今でさえ亀更新のくせに、調子に乗って続編物書き始めてしまいました。
プロットは完成してるものの、文字に起こしながらの更新となりますので変わらずの亀ですがよろしくお願いします。

挑戦するのは人気のアンこび(笑)
そしてさやみる。
タイトルは「Parallel world」

タイトルの通り平行世界の話で、さやみるとアンこびが出会います。
では、このあと第1話更新します。


「そっか…」
「……」

私の中の大きな決意。
やっぱりずっと一緒に走ってきた珠理奈と 真那の2人に1番に告げた。

たくさんの背中を見送った。
寂しさで涙を滲ませながらも、これからの未来に目を輝かせた眩しい笑顔を何度も見てきた。
次は私の番だ。

「いつかはするって分かってるけど、寂しいね」
『うん、私も寂しい』

7年過ごしたSKE48。
17歳で加入して、青春の全てを注ぎ込んだと言っても過言ではない。
それだけの長い時間を過ごして、信頼し合える仲間が居る場所を離れるのはやっぱり寂しい。

「ひとりで大丈夫なの?」
『不安はもちろんあるよ』

心配そうにそう尋ねる真那に本音を告げる。

これからはメンバーの居ない所でひとりで戦わなきゃいけない。
一緒に泣いて、朝まで語って、時にはぶつかって、その分喜びを分かち合って、たくさんの笑顔を共有した仲間はもう隣に居なくなる。

『けどね、どんな世界に行っても負けない自信あるんだ』

学校じゃ絶対目立たないようにしていた私みたいなのがアイドルグループのSKE48に加入した。
昔から演技には興味があって演劇部の経験もあるけどそれとは違う、しかも私のイメージからはかけ離れたアイドルという職業。
元々アイドルが大好きで、AKB48も好きだった。
アイドルのファンであった私の転機は、そのAKB48だった。

AKB48に姉妹グループが出来るという告知。
しかもそれが地元である名古屋に出来ると言うのだ。
今ではさらに難波、博多、プロジェクトが始動したばかりの新潟、さらに海外まで展開の輪を広げて一大プロジェクトとなっている48グループ。
けど当時はAKB48の人気も知名度も今より全然なくて、地下アイドルにさらに姉妹グループを作るなんて上手くいくはずないと言われていた。
それが私達SKE48の一番最初の評価。

オーディションに合格してレッスンが始まるが、私は劣等生だった。
立ち位置は3列目の端っこで、もちろんソロパートなんてない。
それでもSKE48の1期生として、初日のステージに経った。
気付くと少しずつポジションが変わり、とうとう珠理奈とのダブルセンターにまでなった。
どうやってそこまでなれたかは自分でも分からない。
ただ、毎日必死だった。

センターになってからはさらに必死にならなければいけなかった。
ダンスの先生のレッスンは厳しくて、何度も挫けそうになった。

~ 厳しい授業の後で泣いた  何度もここから逃げたくなった
やっぱり無理かもしれない  すべてをあきらめかけた時  ~
この歌詞のように何度も泣いて、何度も諦めかけた。
試練は沢山あったけど、仲間と支え合いながら乗り越えて来た。
その度に少しずつ強くなった。
デビュー当時の弱い私はもうここには居ない。

姉妹グループなんて上手くいかないと言われた私達は紅白出場を果たし、名古屋ドームでライブを行い、今年の選抜総選挙ではSKE48がどのグループよりも1番ランクインするまでになった。
諦めなければ少しずつでも夢に近づけるのだとSKE48が教えてくれた。

『SKEでたくさん学んだから
だから、ひとりになってももう大丈夫』
「…そうだね!」

ミリオンとか名古屋ドーム凱旋とかSKEメンバーが総選挙1位とか、目標はまだまだある。
でもそれは、最初は危うげだったけど今はしっかりSKEイズムを引き継いでくれた後輩たちに託そう。
私は私の道を…
そして後輩たちの新たな道標になれるように。

