さてオーディションが始まりました。どんな展開になるのかな?今回もキョーコsideから見たお話です。では、どーぞ!
⚠️「」→日本語。『』→英語。となっております。
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アパレルブランド『Anju(アンジュ)』の新商品イメージモデルのオーディションが始まり、各々のプロフィール紹介やアピールタイム(審査員との受け答えや特技披露)が行われていた。
皆、自信満々に受け答えしたり色んな特技を披露している。
バレエを踊ったり、ピアノやバイオリンを弾いたりと。
そんな中で私の番となり、プロフィールの紹介と審査員との受け答えはまずまずと言った感じに。
今回のオーディションは、一応年齢制限があって15~20歳までとなっていた。だから同世代くらいの女の子が多かったのね。
人種もバラバラ。
欧米人(白人)だけでなく、私と同じ日系人に他のアジア系や黒人系も数人いたし。
続いて特技披露タイムとなった。私は最初、LMEの事務所オーディションの時にやった大根の桂剥きをしようと思ったら、ジュリママに猛反対をくらってしまったのでそれはやめることに。
そこで別の特技は、無いかと聞かれた時にカラオケで満点を出した事があると言ったら、それでいこう!と言われてしまい歌を唄うことになってしまった。
BOX"R"の打ち上げパーティがカラオケBOXで行われて、皆から勧められて歌ったのが演歌でたまたま満点だったから特技になるのかな?と思って言ってみただけなんだけどね。
『特技は、歌を唄うことです。日本の歌ですが宜しいですか?』
私は、丁寧な英語で説明すると審査員の皆さんが頷いた。
そしてスタッフの方がマイクを持ってきてくれて、用意されていた音源がスピーカーから流れてきて私は、思いっきりコブシを聞かせた歌を唄い始めた。
そう日本が誇る歌唱曲、演歌である。
因みに唄ったのは、『夜桜お七』だった。
私が唄い終わり、お辞儀をして顔を上げるとその場にいた人達全員が呆気にとられた顔をしていた……😓
良く見ると、ジュリママと久遠さんも項垂れていたし。
あれ?これって……まずい💦やっちゃった~~?
『き、君……凄いね。見た目とギャップがあるって言うか😅』
『かなり上手いわよ。日本の演歌って唄うのに、かなり難しいって聞くけどプロのレッスン受けてた?』
『いや~~聞き入っちゃったな。ギャップも面白いよ!』
しかし審査員の皆さんは、思いの外印象は悪くなかったみたいだ。
そして次は、最終審査。ランウェイステージでのウォーキング披露となっている。
お昼を挟んで、午後やると言うので一時休憩する事に。
私は、ジュリママと久遠(悠人)さんと一緒にホテルのカフェレストランへとやって来た。
「それにしてもあの演歌は、皆驚いてたよな。でも印象としてはかなり残ったと思うよ。」
「ごめんなさい驚かせちゃって…最初は、英語の歌にしようかと思ってたけど。印象残すには、演歌の方がいいかな?と思いきってそっちに変えちゃいました。」
「まぁ、どっちにせよ。一番の要は最終審査のウォーキングよ。しっかり食べて挑みなさい!ほらご飯来たわよ。」
私達が運ばれてきた料理を食べていると、私達のテーブルの近くに2人の女性が歩み寄ってきた。1人はまだ若い私と同じくらいかな?
『久しぶりねジュリ。それにクオンも、それと娘さんのカノンだったかしら?』
『あらアリシアじゃない。久しぶりね、そちらは娘さん?』
アリシアと言う女性が隣にいた少女を見ると、頷き紹介してきた。
『そうよ私の娘のエリアンナ。この子も今回のオーディションに参加してるのよ。まさか貴女の娘も受けてたなんてね。でも残念ね、このオーディションで起用されるのは、私の娘に決まってるようなものよ。』
フフンと自信満々に高らかに娘のエリアンナさんを自慢してきた。緑色がかったアッシュグレイの瞳にプラチナブロンドの髪を持つ美少女だ。私よりも背が高くおそらく170cmを超えている。
母親であるアリシアさんも背が高くそれなりに美人さんだけど…ちょっとポッチャリしてる体型をしている。
『はぁ?何言ってるのかしらね。貴女その体型で良く言えるわね。昔は、細くて私と双璧をなす人気モデルだったのに。』
ジュリママがアリシアさんを笑いながら揶揄してしまい、顔を真っ赤にしてきた。
『何よ!あんたが異常なのよ!あんだけ食べて太らないなんて…それが理由で他のモデルを傷付けてどれだけ廃業に追い込んだと思ってるの!?』
怒り散らして、他のお客さんも驚き注目されてしまい…ジュリママは、ゆっくりと席を立つと……
『私は、他のモデルを傷付けたとは思ってないわ。ただ私の体質に叱咤して、私より痩せてやるって過度なダイエットして体調崩して結局太ってモデルを辞めてしまったのは、あんたでしょ。まぁ今は、大分痩せたみたいだけど。
