京都の実家へと帰ってきたら、ヒズリ家の面々と再会した私と敦賀さん。
敦賀さんから見ると、伯父さん夫婦とイトコ。
私から見ると、従姉妹伯母夫婦とハトコ。
特に息子の悠人さんとは何か珍しい関係らしくて、ダブルハトコで血筋的にはイトコに近いらしい。
どういうわけか伯母さん夫婦の事はなんと無く覚えてるのに、悠人さんの事がどうしても思い出せない。
赤ん坊の頃は、兄妹同然にくらしていて小学生の時にも一度会っているらしいけれど……思い出そうとしても、何か頭にモヤがかかったのようになって思い出せない。
その理由は、数日後に判明することになるんだけど。
翌日にはBOX"R"の撮影にクランクイン。まずはロケの撮影から始まった。
今回のSP版は、ドラマの最終回から3年後を画いたお話。
私が演じる、ナツは学校でのイジメや暴力が原因で病院送りとなった生徒やその親から傷害罪で訴えられて最終的には逮捕され少年法によって裁かれ女子少年院へと送致されていた。
2年間女子少年院で服役した後に出所したナツは、保護観察所の斡旋で京都嵐山にある酒造会社へと就職し事務員として働き、前科持ちである事を隠して独り暮らしをしている。
しかし酒蔵で働き始めて1年が経ったある日、少年院にいたことがバレてしまい会社内でイジメにあってしまうという今度は、ナツが社会人イジメに合うと言うストーリー。
ドラマ本編は、学校でのイジメをテーマにしていたがSP版は企業・会社内で起きている社会人のパワハラ・イジメをテーマに描いている。
更にナツは、ちゃんと過去に犯した罪と向き合い真面目に更正している設定にもなっていて、両親とは絶縁状態、友達もおらず1人寂しく故郷から離れた京都嵐山で暮らしておりかつての仲間とも連絡はとっていない。
そんなナツを気にしている、酒蔵の社長の息子役を敦賀さんが演じる事になったのだ。
「よーしOK!次、村雨君と愛華ちゃん入って!京子ちゃんと敦賀君は次のシーンまで待っててな。」
安南監督の声が現場に響きわたる。
嵐山にある本物の酒造会社と酒蔵を借りての撮影。撮影が始まって数日経ったある日の事。
沢山のスタッフやキャストが入り交じる現場。更に地元民や観光客も野次馬と化して大勢の人でごった返している。
「あの野次馬達どうにかならないかな?特に地元の人達、蓮とキョーコちゃんの事をジロジロ見すぎだよ😥」
社さんが私達にペットボトルの水を渡しながら愚痴を言ってきたけれど……しょうがないわよね。
「仕方ないですよ。俺達、地元の人達からは完全に身内だって思われてるんですから。」
「そうですね、もう私も腹くくって開き直っちゃえばいいやと思って行動してますし。」
そう私達は、もう完全に開き直っている。今朝も堂々と実家から撮影現場に二人して歩いてきたし。
隣近所の人達にも毎朝、挨拶もしている。そうしていたら、いつの間にかご近所のおば様達が敦賀さんの事を"坊っちゃん"とか"キョーコちゃんのお兄さん"なんて言うようになっていたのには苦笑いしちゃったけど😅
それと仕事の時は、敦賀さんと呼んでいるけど家に帰るとコーンと呼ぶようにもなっていた。
何か"敦賀さん"て言われるの他人行儀みたいで嫌だから、名前で呼んで欲しい。って言われたのよね。
何か恥ずかしがってたら、だったら"お兄ちゃん"でもいいよ。なんて言ってくるし💦
じゃあせめてコーンでもいいって言うので、そっちの方が呼び慣れてるからそう呼んでいる。
「私は、旅館に泊まってるけど。楽しそうに過ごしてるみたいね。良かったじゃない蓮ちゃん。キョーコちゃんと睦まじく暮らして何か新婚さんみたいよ~むふふ😁」
ミューズ様が私のメイクを直しながらからかってくるもんだから、思わず声を上げてしまって監督に怒られてしまったけど。
「社さんとテンさんも俺達と一緒に最上家にいればよかったのに。テンさんは何で旅館に泊まってるんですか?」
「ん~?だってなぁ。俺は、現場だけじゃなくて時々は事務所にも戻らないといけない時もあるし、それに俺の父方の祖父母の家がキョーコちゃん家より遠いけど同じ右京区にあるからな。
俺もたまには一緒に過ごしてみたくなっちゃって、連絡してみたらいいでー!って言ってくれたんでそっちに泊まってるんだよ。」
「私は、二人の仲を取り持つためよん🎵」
実は、社さんもお父さんが京都出身だったのよね。もしかしたら幼い頃には、何処かで会っていたのかも?なんて考えていたら村雨さん達のシーン撮りが終わって一旦お昼休憩を挟む事になった。
「よっ!おっ二人さん。仲良く何話てんの?」
「京子ちゃん一緒に食べようよ。あっちにケータリングサービスが来てるんだって。行こう!ほらほら。」
村雨さんと愛華さんが私達の所にやって来たので、一緒に食事に行くことに。
ケータリングが来てるなんて、随分豪勢なお昼にしてるのね。全員でそっちに行ったら……な、何か凄いお店が入ったトレーラーみたいなのが来ていて仰天してしまった。
「んな、何じゃこりゃあ!?何かハリウッド映画のメイキングで見たことあるぞ!こんな場面!!スゲーな、金かかってんぞこれ。スポンサーが出してくれたんか?」
村雨さんがそう言うと、スタッフの何人かが慌てているのに気づいて出演者や他のスタッフ達に食べ物を頼まないように言ってきた。
「ちょっと待って!皆!!このケータリング誰が頼んだかまだ分かってないんだよ💦今、確認とるから!!」
「え?これって誰が頼んだか分からないんですか?もしかして監督かプロデューサーって事はないですよね…?」
私がスタッフに聞くと、なんかそれも違うらしくて。監督達も慌ててやって来ると、皆もビックリ仰天していた。
「オイオイ、これ誰が頼んだんだよ!!ロケ弁当頼んでたはずだけど!?」
「それわしが頼んだんや。ロケ弁当を発注した店にはキャンセルしといたから皆で食べや。金は出してあるから全部タダやで。わしからの差し入れやさかい、たんと食べとき。」
その声に皆が振り返ると、そこにいたのは私が見知ったお爺さんだった……。
「ん?誰だこの爺さん。」
村雨さんと愛華さんは頭を傾げてる。
でも敦賀さんも冷や汗かいてるし……。
「あのさ……京子ちゃん、敦賀君。俺、このお爺さん知ってるんだけど💧この人君たちの身内の…ここの…」
安南監督が言いかけると……お祖父さんが監督の口の前に右手を差し出してピースサインに代えた。
「わしは、キョーコちゃんの茶飲み友達のちりめん問屋の隠居。佐田権佐衛門や!よろしゅうな😁!」
ずべっ!!ゴン!!ずるっ!!
その自己紹介に、思わずその場にいた地元の人達がずっこけたのは言うまでもない……💧
→25へ。
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ありゃ?悠人君ではなく、権佐衛門じいちゃんが来てしまいました(笑)
さてキョーコの記憶は戻るのか?それとも、権佐衛門じいちゃんが何か仕掛けてくる??
どうなるのかな??