吉野朔実さん

昨日の夕方、吉野朔実さんがお亡くなりになったことを知りました。

漫画家吉野朔実さんの読者としてはあまり熱心ではありませんでしたが（でも、読んでますよ）、読書家としての吉野さんは私の心星でした。

機会があればいつでもどこでも本を読む私は、周囲から「読書家」とみられてはいたと思いますが、それは割と孤独な行為でした。
ひとりで本を読んでそれで終わり。

もちろん「この本面白いよ」と本を貸してくれる人もいましたし、好きな本について話をすることもたまにはありました。
でもそれは、読書の中のほんの一部の出来事。
基本はひとり。

そんな時に知った「本の雑誌」に連載の「吉野朔実劇場」。

読んだ感想を周囲の人と分かち合う。「面白かった～」「私はそうは思わない」
そうか、感想なんて人と違っていいんだ。
読んで理解できなくても恥ずかしいことじゃないんだ。
みんながいいと言う本も、好きじゃないと言っていいんだ。

そういうことを知らずに、ずいぶんと苦しい読書をしていました。
私の読み方が間違ってるの？
だとしたら、みんなにばれないようにじっと息をひそめて隠さなければ。

今は本当に、心から自由に本を読んでいます。
感動も偏見も私の本当。
それってすごく気持ちいい。
だからこのブログで好き放題書いていられるのだと思うの。

穂村弘も春日武彦も入江敦彦も、みんな「吉野朔実劇場」で知りました。
穂村弘を知らなかったら、このブログのタイトルも違ったものになっています。
穂村弘の「本当は違うんだ日記」からイメージをお借りしたからです。
一年に１～２回は必ず全巻読み直すほど心の支えである「吉野朔実劇場」

このブログはものすごく迂遠な繋がりではあるけれど、吉野朔実さんの存在なくしてはなかったものです。
吉野朔実さん、本当にありがとうございました。
心よりご冥福をお祈りします。

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