先日、熱海の山田湯に行ってきた。
とても、いい湯だった…
よそ者が、山田湯に辿り着くのは、かなり難易度高いですが…
熱海ってのは、無数に源泉のあるところなんだが、庶民が気軽に入れる浴場は、数えるほどしかない。
なぜなのだろうか?
熱海は、静岡県なのだが、県の東端にあり、おそらく静岡県民より首都圏の人たちの方が多く温泉を利用しているのだろう。
首都圏のお金持ちを目当てに営業しているところが多いのだろう。
だから、日帰り温泉にしても、かなり料金が高かったりする。
それに対して、山田湯みたいな共同浴場は、料金がかなり安い。
それは、下の "井伊部長の温泉グルメ探訪" の写真を見て頂ければわかるように、かなり粗末で安普請なのだ…
うまく纏められた記事の中の写真で見ると、いい風情だな… なんて思ったりするのだが、実際行ってみると、なんだかちょっと粗末で寂しいな… と思ってしまう。
だが、この何の特徴も工夫も優雅さもないような浴場のありがたさが、熱海という街をふらついていると、理解できるだろう…
こういった安普請の共同浴場に対して、大きな資金をかけて作られた施設というのは、他施設との差別化を図ることに資金を投じており、料金も必然的に、それなりに高い。
熱海という街は、首都圏の資本が投じられて形成されたという側面を強く持っているだろう。
だから、熱海をふらついていると、田舎町のくせに、資本の冷たさ、資本の壁みたいなものを感じてしまう…
差別化というのは、他者との壁を作ることなのだろう…
オレたちゃ特別だぞ! って…
学歴だって、血統だって、そういうものは、他者との差別化を図るためのものだろう…
確かに、高学歴の人ってのは、ずば抜けていて、凡才とは差別化されているだろう。
だが、その高学歴の差別化された人たちが集まって作られた、官僚機構というものは、これほど平坦で無味無臭、特徴のないものはないだろう…
大きな資本を投じて作られた(温泉)施設というものも同様で、互いに差別化を図っていったのだが、行き着いた先は、平坦で無味無臭、特徴のないものとなっているのではないだろうか?
差別化というのは、相手を意識して成り立っている…
対して、オレはオレだ(オレオレ詐欺みたいだけど…)というのは、相手を意識することなく、個性的となることができるのだろう。
差別化に取り残された凡才たちは、仕方なくオレはオレとして生きることを余儀なくされてしまった…
だが、その結末は?
差別化に成功した者たちは、個性的であることを失ってしまったのでは?
通貨発行権を手にし、究極の差別化を得た者たちの末路は?
"The road to hell is paved with good intentions"
山田湯は、安普請ではありましたが、没個性とは無縁の、いい湯だった❗
(以下コピーです)
温泉マニアも訪れる、貴重な地元湯
私、井伊湯種は地元にある共同浴場が大好きです。湯遣いの良いところが多く、古くから地元の人に愛されてきた温もりが感じられるからです。また、小規模な湯船でシンプルに温泉を楽しめることも気に入っています。
熱海市にある共同浴場「山田湯」もその一つ。JR熱海駅より1.9kmほど離れた静かな住宅街にありますが、遠方から温泉マニアも訪れます。
熱海駅からは温泉街を伊東方面に進み、「熱海金城館」の先を右折。食事処「みのる亭」を目印に右手の細い路地に入ります。右手に空き地(駐車場)が見えると、その先に「山田湯」があります。
看板はなく、入口に「男湯」「女湯」とあるだけで、ひっそりとした佇まい。戸を開けると懐かしい感じの番台があります。不在時は、隣にオーナーの山田さんの家がありますから、声をかけてみてください。
「山田湯」は昭和30年頃に開業した民間の共同浴場。かつては混浴でしたが、昭和37年に男女別の浴場にしたそうです。料金は大人一人300円。洗髪するとプラス50円かかりますが、もともと昔の銭湯は別料金でした。洗髪をするとお湯をたくさん使うためです。
味のある暖簾をくぐると、脱衣所は棚だけの昔ながらのシンプルさ。お風呂は内湯のみです。
レトロなタイル貼りの浴室で、湯船は3人サイズ。水車と富士山を描いたタイル画を眺めながら、源泉かけ流しの熱海温泉を楽しめます。
温泉は熱海の共同源泉(混合泉)より引き湯をしていて、源泉温度が56.2℃のため、適温にするために浴槽の中で加水し、開店時には42℃位にしているそうです。夏場はもう少し温めにするのだとか。「あとの湯加減はお客さま次第です」と「山田湯」の女将さん。このおおらかさというか、良い意味でゆるいところが良いですね。
お湯は無色透明で味は甘じょっぱい感じ。泉質はカルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉です。お湯にはキシキシ感があり、湯上がりはベタ付き感がなく、サッパリ。「汗がたくさん出るから良いというお客さまもいます。リウマチも良くなったという方もいらっしゃいますね」と女将さん。
そうなんです。熱海の温泉(塩化物泉)は、たいがい汗が止まらないのです。こちらはお湯の鮮度が良いのか、特にその傾向を強く感じました。入浴後、いつまでも汗が吹き出てくるので、思わず再度入浴して汗を流した湯種でした。
もともとは湯屋の裏手にある自家源泉を利用していたそうですが、10年前より熱海の共同源泉から引き湯をしているとのこと。自家源泉は塩分が強く、濃厚でガツンとくるようなお湯だったそうです。
最後にお風呂の裏手にある自家源泉の場所を案内していただきました。こうした源泉場所を見学できるのは、楽しいものです。10年前から使用していない温泉タンクには蔦がからまっていました。
かつて利用していた自家源泉のお湯にも入ってみたかったと強く思う湯種でした。しかし、熱海でも利用者減少により、こうした共同浴場は少なくなってきていますので、温泉マニアとしては存在自体が貴重で、こうしてお風呂に入れることがうれしく思います。
取材中にも地元の常連の方がやってきて、女将さんと園芸談義をしていました。辺りを見渡せば、小さな庭に季節の花が咲いていて、気分が和みます。