Mさんには 小児麻痺の友人がいました
彼女達は 隠されていました
Mさんの小学校には 養護学級がありましたが
その存在を知るのは 五年生の時でした
運動会で 左右に揺れながら走る Sちゃん
歩行器で 緩やかに走るCちゃん
Mさんは 夕日に照らされる 彼女達を 美しくかっこ良いと感じたそうです
その時に 初めて 彼女達の存在を知ったのです
彼女達と言っても Sちゃんしか 記憶に無いらしいので Cちゃんは 少女の頃に亡くなったから
余り学校に来なかったのかもしれません
きっかけは解りませんが MさんはSちゃんと友達になりました
子供の頃から共に過ごし やがて Sちゃんが作業所に通い出すと Mさんも手伝いをしたりと
周りにハンデを持った方の知り合いが増えました
付き合いが長くなるに従って Mさんは 皆と親しくなり 自分は理解者であると同時に 仲間だと思うようになりました
だけど 自分が寝たきりになり やがて車椅子生活を十数年経験し
自分は 何て傲慢な人間だったのかと
痛みや苦しみ 屈辱 何一つ解ってなかった
人に何かをして貰うときの ハードル
特に 排泄や 入浴のデリケートさ
自分が 経験出来たことで 失った物も多いが
学んだことの 真の意味を体感し得るものも多かったそうです
だから Mさんは きついとよく言われますが
いつも しょうもない小学生レベルの嘘 (疲れている時に悟られると 朝から 新聞配達してきたからちょっと 疲れちゃったかな的な嘘) や
下ネタを言っているのは
ハンデを持たない者には 理解できない 彼女なりの気配りなのでしょう?
Mさんは 昔から よく 自分はニューハーフだと言っていました
仕事に真面目なMさんが 熱心だとか よく働くと人に言われたときに
私は偽者だから 本物より 本物らしくなるために
努力してる だから 本物ではないと
最近 そんな事を言わなくなったのは 何故か知らんけど
そんな 小難しい事を言っていた割にMさんは いつも
ニコニコ笑っていて 人から 機嫌の良い人と言われていましたが
小難しい事を言わなくなった代わりに
誰にでも解る小嘘や 下ネタを言い出し始めてから 笑顔が少なくなり 以前みたいにニコニコ笑わなくなったようです