元春「年が離れているのがやや難点だが、
俺の恋人にしてやる。」
姉「ちょ!アンタ何言って…。」
私「ムリ。彼氏いるから。」
元春「秒で断るなよぉ~!!
なんでだぁ~!!」
私「いや、なんでって言われても…。」
ふたたびいとこは両手で頭を押さえて、
ぐるんぐるん頭を振り乱しました。
正直、ドン引きしております。
ちなみに彼氏がいる、というのは本当の話。
元春「お前、彼氏いないって言ってただろ?
俺が親切にひろってやるっていってんだから、
ウソつくなよ!?」
私「は?なんの話?」
元春「お前、地味で陰気なんだし、
彼氏がいるわけないだろう?
断るにしても、もっとマシな口実作れよ?」
私「え?どういう事?
なんで私が嘘ついてると思ってるの?」
元春「お前、前言ってたじゃないか?
恋人いるのかって俺が聞いたら、いないって!」
私「え!?」
元春「だから恋人欲しいんだろっ!?
しんじゅは地味子なんだから、
彼氏いるわけないんだし、
ミエミエのウソつくなよ!(笑)
恋人ほしいんだろっ!?
俺がなってやるって言ってんだよ!
人の好意は素直に受け取れよ!」
私「え!?ちょっと待って!
それってアタシが二十歳ぐらいの時の話だよね!?
アタシは元ちゃんに、
恋人いないのかって聞かれたから、
その時、いないって正直に答えただけで、
アタシは元ちゃんに恋人が欲しいとか、
誰かを紹介して欲しいとか言ってないよね?
それでなんで元ちゃんが、
アタシにそんな事を言ってくるのか、
よく分かんないんだけど?」
元春「ふぅ。
俺の誘いを断るなんて、頭悪いなぁ!
いや、性格が悪いのか?(笑)」
私「え…。」
姉「ちょっと!」
元春「そんなの信じられるわけないだろ?(笑)
誰がどうみたって、お前、
売れ残りそうじゃないか?(笑)
彼氏がいるなんて、
そんなウソをついて、みじめじゃないか?
それを俺が拾ってやるって言ってんだから、
素直になれよ。
むしろ感謝してもいいくらいだぞ?」
私「…ふられた腹いせに人格否定か…。
器が小さい男だな。」
姉「ちょっと!
なにしんじゅに粉かけてんのよ!
嫌がらせのつもり!?」
元春「芙美花が俺の恋人にならないって言うからだろぉ!
俺は芙美花の方がいいんだっ!
性格きつくても美人だしなっ!?
俺はこれでも妥協して言ってやってるんだ!」
姉「はぁ?頭おかしいんじゃないの?
しんじゅはモテるのよ!
なんでよりによって、
アンタを選ばなきゃならないのよっ!」
元春「しんじゅが男から選ばれるわけないだろう!?」
私「その根拠はなんだ?」
元春「もさっとしてて、地味でブサ子だからだ。
一生独身だろう、コイツは。」
私「ぶさこってなんだ?」
元春「知らないのか?
顔面偏差値が低いってことだ。(笑)」
私「ブサイクのぶさ子か…。
なるほど。
そんなに下に見ている相手なら、
わざわざ選ばなくてもいいのに、
なんで私を恋人にしたいと思ったんだ。
元ちゃんと恋人になったとして、
私に何のメリットがあるんだ。
ずいぶん自信たっぷりだが、
元ちゃん自身には何の魅力があるんだ。
それらをすべて言ってみろ。」
元春「俺の親は金持ちだ!
結婚したらいい暮らしができるぞ?
それに嫁・姑問題ももう解決だ。
元々、叔母と姪なんだから、
もめることもないだろう?」
私「ダサッ!
親と同居が前提かよっ!?」
姉「はぁっ!?
どこにもアンタ自身の魅力がないじゃないっ!?」
元春「その点、しんじゅには若さしかとりえがない。
だがそれなら、最悪俺の老後の面倒も見てもらえるしな。
まぁ、しいて言うなら、
性格がおとなしいところが美点かな?
俺の言う事もききそうだし。」
私「お断りだ。
例え今、フリーだとしても、
私が元ちゃんを選ぶことはない。
そもそも人様に迷惑をかけても、
なんとも思わない人間を、
恋人や人生の伴侶にしたくはないし、
それ以前の知人・友人レベルでも
付き合いをお断りする。
話にならないな。」
元春「さっきから聞いてたらさぁ、
おかしくない?
俺、お前よりずいぶん年上なんだよ?
なんにも俺に気を使っていないじゃないか?
もっと、こっちの気分を良くさせる、
気配りとか、気づかいできないのか?
親切に声をかけている俺に対して、
なにか褒める言葉とか、無いわけ?」
私「あぁ、そうだな。
人を不愉快にさせるのがうまいな、
元ちゃんは。」
パン・パン!
いとこは両手を叩いて、笑いだしました。
元春「なにソレ!
全然面白くないんですけど(笑)
冗談のレベルが低すぎ!
やっぱ、しんじゅは頭悪いなぁ(笑)」
バアン!
姉がテーブルを勢いよく叩きました。