マンガをのぞけば15冊読了。
少しずつ生活の中の読書リズムを取り戻してきたのか。

☆5つは4冊で、そのうち3冊がミステリ。
とはいえ、どれも読み心地が全然違って、それでも面白かったのだから読書の懐は深い。

『はだかの太陽』
ソーシャルディスタンスを取りすぎたがゆえのコミュニケーション不全が犯行のきっかけという、何十年も前に書かれた作品なのにタイムリーな一冊。(それを狙って読んだのだけど)
アイザック・アシモフという、生化学者という肩書を持つ著者が、それでも人類という生命体の存在を否定することなく未来を描いていることが、彼の作品の読後感の良さに繋がっている。

『死と砂時計』
異文化の中でのミステリ、というだけではない。
いい話で終わるのかと思いきや、最後の一文のおぞましい現実。
気持ちよく騙された。

『神も仏もありませぬ』
個人的に、今読んでよかった。
親とのかかわり、自分の老い。
いつ死んでもいい。でも今でなくていい。
そう思いながら生ききることが出来たら、その人生は幸せなんじゃないだろうか。

『Pの迷宮』
心の病気は因果関係が明確にわかるものばかりではなく、症状が数値化できるわけでもないので、本人も周りも対処に困る。
この作品でも、良かれと思ってした行動が家族を壊すことになり、殺人事件まで引き起こすことになった。
追い詰められるのは患者だけではないこと、そして人の記憶のあてにならないこと。
だからこそ、抱え込まないで、いろんな人に相談できるといいのだけれど。

それでなくてもお休みの多い9月ですが、今日から夏休みを取ります。
さて、これが読書のためには吉と出るか凶と出るか。


8月の読書メーター
読んだ本の数:26
読んだページ数:7087
ナイス数:544


さらば深川 (文春文庫)さらば深川 (文春文庫)感想
★★★★☆
読了日:08月01日 著者:宇江佐 真理

昭和元禄落語心中(3) (KCx)昭和元禄落語心中(3) (KCx)感想
ストイックに落語に向き合う菊比古と、奔放な落語でお客の人気をさらう助六。正反対に見えるけど、どちらも落語に対する思いは真剣だ。しかし、先を見据えるがために伝統を無視しがちな助六はついに破門される。どうも師匠の助六に対する態度は、口で言う以上の何かがありそうだ。そして助六の落語への想いは、中居くんが作詞したSMAPの曲の歌詞「変わりながら変わらずいられる」を思い出させる。
読了日:08月02日 著者:雲田 はるこ

昭和元禄落語心中(4) (KCx)昭和元禄落語心中(4) (KCx)感想
八雲という名前を継ぐことの重み。七代目の助六への思いを業が深いと切り捨てるのは簡単だが、芸を磨き続けながら先代助六の存在を背負い続けるのは、想像を絶するしんどさであったと思う。八雲を継ぐのは自分ではなく助六だという思いを捨てきれない菊比古、本当なら菊比古にもやりたくないという八雲。伝統というのはかくも人の心を雁字搦めにするものなのか。そしてみよ吉の想いが…。子どももいるのに切なすぎる。
読了日:08月02日 著者:雲田 はるこ

勝海舟の嫁 クララの明治日記〈下〉 (中公文庫)勝海舟の嫁 クララの明治日記〈下〉 (中公文庫)感想
★★★★☆
読了日:08月06日 著者:クララ・A.N. ホイットニー

昭和元禄落語心中(5) (KCx)昭和元禄落語心中(5) (KCx)感想
三代吉と助六がなぜ死んだのか、いや、どんな風に死んだのかが判明。それでも助六は幸せな人生だったかもしれないけれど、みよ吉はどうなんだろう。彼女はそもそも家族を愛せたのか?残された小夏を菊比古が引き取り、八雲を襲名。不器用なふたりの似非家族に与太郎が風穴を開けたわけだね。小夏の妊娠に伴って与太郎が父親を買って出る。ついでに助六を襲名。すたれ行く落語界にも風穴を開けることができるか。
読了日:08月08日 著者:雲田 はるこ

昭和元禄落語心中(6) (KCx)昭和元禄落語心中(6) (KCx)感想
とんとんとんと調子よく落語をものにしてきたかのような与太郎だが、背中の刺青のせいで世間からそっぽを向かれるようになる。さらに自分の落語を見つけ出せず思い悩んでいるときに、子どもの父親と思われる男と対峙する。素直ではない小夏の、父への思慕。決してやさしい師匠ではないけど、ここぞという時に見せる渾身の落語。与太郎、いや、三代目助六よ、精進せよ。
読了日:08月08日 著者:雲田 はるこ
土漠の花土漠の花感想
★★★★☆
読了日:08月08日 著者:月村 了衛

いとの森の家 (児童書)いとの森の家 (児童書)感想
★★★★☆
読了日:08月09日 著者:東 直子

ローマ人の物語〈10〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(下) (新潮文庫)ローマ人の物語〈10〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(下) (新潮文庫)感想
★★★★☆
読了日:08月10日 著者:塩野 七生

不倫(レンタル) (角川文庫)不倫(レンタル) (角川文庫)感想
★★★★☆
読了日:08月13日 著者:姫野 カオルコ

数学者列伝 天才の栄光と挫折 (文春文庫)数学者列伝 天才の栄光と挫折 (文春文庫)感想
★★★★☆
読了日:08月14日 著者:藤原 正彦

はだかの太陽〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 SF ア 1-42) (ハヤカワ文庫SF)はだかの太陽〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 SF ア 1-42) (ハヤカワ文庫SF)感想
★★★★★
読了日:08月15日 著者:アイザック・アシモフ

