※山田悠介氏の原作を完全に無視して作った話なので、予めご了承下さい。

湯浅茂央は都内で5本の指に入る程の進学校ということで有名な、東京都練馬区立聡銘学園高等学校の特進クラスに在学している高校3年生だ。
父親は政府関係の仕事に就き、母親は大富豪の娘で父親と結婚し、茂央を産み、茂央が学校にいる間は家事に勤しんでいる。と言えば聞こえはいいが、茂央はそのことをあまり快く思ってはいないのだ。
自宅の玄関のドアを開ければ真っ先に顔を出し、勉強のことを尋ね、自分の部屋へと続く階段を上りながら聞こえるのは母親から発せられる「晩御飯まで勉強をしてらっしゃい」の一言。
故に中学時代まではまともに勉学に勤しんでいた茂央も、高校に入学してからはテスト前日でも無ければ母親には勉強している様を装い、漫画や小説に時間を費やしている。
鞄を机の横に下ろし、制服のブレザーをハンガーに掛けた後、その日は珍しく机に座って腕を組み、突っ伏した格好ですぐ眠りについてしまった。