また暫く三人称となったお話が続きます。
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蓮がCM撮りをしている頃、キョーコは学校の食堂で藤原兄妹や何人かのクラスメートと共に昼のお弁当タイムをとっていた。

一緒にいるクラスメートもソコソコ人気のあるタレントや若手の俳優女優達。何かと目立つ集団の為、普通科の生徒達が注目していた。

「美咲ちゃんのお弁当美味しいわね。ありがとう私にまで作ってくれて。」
「ほんまですか?嬉しい~キョーコお姉様に誉められるなんて!」

目をキラキラさせて少しぶりっ子みたいに言ってきた。
美咲は、キョーコに憧れを抱いているらしく芸名も京子に倣って名前だけにしている。芸歴は、今年の4月にデビューしたばかりなのでまだ半年足らず。
それでも人気急上昇中の若手俳優の藤原咲哉の妹であることをデビュー直後に公表し逆にそれを利用して芸能活動をしている。

「京子ちゃんって前にTVで見たけどさ、スンゲー料理上手いんだよな。プロ並だって聞いたぜ。そんな料理の腕何処で磨いたんたよ?」

キョーコはその問いに少しビクッとしてしまったが本当の理由は言えないのでアルバイト先の居酒屋で覚えた事にして話した。

「居酒屋でバイトして更にソコで下宿してたの?何か京子ちゃんって偉いね。お母さんには全く援助してもらわないで自分で学費や養成所の費用も出してるって、同じ事務所の村雨さんに聞いたよ私。」

「え!?そうなの?えっらーい。」

皆で談笑しながらお昼を食べていると、食堂の入口付近でざわめきが起きているのに気付き皆がそちらを注目すると、不破尚が購買ペースでパンを買っているところを目撃したのである。

「不破君、先生との話終わったのかな?」
「終わったんじゃない?ここにいるってことは。何の話だったのかしらね?」

「入学してたのは知ってたけど、殆ど来てなかったらしいぜ。だからダブったんだよきっと。」

キョーコは、その事を知り内心ではご立腹状態だった。
ショータローの世話をしながらバイト三昧で高校にも通わず生活を支えていたのに、彼は事務所に高校へと入学したのにも関わらず全く学校に行っていなかったからだ。

ショータローは、たった1人だけでテーブルに座りスマホをいじりながらパンを食べていた。

キョーコ達は、お昼を食べ終えて教室へ戻ろうとしたら食堂内にある大型TVに映る人物に皆が注目。

「キョーコちゃん見てみ!アレ、クー・ヒズリさんちゃうか?着物着た女性と一緒に映っとる。」

「え?あ本…んん?ちょっと違うような?」

咲哉に言われTV画面に映る人物をキョーコは、蓮の父であるハリウッド俳優クー・ヒズリではなく別の人物と判断。

「あれクーおじさんのお兄さんのソーおじさまよ。先日、テレビ電話で話したから覚えてる。顔は良く似てるけどメガネかけてて、少し雰囲気違うし。隣にいるのはお母さんの父方のイトコにあたる鞠子おばさんだわ。ソーおじさまの奥さんよ。コレ、何かの表彰式に出てるみたいね。目立つ二人だからマスコミに撮られちゃったんだわきっと。」

キョーコの説明に咲哉は驚いた。

「え?クー・ヒズリのお兄さんってキョーコちゃんのお母さんのイトコやよな?その奥さんもイトコなんか?」

「うん。私のお祖父さんの弟さんの娘だから。クーおじさんのお兄さん夫婦は、母から見ると父方と母方両方のイトコ夫婦になるのよ。お子さんも二人いて、私との関係は世にも珍しいダブルハトコ。血筋的にはイトコに近いの。」

「「ええええ!?」」

キョーコの説明にその場にいた全員が驚愕し呆然。

「二人とも私はまだ会ったことないんだけどね。私より年下だし。敦賀さんも6年前に日本に来たとき会ってるんだけど二人ともまだ幼かったから、素性内緒にしてたんだって。」

「はぁ~~何かキョーコちゃんと敦賀さんって、ホンマに面白い関係やな。益々興味湧いたわ。」

キョーコが学校で皆と談笑している頃、蓮は一仕事終えて次の現場へと車で移動している最中だった。

「社さん、この後少し時間とれますか?ちょっと寄りたい所があるんですが。」

助手席に座ってる社マネに聞いた。

「ちょっと待ってくれ確かめるから。ん~と予定より早くCM撮影終ってるし、1時間くらいなら大丈夫だな。」

「十分な時間ですね。じゃあちょっとアルマンディのアクセデザイナーに会いに寄っていいですか?」

「いいけど…また何か特別に作って貰ってるのか?マリアちゃんの誕生日プレゼントの時みたいに。」

「ええ。ちょっとサプライズでキョーコにプレゼントしたいものがあるもので。」

蓮がそう言うと、社マネがニンマリと笑ってきた。

「なんだって~蓮くん、キョーコちゃんにプレゼントって何作ってるんだよ。サプライズとは、やるね君~グフフ😁」

「だから前から言ってますけど、その笑い方やめてくださいって💧」

蓮は、社マネの含み笑いを尻目に車を走らせた。

37へ。

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まだまだ続く、このお話。そろそろ京介さん出したいんだけどね~😅