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☆1990年登場 (三共)
☆旧要件機の羽根モノ
☆賞球オール13



その日は仕事が早めに終わり少しだけ羽根モノ天国のようなニュートウダイ店にやってきた。



若きパチプロ気取りの俺は

羽根物『汽車ぽっぽII』を二台と他の名前も知らない羽根物一台、合計三台を何かに取り憑かれているかの如く速攻で四千個定量打ち止め終了させた。



景品交換所で換金して、俺は歩きながら溢れてくる半分ニヤケた己れの顔に気づいて、それをこらえながらパチ屋の駐車場へと向かっていった。



羽根物では大勝ちにあたる三万円近くを短時間で儲けたというのもあり、嬉しさ一杯の浮かれた状態での帰宅となった。








俺は勝利の余韻を味わいながら、家に向かい気分良く車を走らせた。



そして駐車場に到着した。



その駐車場から家までは少し歩かなければならなかった。



車から降りて、駐車場内を足取りも軽く出口方向へと歩いて行く。



周辺は、もうすでに真っ暗になっていた。

ほとんど照明のない暗い駐車場内を歩いていく。





しばらく歩いていて、一台の大型のミニバンらしき車を通り過ぎようとした時だった。





俺は身体の右側の前面の肩辺りに強烈な衝撃を受けた。



身体が一瞬にして宙に浮いたような、グルンと一回転したような、そんな感覚があった。





その後は、どれくらいの時が経ったのかは全くわからない。




しばらく意識がなかったのだろう。




気がついたときには、自分が硬いモノの上に横たわっていた。




何故そこに横たわっているのかも全くわからず



しばらく眼上の真っ黒な中で薄っすらと輝いているモノを薄目で眺めていた。




どれくらいの時が経ったのかは、わからない。




周りの騒めきと遠くから聞こえてくるサイレン音などで、少しずつだがこの現状が理解出来始めた。





身体が動かなかった。


しかし、首は動いた。

首を横に動かし、周辺を見た。



横に転がっている石ころが見えた。



俺は、今

アスファルトの上に倒れているのだ。




俺は

死んだのか?



それとも

生きているのか?



首を真上に動かすと、眼上に拡がっているこの真っ黒なモノは、夜空だった。



薄っすらと瞬いているようなモノは星々だと理解できた。



しばらくそれをぼんやりと眺めていた。




この何事かが起こった現実が、少しは理解出来た頃に、突然左足に猛烈な痛みがやってきた。



その猛烈な痛みが

俺はまだ生きているのだ。



と、気づかせてくれた。



しかし

その後は、その猛烈な痛みしかなかった。



痛みで意識を無くしていたのか、意識朦朧としていたのか、あまり憶えていない。





どれくらい時間が経ってからそれはやってきたのか。




そのサイレン音を鳴らしていた救急車だろうと思われるその車の中で痛みに耐えている自分と、救急隊員らしき何人かの人がいるのに気づいた。



その救急隊員らしき人に、名前や住所などを聞かれたように記憶するが、何て答えたのかは殆ど憶えていない。




しばらくして、痛みのためか安定剤を注射されたのか、また気を失ってしまっていたようだ。




死にはしなかった。




目が覚めた時には、病室のベッドの上で寝ていた。




後に聞いたのだが



走ってきたミニバンのボディとタイヤの間に足を挟まれて一回転し、その勢いで頭から地面に叩きつけられたようだった。



なので挟まれたふくらはぎが、腰ほどの太さ程に腫れ上がっていた。



地面に叩きつけられた頭の方は骨が頑丈だったのだろうか、当たり所が良かったのだろうか



レントゲンやらCTやら様々な検査の結果、問題なく無事であった。







真っ暗な駐車場内をライトを照らして走ってくる車ならば、絶対に見えたはずなのに、気配を感じたはずなのに。



それには全く気がつかなかった。



浮かれて注意散漫にしても

普通の状態なら気づくだろうに。






何かに取り憑かれていたとしかいいようがない。






確かに



死には、しなかった。