駅。
朝の喧騒。
足早に階段を下るスーツ姿の群集。
その横を申し訳なさそうに逆行する初老の男性。
髪をかき上げ、ヒール片手に素足で歩く女性・・・へ?
ヒールのかかとが折れたぐらいでは、止まることすら許されぬ、競争社会の掟。
和服に身を包み、風呂敷を抱えてしゃなりと歩く・・・男性?
人は時として、異性に憧れを抱くもの。
その度合いは違えども・・・。
やがて大きな銀の鈴。
ちょっとした空間に並ぶプラスチック製の長椅子。
そのかたわらに、座るでもなく佇む
一見長身の男性。
背中にまで達した女性なら羨むほどのサラサラな髪。
知的な雰囲気を醸し出すブロウという名の眼鏡。
そしてふと横に目を移せば、
ちょこんと帽子を頭に乗せて、苦虫をかみつぶしたよな表情でこちらを睨む男性。
隣の男性を横取りしようものなら
噛み付いてやるという牽制なのか?
触らぬ髪に、イヤ、神にたたりなし。
その場を早々と離れ、
乗り込んだ新幹線。
荷物を網棚・・・今やしっかりとした棚になっているが・・・荷物をあげながら、ふと後ろの席を見ると・・・
いた!
あの二人だ!