雪の日、好き?

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雪の日は好きです。
でも、どか雪は勘弁。

今日、10さんがうちに来ましたが、2日前から、飛行機が飛ぶかどうかわからないと航空会社から連絡があり、やきもきしておりました。
午前中の東京の空は晴れ渡っていましたが、ニュースで見た札幌はけっこうな雪。
ネットでフライト情報をみたらなんとかなりそうだったけど、油断はできない。

というわけで、いつ何時10さんから連絡が来るかわからなかったので、映画はあきらめる。
観たい映画があるのだけど、あきらめる。
我慢する。
「ごめん、飛行機飛ばない」といわれたら、すぐ映画館に行けるように準備して、我慢する。

予定より1時間以上遅れましたが、無事10さんは東京につきました。
ちぇ。やれやれ。


本日の読書:ふくわらい 西加奈子



カバー裏より
『暗闇で福笑いを唯一の趣味とする編集者の鳴木戸定。愛情も友情も知らず不器用に生きる彼女は、愛を語る盲目の男性や、必死に自分を表現するレスラーとの触れ合いの中で、自分を包み込む愛すべき世界に気づいていく。第1回河合隼雄物語賞受賞作。』

主人公は鳴木戸定。
命名は世界の奥地を旅する紀行作家である、父。
よりによって娘の名前をマルキ・ド・サドからとるような父である。
かなりの破天荒。

幼いころから感情の表出がほとんどなかった定は、母に包みこまれるように大事に育てられるが、その母は定が5歳の時に病気で亡くなり、定は父について世界を周る。
父が行くところは奥地も奥地、秘境といっていいところばかりで、そこで現地の人と同じ生活を送るのは大人でも大変なこと。
しかし幼かった定は、それを日常として過ごす。

彼女が7歳の時、父は彼女の目の前でワニに襲われ亡くなる。
彼女のその後の人生に多大な影響を与えたその事件はさておいて、親戚に引き取られ、日本で生活することになった彼女は、つねに分厚いガラスの壁が立ちはだかるように、周囲と交流することなく大人になり、今は有能な編集者として生きている。

子ども時代に友達のいなかった彼女は、まっすぐで純真で、とてつもなく世間知らず。

さて、福笑い。
目隠しをした人が、のっぺらぼうの顔の中に顔のパーツをおいていく遊び。
最近は見かけないが、昔はお正月に子どもたちが集まってはこれをやって大笑いした、らしい。
感情らしい感情を見せなかった定が、唯一大笑いしてハマったのが、この福笑い。

福笑いを通して、枠にとらわれる必要などないこと、枠をはみ出して人に笑われたって別にいいんだという作者のメッセージが、作品全体を貫いている。
西加奈子の各作品には、生きることに不器用な人がいつも出てくるが、この作品にももちろんたくさんいる。
定はそんな人たちと誠実に付き合い受け入れながら、自分の形をとらえなおしていく。
唯一普通の、一般的な人物である小暮しずくが彼女と友達になった時、彼女と世間の間に交流が生まれる。

クセが強い作品で、誰にでも進められるわけではないけれど、私は好きだ。
多分眉を顰めながら読んでいたと思うけど、それでもこの作品を好きだ。
体で感じること、言葉で表すもの、そのどちらもが本当の自分であり得るのだ。
どちらかに捕らわれる必要などない。

プロレスのシーンでは私も定と同じように、掌を心臓にあてて動いていることを確認した。
私の心臓が動いている限り、守口廃尊(ばいそん)の心臓も動いていると、その時は物語に同化してそう信じていた。
多分西加奈子の作品って、私にとってはものすごく親和性が高いのだと思う。


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BGMはBlankey Jet City『円を描く時』でした。