不快な心情を隠せずに拳を丸める長野邦子を余所に、今度は塚越が茂央に問う。
「今の話を聞く限り、敵は、俺等が外からの音をヒントに、パズルの場所を特定する。そこまで計算尽くでパズルを隠してたってこったろ? そうなりゃあ、こりゃ一筋縄でどうにかなる問題じゃないぞ、茂央君」
「わかってる。第一、俺等にこんなことやらせる時点で何考えてるかわからないからな、全く」
黙っていた大高が口を挟む。
「って、茂央、まさかこんな下らないパズル探しを、わざわざやる気かよ? 下らねえ。奴等の言いなりになるって言うのか」
それに長野邦子が賛同する。
「そうそう。それに今回は足音とかヒントがあったけど、こっから先は何もないんだよ?」
「わかってる。2000ピース全部見つけられる保証はない。ただ、今からの話は、コンピューター室でしたい………」
―――一旦コンピューター室へ戻った一同は、茂央に焦点を集中させる。
それを前に、茂央は椅子に腰をかけ、歯と舌を使って、口の中にあるキューブの形をしたチューイングキャンディーを弄びながら話を続けた。
「俺等はパズルを探すフリをしながら、この状況の打開策を考えるんだ。最初からパズルを探す気が無いと悟られてしまっては、奴等は警戒し、隙が無いよう用心するだろう。
だが、俺達が言いつけ通りパズルを探していれば、奴等は特進クラスを牛耳った気で優越感に浸れる。だから、俺達は奴等に優越感を与えることを意識しながら、行動するんだ」
「その優越感が、唯一つけこめる隙だと?」言ったのは大高だった。
「そう。勿論、フリをしている間に見つけたパズルがあれば、回収する。
何でもそうだが、自分にとって物事を都合良く運ばせたい時は、自分を客観的に弱く見える立場に置くんだ。男は女の涙に弱い、なんてよく言うのもその一つ」
首を上下に揺らしながら聞いていた梓が軽く笑みを見せる。
「アンタ、詐欺師になれるかもね。で? 考えるって、具体的にどうするか、大まかにでも決まって無いと進まないことない?」
「ああ、全く考えがないわけじゃない。ただ、この作戦は、最終的にはかなり危険だ。先ず、外で奴等が何人か見張ってる筈だから、どこに何人いるか、出来るだけ具体的に把握する必要がある。勿論、“パズルを探すフリをしながら”ってことを忘れないように」
「今の話を聞く限り、敵は、俺等が外からの音をヒントに、パズルの場所を特定する。そこまで計算尽くでパズルを隠してたってこったろ? そうなりゃあ、こりゃ一筋縄でどうにかなる問題じゃないぞ、茂央君」
「わかってる。第一、俺等にこんなことやらせる時点で何考えてるかわからないからな、全く」
黙っていた大高が口を挟む。
「って、茂央、まさかこんな下らないパズル探しを、わざわざやる気かよ? 下らねえ。奴等の言いなりになるって言うのか」
それに長野邦子が賛同する。
「そうそう。それに今回は足音とかヒントがあったけど、こっから先は何もないんだよ?」
「わかってる。2000ピース全部見つけられる保証はない。ただ、今からの話は、コンピューター室でしたい………」
―――一旦コンピューター室へ戻った一同は、茂央に焦点を集中させる。
それを前に、茂央は椅子に腰をかけ、歯と舌を使って、口の中にあるキューブの形をしたチューイングキャンディーを弄びながら話を続けた。
「俺等はパズルを探すフリをしながら、この状況の打開策を考えるんだ。最初からパズルを探す気が無いと悟られてしまっては、奴等は警戒し、隙が無いよう用心するだろう。
だが、俺達が言いつけ通りパズルを探していれば、奴等は特進クラスを牛耳った気で優越感に浸れる。だから、俺達は奴等に優越感を与えることを意識しながら、行動するんだ」
「その優越感が、唯一つけこめる隙だと?」言ったのは大高だった。
「そう。勿論、フリをしている間に見つけたパズルがあれば、回収する。
何でもそうだが、自分にとって物事を都合良く運ばせたい時は、自分を客観的に弱く見える立場に置くんだ。男は女の涙に弱い、なんてよく言うのもその一つ」
首を上下に揺らしながら聞いていた梓が軽く笑みを見せる。
「アンタ、詐欺師になれるかもね。で? 考えるって、具体的にどうするか、大まかにでも決まって無いと進まないことない?」
「ああ、全く考えがないわけじゃない。ただ、この作戦は、最終的にはかなり危険だ。先ず、外で奴等が何人か見張ってる筈だから、どこに何人いるか、出来るだけ具体的に把握する必要がある。勿論、“パズルを探すフリをしながら”ってことを忘れないように」