「…玲奈ちゃん」
『ん?』

今まで黙りこんでいた珠理奈が初めて口を開く。
目に涙を溜め、それでもその目でしっかり見つめてくる。

「玲奈ちゃんなら、立派な女優さんになると思う!
いつか、48グループのトップになった私と共演しよう!」
『珠理奈…』

初めて出会った珠理奈はまだ小学生で、甘えん坊だった。
同期が初めて卒業した時は嫌だと言って泣いていた。
卒業を決心出来たのは、ずっと肩を並べて走ってきたこの子がこんなに逞しくなったからなのかも知れない。
もう私が居なくても、珠理奈はSKE48を背負って行ける。

負けず嫌いで諦めも悪い。
SKEイズムを具現化したようなこの子なら、いつか本当に48グループのトップにという夢を叶えるかも知れない。
いや、叶えてくれるはずだ。
私もその日までに彼女の言う立派な女優にならなくちゃ。

『うん、約束だよ?』
「もっちろん!!」

もう何個目か分からない珠理奈との約束。
いままでそれをひとつひとつ叶えて来た。

だからこの約束も
いつかきっと…


「あ、でも」
『ん?』
「卒業するまでの間は、玲奈ちゃんにめっちゃ甘えるー!」
『ちょっ、ちょっと(汗)』
「あはは、やっぱ珠理奈は珠理奈だね(笑)」



END


はぁ……

深夜にそっとため息をついたのは、大好きなあの娘の誕生日2日前。

"めっちゃ嬉しいことがあった"

そう言ってるのを聞いたから、明日も早いのに無理をして聞いたラジオ。
そこで彩ちゃんは大好きな声優さんからお祝いメッセージを貰って大喜び。
さらにサインまで貰ったらしく、彼女のテンションはMAXだった。

あんなに嬉しそうな声聞いちゃったら、私が用意したプレゼントなんて渡し辛い。
アニメやゲーム、バンドが好きな彩ちゃんの趣味は私にはあまりよく分からない。
だから私が用意したプレゼントが嬉しいとは限らない。
もう今年は一番嬉しいプレゼント貰っただろうから、いっそ渡すのやめてしまおうか…
うん、それでいいや。
そう決めて、プレゼントの包みを鞄の奥にしまいこんだ。



『けど付き合ってるんやから、やっぱお祝いはせなアカンよな』

そう思い直したのは7月13日の午後11時50分。
あと10分すれば彩ちゃんの誕生日。
明日彩ちゃんと趣味が合いそうなメンバーに聞いて、誕生日プレゼントをあらためて用意しよう。

とりあえず日付が変わったらお祝いメールだけ送っておこう。

"コンコン"

ホテルの扉を叩く音がしてメールを打つ手を止める。
時計を確認すると真夜中5分前。

『こんな時間に誰やろ?』

もー、0時ちょうどにメール送れへんやんかアホ!

心の中でそんな悪態をつきながらノックした人物を確認する。

『え?』

そこには私を悩ませていた張本人が居て、慌ててドアを開けた。

『彩ちゃん…どうしたん?』
「ちょっとな…入ってええ?」
『あ、うん』

部屋に入った彩ちゃんはベットに座って辺りをキョロキョロしている。

『どうしたん?』
「いや、特に何もないねんけど…」
『じゃあ何で来たん?』
「用なかったら来たらアカン?」
『そんなことないけど珍しいから』
「たまにはな…あっ」

短く声を上げた彩ちゃんに釣られて、彼女の見てる方向に目をやる。
時計の針がちょうど0時を指していた。

『あ、0時や
彩ちゃん誕生日おめでとう』
「ありがとう!」

さっきまでキョロキョロして挙動不審だったのに、おめでとうと言った瞬間嬉しそうな笑顔を見せる。

『彩ちゃんもしかして…』
「ん?」
『祝って欲しくてここ来たん?』
「べ、べつにそういう訳じゃ…」

祝って欲しかったんやなこれは(笑)

