その声につられ、コンピューター室から出てきた全員が上に目を向ける。
真っ白な天井に1ピースだけ、不自然に貼りつけられたパズル。すると茂央は、一言だけ「ほうきをとってくる」と言い残し、近くの3年D組のクラスの扉を引いた。
*
茂央は両手でほうきを握り締め、天井にあるパズルの側面をつつく。すると、両面テープの効力が次第に薄れていき、やがてそれは抵抗する手段を失い落下した。
パズルを拾い上げ、指と指に挟まれているそれを眺めながら、してやったりな笑みを浮かべる茂央。横でそれを見ていた大高が訪ねる。
「お前、そう言えばコンピューター室で静かにするようやけに俺達に言ってたよな? で、奴等がコンピューター室から出ることを許可した途端、まるで待ってたかのように廊下に飛び出した。お前の行動は少し不自然だ。どういうことだ?」
「鋭いね雅規。それを不自然に思うなんて」
「つかここにいる全員、お前の行動には違和感を感じていた。別に大高に限ったことじゃない」
横から丹野哲哉が口を挟む。茂央が続ける。
「まず、俺は奴等が裏をかいて、あえてコンピューター室の近くに隠す可能性を疑ったんだ。でも、神経を研ぎ澄ませば絶対にごまかせないものがある。何だと思う? ヒントは、俺がお前等を静かにすることを強要したこと」
「足音だろ」
間髪を入れずに大高が答える。
「正解。俺はその可能性を探る為、足音に耳を澄ませていたんだ。したら、読み通り、聞こえたよ、足音がね。でもそれだけじゃ、近くに隠したことまでしか特定出来ない。そもそも近くに隠したかさえ怪しい」
眉間に皺を寄せながら長野邦子が問う。茶色い前髪に潜んだ瞳を、茂央に向けて光らせる。
「回りくどい言い方してないで、サッサと要件だけストレートに言ってほしいわ。聞いてんの、だるいのよあたし」
「で! この消火器の入った壁の蓋を開ける音で、奴等はここに隠したと思わせていたが、それはフェイク。実は何か長いものを使って、天井に両面テープつきパズルのピースをくっつけていたってワケ。ストレートに言ったつもりだけど、満足していただけただろうか、長野さん?」
今度は茂央が長野邦子を睨み返す。
真っ白な天井に1ピースだけ、不自然に貼りつけられたパズル。すると茂央は、一言だけ「ほうきをとってくる」と言い残し、近くの3年D組のクラスの扉を引いた。
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茂央は両手でほうきを握り締め、天井にあるパズルの側面をつつく。すると、両面テープの効力が次第に薄れていき、やがてそれは抵抗する手段を失い落下した。
パズルを拾い上げ、指と指に挟まれているそれを眺めながら、してやったりな笑みを浮かべる茂央。横でそれを見ていた大高が訪ねる。
「お前、そう言えばコンピューター室で静かにするようやけに俺達に言ってたよな? で、奴等がコンピューター室から出ることを許可した途端、まるで待ってたかのように廊下に飛び出した。お前の行動は少し不自然だ。どういうことだ?」
「鋭いね雅規。それを不自然に思うなんて」
「つかここにいる全員、お前の行動には違和感を感じていた。別に大高に限ったことじゃない」
横から丹野哲哉が口を挟む。茂央が続ける。
「まず、俺は奴等が裏をかいて、あえてコンピューター室の近くに隠す可能性を疑ったんだ。でも、神経を研ぎ澄ませば絶対にごまかせないものがある。何だと思う? ヒントは、俺がお前等を静かにすることを強要したこと」
「足音だろ」
間髪を入れずに大高が答える。
「正解。俺はその可能性を探る為、足音に耳を澄ませていたんだ。したら、読み通り、聞こえたよ、足音がね。でもそれだけじゃ、近くに隠したことまでしか特定出来ない。そもそも近くに隠したかさえ怪しい」
眉間に皺を寄せながら長野邦子が問う。茶色い前髪に潜んだ瞳を、茂央に向けて光らせる。
「回りくどい言い方してないで、サッサと要件だけストレートに言ってほしいわ。聞いてんの、だるいのよあたし」
「で! この消火器の入った壁の蓋を開ける音で、奴等はここに隠したと思わせていたが、それはフェイク。実は何か長いものを使って、天井に両面テープつきパズルのピースをくっつけていたってワケ。ストレートに言ったつもりだけど、満足していただけただろうか、長野さん?」
今度は茂央が長野邦子を睨み返す。