怒涛の3話目となります。まさかのキョーコとの渡英宣言をした冴菜さん。どうしたのかな?前話に続き、キョーコsideから見たお話です。

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いきなりお母さんが私と一緒にイギリスに行くと言ってきてビックリ!


「も、最上?キョーコちゃんの仕事に付いて行くきか!?」


「はい。今のところ取り急ぎの案件もありませんし、そろそろ教育担当している新人弁護士にも1人で仕事を任せたいとも思っていたので一部の案件を引き継ぎたいと考えておりました。スケジュールを調整すれば、休めないこともありません。

これを機に、有給も沢山残っておりますし、使っても構いませんよね?働き方改革の一環で、先生も常日頃から休める時は休めと仰っていたではありませんか。

私は、殆ど週休2日制で働いてはいましたが有給は殆ど使って来なかったのですからいいですよね?」


お母さんは、ジリジリと片桐先生に寄って脅すかのように頼んでいる。


「分かった分かった、有給使って構わん💦仕事休んでキョーコちゃんに付いてってやれ!たまには親子らしく、向こうで遊んでこい!!次いでに、曾お祖父さんにも会ってこい!!暫く会ってないんだろう。キョーコちゃんにも会わせてやれ。もうかなりの高齢なんだから産まれてから1度も直接会ったことないんだし、向こうの親戚さんたちにも紹介したらどうだ?」


ん…………?向こうの親戚?曾お祖父さん?


「あのう…今の話って。お母さんってイギリスに親戚いるの?」


「え、えっと…実は、私の祖母、貴女から見ると曾祖母に当たる人は、英国人なのよ。父親と祖父は日本人だけど、母は日英ハーフで私はクォーター。私の曾祖父で、あなたの高祖父にあたる人はもう100歳を超えてるけど尚存命中。長男一家と共に、ロンドン市内で暮らしてるわ。」


その話にビックリした。椹さんも驚いていたし。


「それなら尚更一緒に行った方がいいんじゃないかな?社くんも蓮のマネジメントしなければならないし、代わりに別の社員を付けようと思ってたんだけど、お母さんも英語かなり話せるんだろ?それに未成年のタレントさんの仕事に親御さんが着いてくのも少なくないよ。しかも海外だしね、心配なのはよく分かる。直接仕事に関わらなければ、ノービザでも大丈夫じゃないかな?パスポートも持ってるんじゃありません?それを分かった上で仰ってるんですよね?」


「ええ、イギリスは日本人がパスポートのみで入国して観光旅行が出来る国です。私は、娘に着いてって仕事を見学しつつ旅行を楽しむ体で行けば何の問題はありません。もちろん旅費や滞在費も自費で出します。ついでに親族にも会いに来たと入国審査の時に言えば、難なく入国出来るでしょう。」


その計画に、呆然としてしまった私…😓


「最上、お前な…仮にも弁護士なんだから法の網を掻い潜るような真似するんじゃない。まあ、確かにそれなら無理なく一緒にイギリスに行くことは出来るけどな😅」


そんなこんなで、お母さんも一緒にイギリスに行くことが決定したのである。

私も、初めて高祖父に会えると思うとドキドキしていた。どんな人なんだろうか?それにしても何で今まで、曾祖母がイギリス人であることを教えてくれなかったんだろう。


後日、ラブミー部室にてモー子さんと天宮さんに仕事でイギリスに行くことを伝えた。


「へぇ、お母さんまで一緒にイギリスに行くことになったの。しかしまさかあんたに外国人の血が流れてたとわね。」

「良かったじゃない、仕事終えた後にも曾々お祖父さんにも会えるんでしょ?」

「えへへ😳まさかイギリスに親戚がいるなんて知らなくてビックリしたけどね。2人にもお土産沢山買ってくるから、何がいい?リクエスト受け付けとくけど?」


ワイワイと話し合ってると、部室の扉をノックする音がして開いたら社さんと敦賀さんがいた。


「やあ皆今日は。」


相も変わらずエンジェルラダーを放つ敦賀さん。

正に神の御光とばかりに光輝いている。


「むやみやたらと女共を倒す光放ってんじゃないわよ。」

「何か言った?琴南さん。」


何故か2人には、エンジェルラダーが通じてないみたい。


「社さんから聞いてね、明後日からイギリスでCMの撮影なんだってね。その前にちょっと話がしたくて来たんだ。」


敦賀さんが話がしたいと言ったら、社さんが2人を連れて部室から出ていってしまった。

部室には、私と敦賀さんの二人きりに…。


「座って下さい、今お茶いれるんでちょっと待ってて下さいね😳」


照れながら私は新しい紅茶を用意して、敦賀さんの前に置いた。


「粗茶ですが…😳」

「ありがとう。」


紅茶を少し飲んで、敦賀さんは私の事をジーッと見つめてきた。


「そのイメチェンってCM撮影のためだったんだね。よく似合ってる可愛いよ。」


「へ?は、はい実はそうだったんですよね。CMで演じる女の子が黒髪ロングヘアーだと言うので、地毛の色に戻したんです。足らない長さはエクステンションで足せば大丈夫だと言われて、試しに着けて貰ったんです。

