出るので、善意の一般庶民から警察、裁判所も彼を見ると眉をしかめ、犯罪組織の暗部を知る男としてそちらからも命を狙われている。主人公は多数の考える正義のために罪に陥れられようとする被告を守るためには手段を問わない。特に腐った警察や判事には容赦ない。作者はよほど警察やアメリカの司法制度が嫌いなのではないだろうか。★★★★☆
読了日:05月13日 著者:ジョン グリシャム

本当におもしろいこと。混じりけのない、純粋な。それは自分の頭の中にしかないものだろうか。ストイックに笑いを究めようとする彼らは、まるで求道者のようで。けれど傍から見るとただの人生の落後者なのかもしれない。誰にも媚びずに全力で笑いと向き合う神谷を”僕は憧憬と嫉妬と僅かな侮蔑が入り混じった勘定で恐れながら愛するのである。”真面目で不器用で真剣だからこそ、傍から見ると滑稽で無様な神谷が、ずっと脳内では桐谷健太だった。笑いながら泣いているような目が、ありありと浮かんできてしまって、ちょっと泣けた。★★★★☆
読了日:05月14日 著者:又吉 直樹

前任の有名女子高で、女生徒たちにいじめられて引きこもりになった三浦。学生時代から勉強を重ねて教師になった三浦の、それは初めての挫折だった。”たとえば、なまじ頭がよくて勉強一筋で、友だちとの人間関係もなく、世の中への関心や反発もなく、自分だけの世界で過ごしてきた奴の中には、自分を作ることができずに、大人になってからダメになるのがいくらでもいるという。これは男も女も同じなんだと。”私達は人と人の間で生きていかねばならないわけで、そこで謙虚になれるかなれないかが人としての成長に差をつけるのかもしれない。★★★★☆
読了日:05月15日 著者:香月 日輪

お遍路編終了。好きな人が、東京で生きづらそうだったから「地元に戻ってきたら」と言ったら、戻ってくる途中の事故で亡くなってしまう。自分のせいだと自分を責めるのはとてもつらいことだけれど、時を止めて喪失の辛さから自分を守っているともいえる。掛け違ってしまった思い。それは能「清経」の中にもあり、憲人と葉月との間にもある。能との向き合い方は出来ているけれど、葉月との向き合い方が居間だ不器用な憲人。というか、他の物事にも誠実に向き合いすぎ。そこが彼のいいところでもあるんだけどね。
読了日:05月16日 著者:成田美名子

ゴミ屋敷編終了。まだ使える物を捨てられない。気持ちはわかるけれど常識の範囲ってあると思う。では、常識と非常識のラインはどこに?それは紙一重なのではないかとじいさんは言う。とは言えじいさんは神職なので、清潔第一だからゴミ屋敷になりようがないけれど。物に対する愛着は、実は過去に対する執着なのではないか。未来に向けるまなざしがあれば…とは、我が母にも言えるので、他人事とは思えなかった。スピンオフとして楽の話。人の気持ちが見えるからこその楽の人との距離の取り方。でも、ぶつからなければ進めない時もきっと来ると思う。
読了日:05月16日 著者:成田美名子

不幸の上に不幸と不幸が襲う小野寺一路19歳。さらに本人の知らなかった不幸が次々明かされ…。文武に秀でているとはいえ、参勤交代など初めての一路が御供頭としてそれを差配しなければならない。唯一の部下もまた、初めての参勤交代。参勤交代で不始末を仕出かしてしまえば、一路が切腹してお家断絶するだけではなく、お殿様にもその火の粉が降りかかることになる。という、がけっぷち道中でありながら、ちゃんとした道中記になっていて、さらにはぷっと噴いてしまう愉快なやりとりがあり、家臣たちの矜持が熱く、めっぽう面白くってならない。★★★★☆
読了日:05月16日 著者:浅田 次郎

高校の図書委員男子二人が主人公。『本と鍵の季節』って、本と鍵が作品内にしれっと出てくるからかあ、なんて思っていたら、起承転結の転でとんでもないことになりました。まさしく”本と鍵”。のっけから後味の悪かった「913」の謎が、ここにきて効いてくる。一線を超えてしまうのか。背に腹は代えられない。でも、信じてくれる人がいるのだから、歯を食いしばって踏みとどまって欲しい。友は図書館で待っているのだから。続編が出るらしいけれど、これはこれできれいな終わり方だと思いましたよ。まあ、続編が出るなら読みますが。★★★★☆
読了日:05月17日 著者:米澤 穂信

