<集中力がどんどん低下>
最近、わが子がボーッとしている。成績も急降下、朝になっても起きてこなくなった。育て方が悪いのか?いや、妻が必死になってダイエットしているせいだ。
ちっとも太っていないのに、ダイエットに熱を上げる。多くの女性に見られる現象だ。そんな過剰な「やせ願望」が低年齢化し、深刻な問題になっている。
文科省の10年度の調査によると、痩身傾向児(性別・年齢別・身長別に出した標準体重から求めた肥満度がマイナス20%以下の体重の児童)の出現率は、小6が2.8%で、中1は3.1%。35年前に比べ、それぞれ2.4倍、1.9倍も増えている。
中には、小学生なのにむちゃなダイエットをして摂食障害に陥ってしまうケースもある。
それはダイエットに必死になっている母親のせいもある。「成功する人は缶コーヒーを飲まない」の著者で、心療内科医の姫野友美氏(ひめのともみクリニック院長)が言う。
「子供は、いちばん身近にいる母親の言動に大きな影響を受けます。誤ったダイエット志向を持った母親が、〈やせなきゃ〉と食事制限や偏食を繰り返していると、それを見聞きしている子供は〈自分も〉と思うようになる。食事の時、母親が〈太るから食べない〉と我慢している姿を見たら、子供も食べる量を減らしたり、偏った食事を取るようになる。エスカレートして無理なダイエットに取り組んだり、摂食障害を引き起こす恐れもあります」
心身とも急激に成長する思春期に過度な食事制限をすると、体に必要な栄養素が取り込めなくなる。低カロリーで脂質の少ない物ばかり食べていると、体をつくるために必要なタンパク質や脂質、鉄分、ビタミンB群なども不足する。それが子供の将来を潰す。
「まず、脳の機能が低下していきます。人間の脳は、40%がタンパク質、50%が脂質でできている。この2つが不足すると脳がきちんと成長できなくなり、気力や集中力も失われていきます」(姫野氏)
鉄分が欠乏すると、学校の成績が落ちる。集中力や問題解決力が衰え、朝、起きられなくなったり、ちょっとしたことでイライラするようになる。筋肉や骨が一気に成長する思春期は、より鉄分が必要。ただでさえ脳に回る分が少なくなるから、そのまま栄養障害を放っておくと“引きこもり”へまっしぐらだ。
<小児うつになる危険も>
「ビタミンB群が不足すると、記憶力、反応の速さ、知能の発達、物事に対する興味や関心が衰える。これは海外の調査でも明らかになっています。いつもボーッとしていて、勉強も部活も遊びにも興味がなくなる。部屋にこもりがちになり、いずれうつになってしまうケースもあります。このところ小児うつが増えているのも、食事が大きな原因になっているのです」(姫野氏)
最近は「隠れ肥満」も急増中だ。外見はスリムに見えるが、脂肪と筋肉の比率を調べると体脂肪率が高く、筋肉量が極端に少ない。母親の影響でダイエットに没頭し、食事制限をしてタンパク質を取らないから、筋肉がつくられない。近年、問題視されている若年層の体力の低下は、それも一因になっているのだ。
「心身が成長しきっていない子供の無理なダイエットは、身体的機能にも精神的機能にも悪影響を及ぼします。子育てを任せきりにしている夫は、妻が過剰なダイエットに走っていないか注意した方がいい」(姫野氏)
なるべく一緒に夕食を取り、妻や子供がどんな物を食べているのかをチェックする。仕事で帰宅が遅くなり、いつも自分の分だけしか用意されていない人は要注意。まともに食事しているのは自分だけで、妻と子供はダイエットするためにロクなものを食べていない危険もある。
妻のダイエットをやめさせろ。