どうしてあの日、鶏を屋上に連れて行ったのだろう。

よくわからない。




ただ、雨が続いていて、庭の土は湿っていた。

庭での砂浴びは難しそうだった。





屋上は日当たりがいいから、土は庭より早く乾いていた。

だから連れて行ったのだろう。







玄関を出てすぐのところにあった鶏小屋。

そこから1羽を抱っこして、屋上に行く。

鶏を落としてしまったら大変。

大事に大事に抱えていく。







屋上に柵はあるが、ここから落ちても大変。

夫に頼んで鶏が落ちないように見ていてもらう。








私は急いで下に降りて、もう1羽を抱っこする。

2羽とも無事に屋上に到着。




    (屋上で砂浴び中の鶏)







まだ屋上菜園に作物は少ない時期だった。


砂浴びができる場所は、比較的多い。


それなのに、いつものように2羽一緒にくっついて砂浴びしている。






かわいい。


本当にかわいい。






砂浴びしている時、小屋の中では出さないような声を出すことがある。

「ク、ク、クッ、クーッ」

幸せそうに体を横向きにして砂にこすり付けている。






上手に砂を体中に入れる。

いつも感心する。





「気持ちいい? 幸せ?」

私は声をかける。






幸せそうに私を見る鶏。

私も幸せな気持ちになる。






猛暑で7羽のうち5羽が力尽きてしまった2年前の夏。

残りの2羽をより大切にしてきた。





暑い日は、小屋の外から扇風機を回した。

具合が悪い時は、リビングに連れて来て、クーラーで体を冷やしてあげた。






1羽は、鳥専門の病院に連れて行き、治療して入院もさせた。

面会にも行った。





でも、今年の夏、最後の1羽も力尽きてしまった。



今、私を幸せにしてくれた鶏に感謝している。




でも、もっと一緒にいたかったなあ。

ずいぶん早く、みんないなくなっちゃったなあ。

みんな、とっても可愛かったよ。





ひよこの時、7羽みんなが「ピヨピヨ」鳴いていてかわいく、「ナナピヨちゃん」と娘が名付けた。

私もこの名前が、気に入っている。





ナナピヨちゃんのこと、忘れないよ!


ペタしてね