揚げ足を取るつもりはないのですが、ちょっと突っ込みを入れさせていただきたい案件が二つあります。
ひとつは、森鷗外の息子・類について書かれた、朝井まかての「類」の紹介文について。
森鷗外には5人の子どもがいます。
長男・於菟(おと)、長女・茉莉(まり)、次女・杏奴(あんぬ)、次男・不律(ふりつ)、三男・類(るい)と、いずれも外国人の名前にもあるような響きの名前がついています。
”一説によると、鷗外の子供たちは、ドイツに留学していた鷗外=森林太郎(もり・りんたろう)という名が外国人にとっては発音がしにくくて苦労したので、子供たちに世界に通用する名を考えたのだという。確かに類の姉たち、茉莉、杏奴は、続けて読めばマリー・アントワネットとなる。とすれば、(中略)鷗外が最も偉大な皇帝の名をつけたとすれば、ブルボン王朝の最盛期を招来した太陽王ルイ14世ではないのか。”
ちょっと待って。
茉莉と杏奴を続けて読むと、マリアンヌじゃないの?
つるっとマリー・アントワネットとなるなんて書いてますけど、なりませんよ、全然。
でもって、類はルイ14世って、そこまで考えるかなあ。
類については私も勘違いをしていました。
鷗外がドイツに留学し、男の子の名前が於菟(オットー)と不律(フリッツ)だったので、全員ドイツ系の名前だと思っていましたが、確かにルイはフランス系の名前です。
ここでちょっと調べてみました。
於菟 ドイツ語だとオットーですが、フランス語だとオト
茉莉 ドイツ語でもフランス語でもマリ
杏奴 ドイツ語だとアンネ、フランス語だとアンヌ
不律 ドイツ語だとフリッツ、フランス語では同系列の名前としてはフレデリク
類 ドイツ語だとルードヴィヒ、フランス語だとルイ
不律以外はフランス系の名前だったようです。
でもしかし、茉莉と杏奴を続けて読んでもマリー・アントワネットにはなりませんから。絶対。
もうひとつは、札幌の人しかわからないと思うのですが、先週土曜日の朝NHKのテレビを見ていて、10さんと二人で突っ込みまくった件。
『ニッポンぶらり鉄道旅』という番組をよく見るのですが、先週の土曜日はJRの函館本線で札幌を旅するというものでした。
どこで降りてどこを見て回るんだろうと、ワクワクしてテレビを見ていたのですが。
ほしみ駅を出発して降りたところが琴似(ことに)駅。
で、そこから歩いて向かったのが、さっぽろ朝市。
それは…桑園(そうえん)から歩いたほうが近いのでは?と、まず突っ込む。
レポーターは朝市で海鮮丼を食べて、再び琴似から乗車する。
わざわざ琴似に戻らなくても、桑園駅の方が近いのに…と思ったら、桑園で降りる。
ロケハン下手くそか!
桑園で降りてどこに行くの?
彼は、円山動物園に行きました。
どれだけの札幌市民が、桑園駅から(バスで)円山動物園に行くのでしょう。
地下鉄で行けよ。
ふたたび桑園から乗車して降りたのが札幌駅。
各駅停車で3レンチャンはまだいいとして、さっぽろ駅から歩いて向かった先は、〆パフェ発祥の店。
そこ、すすきの!
それから場所の特定はできなかったけど、中島公園近くっぽい場所で踊りのお稽古を見学して、大通公園で雪像を見て再び札幌駅から乗車
ロケハン下手すぎる!
そして次に降りたのが厚別駅。
厚別って何かあったけ?…と思ったら、駅前で屯している人たちに話しかける。
「これから雪合戦にいくんですよ」という人たちの車に乗せてもらい向かった先が滝野すずらん公園。
線路から何十キロ離れましたか?
スポーツ雪合戦の紹介はいいけど、このくだりはきつすぎる。
最後は札幌の東端の森林公園駅で降車。
定番の「開拓の村」でゴールとなりました。
まあ、誰が企画してもゴールはそこでしょうけれど、駅から開拓の村まで結構距離ありますし、すごい上り坂だよ。
これ本当にテレビで見たとおりに行動したら一日では終わらないと思うし、足に相当なダメージをくらうと思います。
最初から最後まで突っ込み通し。
これからこの番組を見る度、信ぴょう性を疑うよね。
長々とすみません。
これ、数年前に放送した分の再放送なので、もしかしたら今はちゃんと沿線を旅しているかもしれません。
でも…ねえ。