今日の昼御飯は、井門町の「春光亭 」。
汁そば 700円、煮玉子 100円、ライス 100円。
正午過ぎ、ふと思いついて「春光亭」に寄ってみたらなんと2台分しかない駐車場があいているではないか。ぜひ行ってみたいと思いつつも昼時にはまず入れまいと二の足を踏んでいた「春光亭」にあっけなく初訪問。すごくうれしいことだけど、これで今週の運気は使い果たしたかもしれない。当分パチンコはやめときましょう。
店内はカウンターとテーブル2席。入れ違いにテーブルの客が席を立った、と思ったらカウンターの若者が立ち上がり手際よく丼をさげてしまった。特に身内というわけでもなさそうで、これがじゅんさんのおっしゃる常連客の連携プレーってやつなのかといきなり軽いプレッシャー。
メニューは汁そば(700円)と肉そば(850円)の2種類のみ。肉そばは汁そばに乗っている蒸鶏のムネ肉を増量したもので、一般的なラーメン屋さんのチャーシュー麺に相当するもの。そういう意味ではこのお店はワンメニューということになる。あとはトッピングの煮玉子とライス。それと100円増しで麺が大盛りになります。
さほど混んでいなくて10分少々で汁そば完成。「これはラーメンなのか」と乱駆郎さんがブログ で驚嘆したスープ。待っている時からほのかに魚介の香りがして、基本的にはカツオベースに鶏ガラの風味の和風スープということか。しかし酸味が勝った部分では微妙に洋風のテイストも感じたりして、やはり一筋縄ではいかない玄妙な味わい。黄金色のスープに蒸鶏のムネ肉、水菜、シナチク、海苔、煮玉子をあしらったビジュアルもとても美しい。たとえばムネ肉を増量してこの繊細なバランスを崩すのは、もったいないことのように私には思える。
麺はふわふわしたきしめんみたいで優しい感じ。ラーメンなんだから3分ぐらいで一気に食べてしまって差し支えないわけだが、なんだかそれが後ろめたい。減っていくのが惜しくなる感じというのか。
で、麺がなくなったらライスを投入。どなたかのブログで紹介されていた食べ方なのだが、これまた驚くほど旨い。スープの酸味が一層引き立つ感じがして、個人的にはラーメンより美味しいかも知れない。おじや風に少し蒸らしたらとも思うが、やはりシンプルなぶっかけ飯として味わってこそなのだろう。確かにこれは未体験ゾーンであります。
今日いただいた汁そば、煮玉子、ライス。基本的に「春光亭」にはこれ以上頼むものがないわけだが、私見によればこれ以下に削ることも不可能だ。絶品の煮玉子がオプションになっているのは、ラーメン1杯の値段が800円になることをご主人が良しとしなかったのかもしれない。それとライスは、麺の後にスープに投入してもらうことを想定しているように思う。そうでなければ、この超限定ともいうべきメニューにライスを加える理由が見当たらない。侵さざるべき不動のコースメニューと思える所以であります。
世の中にはわがままな店というものがある。一生懸命作ったのだから集中して食えと客に私語を禁ずるラーメン屋、自分がルールブックなのだからと渇きを訴える客に水を出さない唐揚げ屋。話のネタとしては面白いけど、プロの商売人としてはどうなのかと思わざるをえない。
しかるにこの「春光亭」はある意味究極のわがままなお店だ。客に選択の余地を与えない。バリエーションを増やすことも減らすことも許さない。店主の意のままに与えられたコース料理を客は黙っていただくだけだ。それでいてこの圧倒的な満足感、満腹感はどうだろう。
店主はまさにブログ等で読んでイメージしていた通り。あまりにもそのままなのでなんだかおかしくなってしまう。青白き文学青年風というのか。ステレオタイプなラーメン屋の店主像とはまさに正反対。
店主の負担にならぬようタイミングを考えて支払いをすることが肝要と、繰り返しじゅんさんのブログ に書かれていた。いつ切り出そうかとドキドキしていたら、客が途切れてヒマになった店主が片づけを始めてラッキー。
あっけなく勘定を済ませた店主が外まで見送ってくれる。もしかしたらここで感想を聞かれたりするんだろうかと再び走る緊張感(じゅんさんや乱駆郎さんのブログにそう書かれていた)。
「あ、ありがとうございました、またどうぞ」と言われて一安心。こう見えて私はけっこう恥ずかしがり屋さんなのだ。「ゴチソサマ」と言って私たちは別れた。
別れて車に乗ってエンジンをかけてから、ある種の感慨が湧いてきて、心の中で「いったいキミは何者なんだ」とつぶやいてみたりした。