昭和元禄落語心中(7) (KCx)昭和元禄落語心中(7) (KCx)感想
小夏の息子が幼稚園児。いきなりの時間経過に驚く。小夏は三味線方として裏方の仕事をすることになり、真打になってもバスで寄席に通う与太郎夫婦。いい奴だ。八雲と助六の親子会で、八雲が倒れる。そもそも生きる気力にかけている八雲のこの先が心配だが、助六の、芸の成長著しいことが師匠に何らかの影響を与えればよいと思う。
読了日:08月16日 著者:雲田 はるこ

昭和元禄落語心中(8) (KCx)昭和元禄落語心中(8) (KCx)感想
先代助六の落語の映像があると聞いて、四国へ向かう与太郎と松田さん。菊比古時代の師匠の落語と、先代助六の落語を目にして、彼の心にまた落語の何かが降り積もる。…だけじゃなくて、先代助六とみよ吉の死の真相が、ついに松田さんから語られる。八雲が一人抱えて死んでいこうとするその秘密は、あまりに重い。そして思うような落語ができなくなってしまった老いた落語家は、その先をどう生きていけばいいのか。どうか、与太郎の、どでかい器が、師匠の支えになりますように。
読了日:08月16日 著者:雲田 はるこ

トム・ジョウンズ〈2〉 (岩波文庫)トム・ジョウンズ〈2〉 (岩波文庫)感想
★★★★☆
読了日:08月19日 著者:フィールディング

さんだらぼっち (文春文庫)さんだらぼっち (文春文庫)感想
★★★★☆
読了日:08月20日 著者:宇江佐 真理

昭和元禄落語心中(9) (KCx)昭和元禄落語心中(9) (KCx)感想
二代目助六と八雲をつなぐのはやっぱり与太ちゃん。彼の芝浜を見て、二代目の芝浜とわかる八雲はさすが。あの頃のように落語に向き合ってほしいという与太郎の思いもしみじみわかる。そして、芸の神様とは死神のことだったかと八雲が気づいた時、命を賭して駆けつけた与太郎に八雲は手を伸ばす。「死にたくない」と。そらそうだ。いつ死んでもいいと心から思っていたら、人の心を打つような落語ができるはずはない。ようやく目がさめたか、八雲師匠。
読了日:08月22日 著者:雲田 はるこ

昭和元禄落語心中(10)<完> (KCx)昭和元禄落語心中(10)<完> (KCx)感想
火事で顔にやけどが残ってしまい、寄席に登ることができなくなった八雲師匠。だけど、最期まで落語家でした。芸だけに生きてきたような八雲だけれど、実は人としても幸せな一生だったのだなあと最終巻にして思い至る。そして最後の最後まで、与太ちゃんいい奴だなあ。ホレる。
読了日:08月22日 著者:雲田 はるこ

あかね書店の梶店長 (マーガレットコミックス)あかね書店の梶店長 (マーガレットコミックス)感想
書店が舞台のようなので読んでみた。が、それは前半のみで、後半は店長と女子高生のキュンキュン恋愛話になってしまったので、おばさんはちょっと…。やっぱり本に詳しい本屋さんの話が読みたいのである。
読了日:08月22日 著者:青山 はるの

ハロルド・フライを待ちながら クウィーニー・ヘネシーの愛の歌ハロルド・フライを待ちながら クウィーニー・ヘネシーの愛の歌感想
★★☆☆☆
読了日:08月23日 著者:レイチェル・ジョイス

死と砂時計 (創元推理文庫)死と砂時計 (創元推理文庫)感想
★★★★★
読了日:08月24日 著者:鳥飼 否宇
ローマ人の物語 (11) ユリウス・カエサル ルビコン以後(上) (新潮文庫)ローマ人の物語 (11) ユリウス・カエサル ルビコン以後(上) (新潮文庫)感想
★★★★☆
読了日:08月27日 著者:塩野 七生

神も仏もありませぬ (ちくま文庫)神も仏もありませぬ (ちくま文庫)感想
★★★★★
読了日:08月28日 著者:佐野 洋子
Pの迷宮Pの迷宮感想
★★★★★
読了日:08月29日 著者:深谷 忠記

嘘解きレトリック 1 (花とゆめCOMICS)嘘解きレトリック 1 (花とゆめCOMICS)感想
他人のつく嘘がわかってしまうため気味悪がられ、終われるように故郷を出てきた鹿乃子。野垂れ死に寸前に探偵の祝左右馬に拾われる。彼は鹿乃子の能力を知ったうえで受け入れてくれた初めての人だった。『ミステリと言う勿れ』が面白かったので、またまたミステリっぽい漫画を。全然知らない作品でしたが、面白かったです。まず絵がきれい。そして人の心の裏も表も分ったうえで自然体で、なおかつ金にも食い物にも意地汚いけれども憎めない左右馬の人物造形が秀逸で。これは当たりでした。
読了日:08月29日 著者:都戸利津

嘘解きレトリック 2 (花とゆめCOMICS)嘘解きレトリック 2 (花とゆめCOMICS)感想
他人の付く嘘が分かるだけでは事件は解決しない。なぜ嘘をつくのか、そこにまで思いを馳せられる左右馬はさすが。なぜこの力量で貧乏探偵に甘んじているのか。それは世間の人が困ったことがあるからといっていちいち探偵を頼まないから。なるほど。確かにね。それでも食わせてくれる近所の人たちがいて、何とか生きていくことができた昭和初期。よき。
読了日:08月29日 著者:都戸利津


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