その打ち合わせが終わって事務所に戻ってきたら、マリアちゃんがラブミーツナギで直ぐに私だと気づいてくれたんですけど、髪型に合ってない!って言い出して事務所の衣装部屋に連れてかれて、あのワンピースを着せられた上にメイクまでさせられて。一緒に事務所内をウロウロ歩いてたんです。

そしたら色んな部署の人から声かけられて新人タレントだと勘違いされちゃったんですよね。そうしていたら、セディさんが良く一緒にいる俳優のジャックさんと事務所に来ていたんですよ。

どうも日本の芸能事務所に興味があったらしくて、見学に来てたらしいんです。」


「なるほど…でも何でアイツは、君にコナをかけようとしたんだか。」


敦賀さんがプリンス・セディの事をアイツと呼ぶなんて…良く見ると左手を握りしめていた。


「そんなに怒らなくても、あ、それと!母が敦賀さんにお礼が言いたいと言ってました。」


慌てて話を反らす。


「キョーコちゃんのお母さんが俺にお礼?」

「はい、この後事務所に来る予定なんですけど会えますか?」

「うん、大丈夫だよ。この後は、映究スタジオでの撮影が始まる明後日までオフ貰ってるからね。」


その後、暫くしてお母さんが事務所へとやって来た。いつものビシッとしたスーツ姿ではなく、パンツスタイルの少しカジュアルな服装をしていて、纏めた髪型ではなく後ろに1つに束ねて下ろしていていたので印象がかなり変わっていた。

どこにでもいるような、雰囲気の良いお母さんという感じだけど、やっぱり美形なのは隠せない。

事務所に入ってきた時に少しざわついた程だった。

どこぞの美魔女モデルか?と言われてしまったらしい(笑)


「この度は、娘がお世話になりまして。助けていただきありがとうございました。これは心ばかりのお礼です、どうかお受け取りください。」


お母さんは、丁寧にお辞儀をして高級そうな菓子折りを敦賀さんに差し出した。

良く見ると『京都銘菓』と紙包みに書かれている。わざわざ京都まで行ってきたんだろうか?ん?いやこっちでも買えるかな?


「いえそんな大した事はしてませんよ。こんな上等なお菓子まで…ってあれ?このお菓子って父さんが好きな…」


敦賀さんがハッとした顔をして、慌てて顔を上げた。


「ん?あのう今『父さん』と言いましたよね。敦賀蓮さんのお父様は、このお菓子がお好きなんですか?このお菓子は、京都まで行かないと購入出来ないのですが…ネット通販もしておりません。」


「え?お母さんわざわざ京都まで行ってきてお礼のお菓子買ってきたの?」


「午前中に実家に行ってイギリスに持っていきたい物が保管してあったから取りに行ったのよ。そのついでに同じ嵐山に住む父方の祖父と、父の兄である伯父夫婦と一緒に住んでる母方の従姉のお姉さん夫婦にも久しぶりに会って挨拶して、帰りにこのお菓子を買ってきたのよ。ああ、それと従姉のお姉さんは、父方の従兄と幼馴染みで結婚してるから、そのお二人の間に産まれた息子さんの悠人(ゆうと)くんは貴女から見ると、Wハトコになるわよ。悠人くんとそのハトコに当たる龍夜くんだけは、昔小学生の時に他の親戚の子供達と滋賀に住む親戚のお祖母さんの家に夏休みの間だけ、お世話になった時に会ってるはずだけど…?松太郎君も一緒に行ってて覚えてないの?」


「あんまり覚えてない…😓」


「え?キョーコちゃんの親戚って同じ京都市内に住んでるんですか?じゃあ何で赤の他人である不破家に預けるなんて事を?」


その話に驚いてしまった。同じ京都市内に親戚いたんだ…しかもWでハトコ!?そんな珍しい関係の人いたっけ?

