「おい、これここじゃないだろ」
「え? 違う?」
長野邦子と大高が作戦を遂行している間、塚越大輔や中村梓を含んだ特進クラスの一同は、パズルを探し、組み立てる作業をしていた。
コンピューター室の扉が開き、一斉に其方に視点が集中した。
灯油をポタポタと床へ垂らした長野邦子と、大高が男を背負っている。
コンピューター室内へ移ると、踵を返し、扉を閉める。
「何時まで誤魔化せるか見物だな」
大高が言うと、前髪を片手でかきあげながら長野邦子が言う。
「バラすことがこの作戦のミソとか言ってなかったっけ?」
「ああ、そうだ。それにコイツはライフルを持ってる。つまり、こちらも武器を得たんだ」
茂央が言った。が、間髪を入れず大高が問う。
「って言っても、相手は複数持ってるし、その中に入ってる弾の数なんて、知れてるんじゃないか?」
「いや、予備のマガジンを幾つか隠し持ってる筈。確かに武器では奴等には到底及ばないが、全く役に立たない訳でも無いだろう。出来るだけ長く、コイツのことを誤魔化し続けるんだ。奴等が違和感を感じれば、此方からカミングアウトする。その時に、人質にして、安田との交換の道具として使う」
「まさか、この作戦のミソって、それ?」内田清美が問う。
「そうだよ。学校に乗り込んで、教師を人質にして、生徒にパズル探しさせる。なんて、こんなこと、奴等がお互いを信用してなきゃ出来ない。この作戦はほとんどの確率で成功する」
中村梓がそれに続く。
「それなら、コイツに逃げられたら台無しだから、きっちり束縛しておくべきね。
別室で、ここの椅子と、体育館からロープを持ってきて、手足を縛る。交代で誰かが監視する。奴等から連絡が来れば、その時そこにいる人が携帯を開き、コイツの口から奴等にあたかも何の異変も無いようなことを伝えさせる。いい?」
塚越大輔がふざけ、ワザとおどけた様子を作る。
「おっかないね~。そこまでやるか、普通」
「奴等はゲームと言ってるけど、これはそんなゲームみたいな娯楽と違って軽々しいものじゃない。戦争なの。何か一つでも綻びがあればそれが命取りになる。そんな中で、あたし達は何とかその奴等の綻びを見つけた。最高の転機よ。だから、徹底したやり方じゃないとダメ。最早モラル云々も言ってられない。第一、奴等のやり方にどこか一つでもモラルを感じる?」
梓の演説に対して、誰一人として反論はない。それを、沈黙が語っていた。
「え? 違う?」
長野邦子と大高が作戦を遂行している間、塚越大輔や中村梓を含んだ特進クラスの一同は、パズルを探し、組み立てる作業をしていた。
コンピューター室の扉が開き、一斉に其方に視点が集中した。
灯油をポタポタと床へ垂らした長野邦子と、大高が男を背負っている。
コンピューター室内へ移ると、踵を返し、扉を閉める。
「何時まで誤魔化せるか見物だな」
大高が言うと、前髪を片手でかきあげながら長野邦子が言う。
「バラすことがこの作戦のミソとか言ってなかったっけ?」
「ああ、そうだ。それにコイツはライフルを持ってる。つまり、こちらも武器を得たんだ」
茂央が言った。が、間髪を入れず大高が問う。
「って言っても、相手は複数持ってるし、その中に入ってる弾の数なんて、知れてるんじゃないか?」
「いや、予備のマガジンを幾つか隠し持ってる筈。確かに武器では奴等には到底及ばないが、全く役に立たない訳でも無いだろう。出来るだけ長く、コイツのことを誤魔化し続けるんだ。奴等が違和感を感じれば、此方からカミングアウトする。その時に、人質にして、安田との交換の道具として使う」
「まさか、この作戦のミソって、それ?」内田清美が問う。
「そうだよ。学校に乗り込んで、教師を人質にして、生徒にパズル探しさせる。なんて、こんなこと、奴等がお互いを信用してなきゃ出来ない。この作戦はほとんどの確率で成功する」
中村梓がそれに続く。
「それなら、コイツに逃げられたら台無しだから、きっちり束縛しておくべきね。
別室で、ここの椅子と、体育館からロープを持ってきて、手足を縛る。交代で誰かが監視する。奴等から連絡が来れば、その時そこにいる人が携帯を開き、コイツの口から奴等にあたかも何の異変も無いようなことを伝えさせる。いい?」
塚越大輔がふざけ、ワザとおどけた様子を作る。
「おっかないね~。そこまでやるか、普通」
「奴等はゲームと言ってるけど、これはそんなゲームみたいな娯楽と違って軽々しいものじゃない。戦争なの。何か一つでも綻びがあればそれが命取りになる。そんな中で、あたし達は何とかその奴等の綻びを見つけた。最高の転機よ。だから、徹底したやり方じゃないとダメ。最早モラル云々も言ってられない。第一、奴等のやり方にどこか一つでもモラルを感じる?」
梓の演説に対して、誰一人として反論はない。それを、沈黙が語っていた。