もやっているので暗いですが、朝です。
薄暗いけど、太陽ははっきりわかります。
職場は田舎なので、視界が悪くなるととても寒々しく感じます。

東京も職場地方も明日は寒いようですが、私は一日休暇をいただいて、少し暖かい地方に行ってきます。
お土産はみかんの予定。
なぜなら来週娘が泊りに来るからね。

明日から暦の上ではディセンバーだというのに、遊んでばかりですみません。


本日の読書:殺人症候群 貫井徳郎

殺人症候群 <新装版> (双葉文庫)/双葉社

¥価格不明
Amazon.co.jp

カバー裏より
『殺人を他人から依頼されて代行する者がいるかもしれない。警視庁の環敬吾は特殊工作チームのメンバーを集め、複数の死亡事件の陰に殺し屋の存在がないか探れと命ずる。事件の被害者はみな、かつて人を死に至らしめながらも、未成年であることや精神障害を理由に、法による処罰を免れたという共通点があった―愛する者を殺されて、自らの手で復讐することは是か非か。社会性の強いテーマとエンターテインメントが融合した「症候群三部作」の掉尾を飾る傑作!』

大きな事件は二つある。
法の処罰を免れて、ろくに罪も償わないで社会復帰した者たちが次々に殺される事件。
環敬吾のチームは、見えない殺人者の姿を追う。

もう一つの事件。
心臓移植をしなければいつ命を失ってしまうかわからない息子のために、心臓の提供者をつくるために殺人を犯す母。
証拠のない事件の真相を追う刑事。

二つの事件は交互に語られ、それぞれ追う者追われる者と、視点が切り替わる。
全く接点のない二つの事件が、交差し始めたのが300ページを迎えるころ。
それは、ミステリを読みなれた人にはわかりやすい展開ではないかと思う。
そして、ふつうはこのあたりから終焉に向かって急速に話が進んでいくのだが、この本では300ページはまだ半分にも満たない。

キーパーソンの正体がわかったところで、どうもこれは幸せな結末にはならないような気がしてくる。
彼にも彼女にも。
特に、息子のために殺人を犯した小島和子の章は、時に読み進めるのがつらいほどの描写が続く。

読みながら立てるいくつもの予想。
ことごとく最悪へ進んでいく。

人の命は、喪われてしまったら二度と戻らない。
その喪失感を、どうやって埋めたらいいのか。
せめて反省する姿を見せてほしいと思うのは、そんなに無理なことなのか。

本もテーマもずっしりと重い。
「症候群三部作」の構成の妙。
そして巻が進むにつれて、確実に面白くなっている
実は最初の「失踪症候群」があまり面白いとは思えなかったのだけど、この「殺人症候群」は面白い、というのとは違うか。上手い。
「失踪症候群」「誘拐症候群」「殺人症候群」と、確実に上手くなっている。

ひとつだけ不満があるとすれば、環敬吾の造形。
最後まで謎に包まれたままで、冷静で有能。彼は神なの?
人間味の片りんを見せることのなかった彼が、一体どうしてこのような陰の存在になったのか。

彼があんまり完璧すぎるので、正解対最適解の話にならなかったのが残念。
被害者が救われるための最適解。
倉持は倉持でそれを考えていたのだと思う。
実践した鏑木。阻止する環。武藤の思い。
私の中でもまだ正解は見つからない。


ペタしてね
BGMは森山直太朗『遠い渚のラブソング』でした。