久しぶりに青空の週末。
さあ、どこへ遊びに行きましょうかと言いたいところですが、いろいろ先送りしていたあれこれをしに、あちこち巡回してこなくてはなりません。
日用品も買ってこないと。そろそろトイレットペーパーが…。
でもその前に、2004年本屋大賞ノミネート作品を読み終わりましたので、自分なりにまとめをば。
2004年本屋大賞
1位 博士の愛した数式 小川洋子
2位 クライマーズ・ハイ 横山秀夫
3位 アヒルと鴨のコインロッカー 伊坂幸太郎
4位 永遠の出口 森絵都
5位 重力ピエロ 伊坂幸太郎
6位 4TEEN 石田衣良
7位 デッドエンドの思い出 よしもとばなな
8位 終戦のローレライ 福井晴敏
9位 陰摩羅鬼の瑕 京極夏彦
10位 ららら科學の子
私の1位も「博士の愛した数式」です。
長男が高校生の時に宿題の感想文を書かなくてはいけなかったとき、この本と、梨木香歩の「村田エフェンディ滞土録」を勧めたのですが、理系の彼はやはりこちらを選んだようです。
数学という世界の持つ美しさ。
数学嫌いの私が考えてもみなかった世界の美しさがそこにはありました。
合理的というのは冷たいことではないのだと。
記憶をとどめることができなくても、博士の人としての温かさは損なわれることなく残されていて、けれど時折顔をのぞかせる博士の過去という棘。
文句なしの1位です。
同率2位が2作。
読ませるという点では「クライマーズ・ハイ」です。
昨日読み終わったばかりだからというのもありますが、事故から数年後に読んだ、御巣鷹山の事故で遺体の身元確認の責任者をしていた飯塚訓が書いたノンフィクションを思い出し、使命感と無力感に翻弄される担当者の気持ちがとてもよく描かれていると思いました。
本人にとっても社会的にも大きな仕事というのは、決してきれいごとだけではないんですよね。
最初に高揚した分だけ、それがさめた時の無力感も大きく、日を追うごとに強くなる焦りにも似た想いなど、プロット建ての巧みさ以外の部分でも圧倒的に迫ってくるものがありました。
好きなのは「アヒルと鴨のコインロッカー」です。
相変わらず現実感に乏しい話ではありますし、「重力ピエロ」ほど透明感に溢れているわけでもありません。
読んでいる最中はずっと「幸せになれない」ような予感がしていましたし、読後感もちっとも爽やかじゃありません。
でも、大好き。なぜだろう?
琴美と河崎とドルジの3人。
琴美の無念と河崎の無念を目の前で見てきたドルジの無念。
「あんたたち、気持ち悪い」
単行本から文庫本になったときに変わった琴美のセリフ。
私も読んでいてものすごくそう思っていて、文庫で読んでよかったと思いました。
まっすぐにぶつかるだけでは解決できないことが世の中にはある。それを知ったとき、青年は大人になるのかなと思いました。
大人になることは、必ずしも晴れがましいことばかりではないのです。
そして誰もが大人になる、というものでは決してないのです。
日常が非日常になるのなんて、なんと簡単なことなのでしょう。
そして時間を巻き戻すことはできないのです。どんなに焦がれても。
ただし伊坂幸太郎、やはり仕掛けはいくつかあります。
地元仙台つながりということで、「重力ピエロ」の春が少し前に仕事をした形跡や、椎名のおばさんって「陽気なギャング~」のあの人ですよね。
懐かしい人々の気配を感じてはニヤリ。
これも伊坂作品の醍醐味です。
おまけの1冊として「デッドエンドの思い出」を。
心が疲れた時に読んで打ちのめされれば、いいと思います。
それはきっと、心にとって必要なことなのではないかと。
打ちのめされても、きっとこの本はそばにいて立ち直るのを待っていてくれると思うのです。
さあ、どこへ遊びに行きましょうかと言いたいところですが、いろいろ先送りしていたあれこれをしに、あちこち巡回してこなくてはなりません。
日用品も買ってこないと。そろそろトイレットペーパーが…。
でもその前に、2004年本屋大賞ノミネート作品を読み終わりましたので、自分なりにまとめをば。
2004年本屋大賞
1位 博士の愛した数式 小川洋子
2位 クライマーズ・ハイ 横山秀夫
3位 アヒルと鴨のコインロッカー 伊坂幸太郎
4位 永遠の出口 森絵都
5位 重力ピエロ 伊坂幸太郎
6位 4TEEN 石田衣良
7位 デッドエンドの思い出 よしもとばなな
8位 終戦のローレライ 福井晴敏
9位 陰摩羅鬼の瑕 京極夏彦
10位 ららら科學の子
私の1位も「博士の愛した数式」です。
長男が高校生の時に宿題の感想文を書かなくてはいけなかったとき、この本と、梨木香歩の「村田エフェンディ滞土録」を勧めたのですが、理系の彼はやはりこちらを選んだようです。
数学という世界の持つ美しさ。
数学嫌いの私が考えてもみなかった世界の美しさがそこにはありました。
合理的というのは冷たいことではないのだと。
記憶をとどめることができなくても、博士の人としての温かさは損なわれることなく残されていて、けれど時折顔をのぞかせる博士の過去という棘。
文句なしの1位です。
同率2位が2作。
読ませるという点では「クライマーズ・ハイ」です。
昨日読み終わったばかりだからというのもありますが、事故から数年後に読んだ、御巣鷹山の事故で遺体の身元確認の責任者をしていた飯塚訓が書いたノンフィクションを思い出し、使命感と無力感に翻弄される担当者の気持ちがとてもよく描かれていると思いました。
本人にとっても社会的にも大きな仕事というのは、決してきれいごとだけではないんですよね。
最初に高揚した分だけ、それがさめた時の無力感も大きく、日を追うごとに強くなる焦りにも似た想いなど、プロット建ての巧みさ以外の部分でも圧倒的に迫ってくるものがありました。
好きなのは「アヒルと鴨のコインロッカー」です。
相変わらず現実感に乏しい話ではありますし、「重力ピエロ」ほど透明感に溢れているわけでもありません。
読んでいる最中はずっと「幸せになれない」ような予感がしていましたし、読後感もちっとも爽やかじゃありません。
でも、大好き。なぜだろう?
琴美と河崎とドルジの3人。
琴美の無念と河崎の無念を目の前で見てきたドルジの無念。
「あんたたち、気持ち悪い」
単行本から文庫本になったときに変わった琴美のセリフ。
私も読んでいてものすごくそう思っていて、文庫で読んでよかったと思いました。
まっすぐにぶつかるだけでは解決できないことが世の中にはある。それを知ったとき、青年は大人になるのかなと思いました。
大人になることは、必ずしも晴れがましいことばかりではないのです。
そして誰もが大人になる、というものでは決してないのです。
日常が非日常になるのなんて、なんと簡単なことなのでしょう。
そして時間を巻き戻すことはできないのです。どんなに焦がれても。
ただし伊坂幸太郎、やはり仕掛けはいくつかあります。
地元仙台つながりということで、「重力ピエロ」の春が少し前に仕事をした形跡や、椎名のおばさんって「陽気なギャング~」のあの人ですよね。
懐かしい人々の気配を感じてはニヤリ。
これも伊坂作品の醍醐味です。
おまけの1冊として「デッドエンドの思い出」を。
心が疲れた時に読んで打ちのめされれば、いいと思います。
それはきっと、心にとって必要なことなのではないかと。
打ちのめされても、きっとこの本はそばにいて立ち直るのを待っていてくれると思うのです。