『彩たん可愛いなー』
「う、うっさい!」

ニヤニヤしながらほっぺを突っつくと、顔を赤くしてプイッとそっぽを向く彩ちゃん。
その時、ケータイが鳴って彩ちゃんが画面を確認する。

『おめでとうメール?』
「うん、山田から
あいつこういうのはマメやな」
『あーっ、いきなり彩ちゃんが来るから0時ちょうどに彩ちゃんにメール送れんかったやんか!
1番に送りたかったのにー』
「いや、会って言ったんやからええやん」
『えー…彩ちゃんのせいて予定狂ったー』
「22歳になった瞬間、1番最初におめでとうって言うてくれたんは美優紀やで」
『まぁ、そうやけど…
あ、ごめんやけどプレゼントまだ用意出来てへんねん
今度渡すな?』
「それはええけど…いつも美優紀こういうのはちゃんと用意してるから珍しいな?
そんな忙しかったん?大丈夫?疲れてへん?」

本当に心配そうに顔を覗きこむから、結局あなたに嘘をつけなくなる。

『ホンマは用意しとったけど、もっと彩ちゃんが喜びそうなのにしようと思って』
「何言うとんねん
美優紀が選んでくれたもんやったら何だって嬉しいで」
『でも…』
「ん?」
『彩ちゃんが好きなアーティストもマンガもゲームも、私にはよう分からんもん…』
「…なぁ、その用意したプレゼント今持ってる?」
『一応持ってるけど』
「ちょうだい」
『でも、彩ちゃんの趣味やないかも知れへんし』
「ええから」

そう言われたから鞄からプレゼントを取り出してみたけど、渡すつもりがなかったから少し乱暴にしまってあって包みがグシャグシャになってた。

『あー…やっぱアカン』
「なんでグシャグシャやねん(笑)
でもそれがええ
ちょうだい?」
『う、うん』

包みからプレゼントを取り出した彩ちゃんは一瞬固まった。

「え?首輪?」
『うん、音遠ちゃんに』
「あ、音遠にね!
私が付けられるのかと思って焦ったわ(笑)」
『私そこまで変態ちゃう』

もっとも、メンバーにも人気の高い彩ちゃんには首輪付けといた方がええかも知れへんけど…

「あれ?まだ何か入ってる……あ、ピアスや」
『それ、首輪に付いてるモチーフとお揃いやねん』
「あ、ホンマや!めっちゃ可愛いやん!
ありがとう美優紀」
『そんなんで良かった?』
「うん、めっちゃ嬉しい!!
それに美優紀は趣味ええしな」
『まぁ、彩ちゃんダサいし』
「なんやと(笑)
…それでどうしたん?今までそんなん気にしたことないやん」
『実はな…』

素直に彩ちゃんに全部話した。
ラジオを聞いたこと。
憧れの声優さんからのプレゼントに喜ぶ彩ちゃんの声を聞いていたら、自分のプレゼントに自信がなくなったこと。

『それに私達って趣味そんな合わへんやん?それって一緒にいて彩ちゃんは楽しいのかなって思って不安やった』「確かに趣味が合う人と一緒におったら楽しいで
でもな、美優紀とおったら幸せやねん
落ち着くし、飾らない自分でおれるし、もちろん楽しいし…とにかく幸せなんや」
『彩ちゃん…』
「あー、もう!こんなこと言わせんなアホ!!///」
『彩ちゃん!』
「おっと、いきなりやな(笑)」

その言葉を聞いて彩ちゃんの胸に飛び込んだ。
"幸せ"だと言って笑うその顔に不安なんて消え去った。

『誕生日おめでとう
産まれてきてくれてありがとう』
「ありがとう」

背中に回された彩ちゃんの腕の力が強くなる。
彩ちゃんの言う通り、この瞬間私もとても幸せを感じた。



――おまけ――

『そもそも彩ちゃんがあんなデレデレするから不安になるんやんか!』
「デレデレなんてしてへんわ!」
『してましたー!声がデレデレしてましたー!
柄にもない声出してキャーキャー言うてさ』
「うっ、だって嬉しかったし…
てか、だいぶ年上の相手にヤキモチ焼くなや」
『ヤキモチも焼くし不安にもなるわ!
ただでさえ女の子同士やから色々不安やのに…』
「美優紀…」
『不安にさせた罰として、1週間チュー禁止!』
「はっ!?いや、それは…
あの、チュー以外は?」
『どうせチュー以外やなくてチュー以上やろ?ダメに決まっとるやろ!』
「え、そんな…誕生日やのに!?ちょっ、美優紀!!」



END