当時それでもあんたの恋人は、太っても親身になって支えてくれて結局結婚出来たじゃない。こうして可愛らしい子供も授かったのに、まだ恨んでるの?本当にしつこいわね。』
そう言うと、後ろにいた娘さんのエリアンナさんがアリシアさんの腕を抱えてきた。
『ママ、もうやめてよ。皆見てるし私が決まるってそんなわけないでしょ。いくら審査員の中にパパがいるからって…そんなのフェアじゃないわよ。』
『え?あなたのお父さんって、審査員の中にいるの?』
私は思わずその話に受け答えてしまい聞いてしまった。
『う、うん…実は私のパパってアルマンディの広報に勤めてて…今回のアンジュのオーディションでも重要なポストに就いてるの。アルマンディとのコラボCMになるらしくてその関係もあって審査員の一員になったんだって。
私は、モデルとしてはまだ駆け出しで、大きな仕事はしたことなくて今回のオーディションの事をママが知ってパパに頼んで特別に参加させて貰えることになったのよ。
本来ならもう応募締め切ってて、参加できないはずだったのにパパに頼み込んだんですって。3日前にオーディションのこと知っていきなりママが動いたのよ。私なんて、今日の朝知らされていきなりここに連れてこられたから全くレッスンなんかしてなくて……ママやっぱり私辞退するわ。』
エリアンナさんが詳しく説明してくれて、最終的にオーディションを辞退することを言ってきた。
私がオーディションの話を聞いた時は、まだ応募を締め切っておらずギリギリだったので応募することが出来たのよね。
『何を言ってるのエリー!こんなチャンスないのよ。このオーディションに受かればトップモデルへの道が開かれるのよ!それに審査員にパパがいるんだから合格するに決まってるわ。他の審査員にも言ってあるのよ!エリーを推すようにってね。』
そんな出来レース的な話を堂々と話しており、ずっと黙って話を聞いていた久遠(悠人)さんが飲んでいた紅茶のカップを置いてユックリと口を開いた。
『そんなことしても意味ないと思いますよ。娘さんが言うとおりフェアじゃない。もしオーディションを受けるにしても実力でやらないと。貴女は、恥ずかしくないんですか?娘さんが不正はダメだと言ってるのに母親としてどうかと思いますけどね。』
ハッキリとアリシアさんの事を上目遣いで鋭く見つめて叱咤すると、冷や汗をかいてその場を去っていってしまった。
『そんな脅し効かないわよ!見てらっしゃいジュリエナ!』
ドスドスと大きな音を立てて足早にカフェから消えてしまった2人。去る際に、エリアンナさんが私の方を向いて小さな声でsorry(ごめんなさい)と言ってきた。
『ったく…アリシアってば、相変わらずね。エリアンナはあんなに素直な性格してるのに…旦那さんに似たのかしら?花音気にしなくて良いわよ。貴女は、最後の審査に集中しなさいね。』
『はい…。』
私は、エリアンナさんの事が気になって仕方なかった。なんか悲しげな顔をしてたもの。
その後私達は、食事を終えて再度オーディション会場へと戻ってきた。
すると先程とは違って、ランウェイステージの周りには沢山の人達で埋め尽くされていた。
「ええ!?なにこの状況!」
「あらあら凄いわね。まるでさながら本物のファションショーと変わらないわ。」
「一体どんな審査になるんや?」
思わず久遠(悠人)さんも京都弁に戻ってしまっていた。
するとマイクを持った審査委員長がステージ上に現れて説明を始めた。
『最後のウォーキング審査では、実際の客の前でウォーキングをして貰います。そして我々審査員のポイントに加え、ここにいる客300名の投票で合格者を決定致します。フェアに合格者を決めるため、一般人にも協力してもらうことになりました。』
「成る程ねアリシアの事もあって、ちゃんと対策は練ってたようね。道理で店舗のイベントフロアーが会場になってた訳だわ。」
チラリとアリシアさんの方を向いて日本語で納得して話してるジュリママ。
直ぐ近くに、アリシアさんとエリアンナさんいた。その説明に、肩をプルプル震えさせて怒った顔を見せておりそんな様子を見てエリアンナさんが宥めていたのである。
『それとウォーキング審査は、2通りやることになりました。まず1人で歩くソロウォーク&ポージングと、2人で歩くツインウォーキングです。尚、ツインウォーキングで一緒に歩く相手は参加者同士でクジで決めます。』
→⑪に続く。
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いやいやどの国にも、厄介なステージママっているものですね。
さてオーディションも佳境に入ってきました!
そして花音(キョーコ)は、誰と一緒に歩くのかな?
まぁ…察しのいい方は、誰になるのか分かってると思いますが(笑)