年末に買ったのに、ようやく読み終わりました。特集の『名探偵コナン』と『伊坂幸太郎』目当てで買ったのですが、特集記事少なっ!それにしても、ミステリファンのミステリに対する深い思いと深い知識。特定のジャンルに詳しいなんてことのない私には、とても羨ましい。「これに関しては人後に落ちない」と思える何かがないからなあ。今年は少しミステリを読んでみようかな、と思えるくらいの熱量は受け取りました。頑張ります。★★★★☆
読了日:05月18日 著者:

高校生のころにそろえたフレドリック・ブラウンの本の数々。毎年毎年必ず再読したものだ。一度と言わず二度も三度も。何度も読んでいるから、ストーリーはもちろん分かっている。「そうそう、ここの展開がいいんだよね」とか「このオチ最高」なんて思いながら読んでいる。多分小さな子どもが何度も同じ絵本を読んで満足するのと同じ。で、今回もまた立派な装丁で、読みやすいサイズの文字のこの本を存分に楽しめたのですが…タイトルが一部変わっている。だけど、「ミミズ天使」は絶対「ミミズ天使」であって、「天使ミミズ」ではダメなんだ。絶対。★★★★★
読了日:05月19日 著者:フレドリック・ブラウン

この本を書くに至った経緯はわからないけれど、多分小野友五郎の生き方に感銘を受けたのだろう。だからなのか歴史小説として読むとあまりに一面的に過ぎてびっくりした。小野に近しい人は善人で能力高し。そうでなければ口ばっかりの役立たず扱いか、全くの無視。会話も平板で、同僚と話しても妻と話しても同じ口調。作品後半はそれも相まって、ただの史実の羅列にしか感じられなかった。作者の経歴を見たら北海道出身なのね。だからなのか、作中にほんの少しだけ荒井郁之助が登場。戊辰戦争で奮戦し、後、開拓使として北海道で測量をした人。★★★☆☆
読了日:05月20日 著者:今野 敏

『花よりも花の如く』の17巻が借りられていたので、急遽2冊くらいで終わるマンガを物色。これはネットで読んだことのある『パパと親父のウチご飯』のスピンオフで、同居するシングルファーザー2人が、子どもたちを寝かせた後に飲む時の酒のアテつくり。子どもたちと晩ご飯を食べた後の飲みなので、基本一品。ナッツの燻製は作ってみたい。ついでにチーズも一緒に。娘がいた頃は「まぐろアボカドユッケ」よく作ったけど、久しぶりに作るか。
読了日:05月23日 著者:豊田悠

お店で飲むのもいいんだけど、家で、あるものを使って、自分好みの味付けでアテを作って飲むというのが一番好き。基本ひきこもり体質なので。山芋の明太マヨピザは簡単だしおいしそう。今度作ろう。スペアリブの煮込みは、子どもたちがいた頃は冬の定番だったけど、夏でもよさそうな気がしてきたぞ。だけど、晩ご飯食べた後のスペアリブは、ちょっとやばいよね。蓮根まんじゅうも美味しいけど、手間がかかるんだよなあ。
読了日:05月23日 著者:豊田 悠

日々忙しく外で働く男性陣のために、一日六食主義を採用すべきであるとおっしゃる健一氏は、今ならば即離婚ですな。朝食を早めに食べて、10時に食べ、昼食を食べて、三時のおやつ(鱒鮨とかローストビーフを食わせろと言っているが)を食べ、晩ご飯を食べて、夜食を食べる。なぜ太らん、吉田健一。”お上品はいいことだというのが疑問で、古今東西、現在から未来に掛けてまで、お上品が他人に愉快な印象を与へるといふことはあり得ない。これは自分に対する気どりにすぎない”だからたくさん食わせろと言っているのだが。そして酒は必須。★★★★☆
読了日:05月23日 著者:吉田 健一

いやいや、面白かったです。大体どんな本を読んでも稀代の悪人と言われる松永久秀が、これほどまでに情の濃い熱い男として書かれるとは。そして、その書かれ方にすっかり納得できてしまうとは。帯を読むと松永久秀の話のはずなのに、人物紹介の中にその名前がない。最初の100ページは、たよるべき大人のいない子どもたちの話だ。戦国時代、何一つ悪いことをしなくても、たやすく命が喪われていく。神は、仏は何をしているのか。一番の不思議は彼が二度も織田信長を裏切ったことだ。一体何を考えているのか。その答えがこの作品にある。熱い。★★★★☆
読了日:05月25日 著者:今村 翔吾

