これは、私個人が体験した、記録です。
気分が悪くなられる方もいらっしゃると思うので、そういう気分でない人は、回れ右してくだされ。
私は自分の携帯を握りしめて、硬直していた、ように思う。
時々、私の口から漏れ聞こえてくる不穏な言葉に、(ちょっと距離をおいて)立っていた友人が、心配げに私を見つめてきた。
彼女は手のひらをひらひらとひらめかせて、私に注意を促してきた。
それで、再び、気を取り直して、私は言葉をつづけた。
まるで頭が混乱していた。
大地さんの言っている言葉の意味がよく分からない。
とにかく、私の事をバカにしてきているのだけは、分かったが、ここでも、私はまだ、大地さんが真央さんとつながっているとは気づいていなかった。
とにかく…。
私の事をどう思っていようが、真央さんがやったことはとても危険だから。
大地さんが真央さんから離れないなら、留美子さん(大地さんの奥さんで私とも面識がある)だけでも、真央さんから離れるように伝えてください。
大地「はぁ…。
あなたも、たいがい、鈍いですよねぇ。
僕と留美子は一心同体なんですよ。
無駄な忠告です。
大丈夫ですか?
だいたい震災がなんだ、かんだとおっしゃっていますが、広島県ではそんなニュース聞いたことがありませんよ?」
は?
大地「震災なんてありませんよ。
何を言っているんですか?」
いや、東日本大震災で、津波が起きて、何万人も被災して…。
地震や津波だけじゃなくて、原子力発電所が放射能を…。
大地「原発がどうかなったらニュースになるでしょう?
そんなニュース、聞いたことありませんよ?」
あの、死者が何万人も…。
まだ、見つかっていない人もいるから、もっと増える…。
大地「だからぁ、そんな事実はなかったの!
大丈夫ですか?
しんじゅさん。」
あの、NHKで…。
いや、ACで、毎日放送が止まって…。
大地「もし、仮に震災があったとしてもね、死者はないか、とても少なかったと思います。
だって、僕はそんなの、知らないから。
それを、何を大げさに言っているんですか、しんじゅさんは…。
被災者が何千人も集まってだなんて、もう、妄想もたいがいにしてくださいよ、まったく…。」
あの…大地さんは、今、お酒を召していらっしゃる?
大地「アハハ、何を言っているんですか!
今、土曜日の昼間ですよ!
午後2時!
僕はさっき仕事が終わったばかりで、お酒なんて飲んでいるわけないでしょう?」
あの、それじゃ、実は体調が悪いとか…。
徹夜明けでハイになっている、とか…?
大地「それは、あなたの方でしょう?
しょっちゅう体調が悪いとか、なんとか、ぐずぐずして。
残念ながら、僕は快調、快眠、快便です!
自分の体調の悪さも、妄想がすぎるからですよ?
ご自分の身に置き換えて、物事を考えてください、まったく、これだから頭の悪い人は…。」
しらふで…言っているんですか…。
大丈夫なんですか、大地さんは…。
大地「僕はねぇ、あなたの、そういうところがイラっと来るんですよ。
なんですか、それ。
親切ごかしに、偽善者っぽくて、本当に気持ち悪い…。
だいたい、イレブン・スター☆だなんだ、なんていって、チャラチャラして、どうせお金目当てでしょう?」
お金…。
いったい、被災した人たちからお金を巻き上げて、何をするっていうの…?
家も家族も仕事もふるさとの風景も失った、生活するのも大変で、生きる気力がギリギリの人たちからお金を取って、なにが…。
大地「そうそう、分かっていますよ、お金目当てじゃないだなんて、そんな薄っぺらいウソをついて!
みっともない!偽善者が!
ほら出た、偽善者づら!
ふざけるのは顔だけにしろってか!
貧乏人なあなたが、お金目当て以外に動くはずないでしょう?
まったく、これだから、生まれや育ちの卑しい人間は嫌になる…。
それか、あれだ、名声や、栄誉目当てだ、嫌らしい。
それで、清らかな真央さんを貶める発言を繰り返して、自分の愚かさにめまいを覚えませんか?
どれだけ、恥の上塗りをしたら気が済むんですか?
まったく、迷惑なんですよ、イレブン・スター☆だって。
いくら頭が悪くて、妄想がひどいからって、世の中の流れに逆らっています。
だって、真央さんは素晴らしい方なんですよ?
彼女のすることが正義なんです。
それで、何千人もの人間が死んだって、いい事じゃありませんか?
まったく、あなたは人助けだなんだ、なんて言って、余計なことをしてくれたものですよ。
社会の悪ですよ、まったく。」