10さんが、「今度ドラマで『大化の改新』をやるから、録画しておいてあげるよ」と録ってくれたドラマ、ようやく視ました。

BSプレミアムという、何チャンネルなのかよくわからないチャンネルでやっていたそうですが、視始めてすぐ、「岡田(准一)くん、若っ!」

そう、これはかなり以前にやったドラマの再放送だったのですね。

 

「大化の改新」、最近は「乙巳(いっし)の変」と習うそうですが、これについて、かねてより疑問があったのです。

そもそも歴史は勝者が残した自己の正当性の証拠なわけで、天皇家と藤原氏の遺した歴史が真実かどうかはわからんのですよ。

 

で、何が疑問だったかというと、当時死や血は穢れとされて、ものすごく忌み嫌われていたのです。

それなのに天皇の眼前で入鹿を切るっていうのは、あまりにも乱暴なのではないか、と。

それこそ控えの間辺りでやることも出来たのではないか?

いや、松の廊下ですら殿中でござるのに、天皇のおわすところに武器は持ちこめないじゃろう、普通。

 

それを強引にやってしまうあたり、結構な破落戸(ごろつき)っぷりなのではないかと思ってしまうのです。

時の天皇の息子であるのに、皇太子ではない。

実際皇極天皇の跡を継いだのは、天皇の弟の孝徳天皇。

その後は再び皇極天皇が重祚して斉明天皇。

そしてようやく息子である天智天皇(中大兄皇子)に順番が回ってきます。

大化の改新から20年もたってから!

これはどう考えても、中大兄皇子に皇位を譲れない何かがあったとしか思えない。

 

そもそも蘇我家が横暴を極めていたというけど、もし蘇我家が天皇を傀儡にしようと思ったり、政治を私しようと思ったのなら、舒明天皇の次にわざわざ女帝(皇極天皇)を引っ張り出さなくても、山背大兄王に皇位を継がせればよかったのよ。

聖徳太子と蘇我馬子の娘(刀自古郎女)との間に出来た山背大兄王は、蝦夷の甥で、入鹿の従兄弟なのだから。

 

そこら辺の複雑な人間関係については割とさらっとしていて、蝦夷の人物像についてはブレまくり。

傲慢で酒と女にうつつを抜かしていたかと思うと、入鹿に実権を握られてからのストイックぶりが、すとんと腑には落ちませんでした。

 

で、その傲慢な父の政治に批判的だった入鹿が、皇極天皇にそそのかされるようにして父を追い落とすのですが、きれいごとで政治ができるわけもなく、どんどん理想と乖離していく自分にどうすることも出来ない入鹿を、渡部篤郎がめちゃくちゃ上手く演じていました。

 

主役は中臣鎌足(岡田准一)なんですよ。

だけど私の中では、もうこれは蘇我入鹿の話になってしまった。

最初からそういう意図の演出であったのか、渡部篤郎の演技の故か。

「吸血鬼カーミラ」を哀しい存在として演じた亜弓さんを思い出してしまいましたわ。

 

いつか、当時の資料が発見されて、蘇我氏の名誉が回復されるといいなあと、蘇我氏派の私は思っています。

奈良に旅行に行っても平城京を通り越して飛鳥や斑鳩あたりだけを見て回ったほど。

幕末も戦国時代も面白いけど、古代史ももっと取り上げて欲しいなあ。

 

 

本日の読書:アナン、 上 飯田譲治 梓河人

 

 

カバー裏より

『東京に初雪が降った夜、高級料亭のゴミ置き場に、生まれたばかりの赤ん坊が捨てられていた。その子を発見したのは、流(ながれ)という名の記憶喪失のホームレスだった。拾われた赤ん坊は「アナン」と名付けられ、流と仲間たちによって育てられる。やがて、ananの周囲で不思議な現象が次々と起こるようになる―。』

 

まだ上巻しか読んでいないけれど、多分これは感動系のエンディングが待っていると思われます。

まだへその緒もついたままの生まれたばかりの赤ん坊が、ゴミと一緒にビニール袋に入れて捨てられていて、それを拾った記憶喪失のホームレスの男とその仲間たちが赤ん坊を育てることによって、自分の過去と向き合い、精神が浄化されていくのが第一章。

上巻はその後の第二章まで。

 

ホームレスの人たちの生活については、いろいろ調べたのでしょう、とてもリアルです。

で、生まれたての、戸籍もない赤ん坊を育てていくことが、現代の日本でできるのか?

当然無理です。

だからこれは、リアルな社会を舞台にした、ファンタジーなのでしょう。

スピリチュアルでもあります。

 

それに気がついてから、格段に読むペースが落ちました。

ホームレスの人たちの持つ、重たい過去のしがらみが、人間ではどうしようもない力で癒されていくのは違うよなあって思ってしまって。

でも、高熱で瀕死のアナンを看病しながら、祈る流たちの姿にぐっとくるものがあった。

”俺たちは人に助けられるより、ほんとは助けたいんです―。”

 

第二章を読み始めて、再び勢いがついてきて、結局第二章は一気読みでした。

設定は変わらないのですが。

文章がこなれてきたのかなあ。

 

それでも、上巻の最後ではアナンは5歳。

この後絶対に学校問題が出てくると思いますが、そこをどうクリアするのでしょうか。

実は最初っからそこが気になって、「育てられるわけないじゃん」と引いてしまったので、上手いことクリアしてほしいと思います。

 

 

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