実は日本にはたくさんの学問の神様がいらしたのですね。あまりにたくさんすぎて全然覚えられないけれど、逆にたいていの有名な神様は学問の分野でもありがたいご利益があるのかもしれません。しかしこの本に紹介されている神様の、大半は元人間。偉大な功績があった人や、激しく祟る人などが神様として祀られる。いつか、「古事記」や「日本書紀」の中に生き生きと描かれている神様たちの姿も読んでみたいものです。★★★★☆
読了日:05月26日 著者:戸部 民夫

二代目が帰朝した理由については最初から予想がついたけど、では帰朝して何がしたかったのか。二代目も弁天も、結局は赤玉先生のせいで人生を狂わされたわけで、赤玉先生の罪は大きいと思うなあ。いつもこ憎たらしい弁天も、今回の最後はちょっとかわいそうだったよねえ。三部作らしいので、最後はハッピーになってほしいと思う。そして、私が一番怖いのが寿老人。ただの人間のはずなのに、なんであんなにすごいの?生まれ変わったら狸になって、幸福な毛玉としての狸生を送りたいです。★★★★☆
読了日:05月28日 著者:森見 登美彦

男同士の兄弟って、こういう感じなのだろうか。自分にないものを相手の中に見つけ、それがコンプレックスとして心にしこる。同じ出来事でもヘイスケの視点とコウスケの視点では、見え方が違う。一目置かれる長男と、可愛がられる次男。長男には長男の言い分があって、悩みや屈託があって、次男には次男の言い分があって、悩みや屈託がある。だから、若い人にはこの本を読んで、大笑いしながら悩み事を吹っ飛ばし、ついでに自分をみつめ直してほしいと思いました。瀬尾まいこ作品にしては珍しく、血のつながった父の存在感が大。★★★★★
読了日:05月29日 著者:瀬尾 まいこ

初読みのマンガ家でしたが、原作者が有名なので読んでみました。少女マンガと思ってページを開くと、黒っ!ベタとトーンの多用で、ホラーマンガかと思うくらい黒い。ロジカルシンキング(垂直思考)ではなくラテラルシンキング(水平思考)で謎を解くミステリ。常識を超えた発想が大事だとはいえ、一般常識がなさすぎなヒロインに多少不安。添乗員を目指しながら47都道府県の県庁所在地がわからず、「興味ない!」って逆切れはどうなの?ミステリについては、今のところ初級レベル。
読了日:05月30日 著者:蒼崎 律

私の頭が悪いせいか、添乗員試験のときの絢奈の回答の意味が分からない。7人の乗客がいるって言っているのに、6人目の人を座らせた時点でまだ席が余ってますねと、1人目の人の膝に座っていた2人目を残る一つの席に座らせるって、解決じゃないんじゃない?だって7人目の人は座れてないよ。ここでもやってしまったので、あとの話が頭に入ってこない。添乗員にとって臨機応変な対応はもちろん大事だけれど、理屈で丸め込むのは違う。座れなかった7人目にきちんと謝るべき。それにしても展開速い話だな。
読了日:05月30日 著者:蒼崎 律

これからってところで終わってしまいましたね。それにしても、できのいい姉だけをひいきしてヒロインをあからさまに全否定する母親といい、何様のつもりか妹を全否定する姉といい、本人の目の前で「チートの得意な添乗員」と言い放つ国交省の官僚といい、随分と嫌なやつてんこ盛りだったと思います。よくこんな中で、まっすぐに育ってきましたね、絢奈。でも常識は身につけようね。
読了日:05月30日 著者:蒼崎 律

これはジャンルで言うとミステリなのかもしれないけれど、私にはホラーのように恐ろしかった。主要な人物の誰一人として真っ当ではない。ああ、何が恐ろしかったのかわかった。日常生活の中で、すぐ側にいる人が、自分を含む人間関係に何の関心も持たず、ただそこにいるだけっていうのが吉田修一の『パレード』を読んだ時みたいに気持ち悪くて怖かったんだ。タイトルは『光』だけど、最後のシーンを見ても信之たちに明るい未来の光が差し込んでくるようには思えなかった。最後に見せられたのは、あり得たかもしれない未来の光だったのかもしれない。★★★★☆
読了日:05月30日 著者:三浦 しをん

以前仕事で小中学生のための教材を作ったことがあり、そのための参考にと買った本。そのときは5年生までに習う漢字には読み仮名をつけないというルールで作ったけれど、この本はマンガがベースなので、全ての漢字に読み仮名がふってある。やっぱり子ども向けの本は、総ルビがいいと思うのよね。解説文はフレンドリーな文体で、必要事項を簡潔に書き記す。大事な事柄は多少難しくてもきちんと書く。知りたい子はわからないところを事典で調べることができる。総ルビなので。もう、教材を作ることなんてないけれど、この本は本当に参考になったなあ。★★★★☆
読了日:05月31日 著者:
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