確かに、小学生の時…2年生の頃だったかな?夏休みの期間だけショータローも一緒に滋賀に住んでるって言う、遠い親戚のお家にお世話になった事がある。


そのお家に住んでる、ちょっと年上の親戚のお兄さんやお姉さんが何人かいた記憶はある。他にも、地元の子供達とも遊んだっけ。なんか懐かしくなってきたな。

あの時は、京都から離れてたからショータローのこと知ってる子供はいなかったから、仲良くしてもらったんだっけ。



「それは…まだ話せないわ。でも今回、イギリスの親族には会わせるんだからそれで我慢して頂戴。帰国したら折を見て、父方の親戚達にも会わせてあげる。父方のお祖父様は、まだ高齢な割にはお元気だから何時でも会いに来ていいと仰ってたわよ。私の父親が婿養子であることは、片桐先生に聞いて知ってるんでしょう?」


「うん。お祖母さんは三人姉妹の次女で、お姉さんがお嫁さんに行っちゃったから皆お嫁さんに行くと、最上家を継ぐ人がいなくなるからって、お祖母さんが結婚するときにお祖父さんが婿養子になってくれたって教えて貰った。あと確か、お祖父さんには兄弟が沢山いて五人兄弟の次男だってことも。でも…旧姓は、教えて貰えなかった。それに仏壇にも仏間にも写真無かったし…位牌はあるのに、どうして?」


私は、お母さんに今まで疑問に思っていた事を聞いてみた。

ふと敦賀さんの方も見てみると、何故か菓子折りを持ったまま冷や汗をかいていた。


「嵐山に住む祖父と伯父夫婦…五人兄弟……従姉夫婦………悠人…………😨」


何かブツブツ言っているけど、どうしたんだろうか?


「あのう…😓敦賀さん?どうかしたんですか?」

私が顔の前で手をフリフリしたらやっとハッとして気付いてくれた。


「あ、あのいやこのお菓子そう言えば、父がよく知り合いにお願いして送ってきてくれたなぁ。って思い出したんですよ。」


何だか、取って付けたような話にも聞こえなくはないともとれたけど…?


「それはそうと明日の朝には、イギリスに発つんだよね。渡したい物があってちょっといいかな?両手出して貰っていい?」


そう言うとジャケットの内ポケットに手をいれて私の両手の手のひらに、ピンク色のリボン付きの透明ケースを置いてくれた。

中には、小さなバラのチャーム付きのゴールドチェーンが入っていた。


「うわぁ可愛い💠」

「かなり遅れたけど、ホワイトデーのお返しって事で。プリンセス・ローザを着けてたチェーンまた壊れちゃったって言ってなかった?もし良かったらこれ使ってみて。」


「え?ホワイトデーのプレゼントはもう貰ってますよ。ディジョウェイランドのチケットくれたじゃありませんか💦」


「そうだけど、社さんに言われたんだよね。チケット二枚じゃバレンタインのワインゼリーのお礼にしては割に合ってないぞって。

後で調べたんだけど、ゼリーに使ったロゼワインと一緒にプレゼントしてくれたクリスタルカップ合わせると少なくとも三万円以上かかってない?あの時は、メルヘンな物が好きな君だったらこれが一番かな?と思って遊園地のチケット送ったけどやっぱりもう少しちゃんとした物を贈りたいなと思って考えてね。これなら実用性もあると思って。」


「ありがとうございます😳」


お礼を言っていうと隣にいたお母さんが、敦賀さんに般若の目を向けていた。


「へぇ…ただの事務所の先輩なのに、三万円以上かけてバレンタインにプレゼント…お返しに遊園地のチケット…約半年送れでゴールドチェーンですか。まぁ一応お返しにはなってますからね、わざわざすみません娘のために色々としてくださって。」


顔は、笑ってるけどドス黒い何かが出てるのは分かってた😅


その後、社さんが合流して明日から一緒にイギリスに行くマネージャー代理の社員さんである松永さんを紹介された。

マネジネント部に今年入った、新入社員だけど海外留学の経験があって英語も話せると言うので抜擢されたらしい。


互いに挨拶を交わして、お母さんにも紹介。

明後日からイギリスでの撮影、約1か月もかけたロケーション。

そして…初めて会う、イギリスに住む曾々お祖父さん。ドキドキする気持ちを胸に私は次の日の朝、日本を旅立った。


 に続く。

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またやってしまいました😅

このお話での、キョーコの身内には他の二次設定と同じ設定を使っております。


でもちょっとだけ変更してる部分もあり、名前や年齢、立場も変わっていたりするところも。

その方が面白くなるかな?と思って外国人混血疑惑を使わせて貰った次第です。


それと昔小学生の時に滋賀で夏休みに親戚の家で世話になっていたと言うお話は、君ハピと全く同じになっております。

なので村雨君とも、キョーコは幼い頃に出会っております。

本誌(原作)でも、ライヤーに扮したキョーコに初めて会った気がしない。と言ってましたが、それは雪花の事だと思ってますが、このお話では幼い頃にも出会ってる事も伏線にしています。