さて、前編ではモネの若き日について書かせてもらいました。
後編では、3枚の絵を詳しくご紹介したいと思います。
まず、モネの絵を思い浮かべて?と聞かれて想像するのは風景画を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
光の移り変わりや、好きだった機関車、晩年のジルヴェニーの庭園など、、
実際にモネは生涯を通して人物画をあまり描きませんでした。
そんな中、最も描かれてた女性がいます。
カミーユ・ドンシュー
モネは25歳の頃に当時18歳だったカミーユと出会います。そして次第に惹かれあい恋に落ちていきます。
しかし生活は苦しく、親からの仕送りはわずかで、パンを買うお金もないほどでした…そして2年後に長男ジャンが生まれますが、家族はモネとカミーユの仲を認めず、また養育費もなかったのです…
正式に結婚したのは3年後のことでした…
金銭的に苦労しながらも、カミーユとジャンをモデルに作品の制作に励んでいきます
しかし、、この暖かな生活は長くは続きませんでした。
元々カミーユは病気がちで、次男を出産した後、子宮癌により32才で亡くなります…
妻にもっと、裕福な生活を与えたかった。自分が成功していれば、妻は助かったかもしれない、、深い後悔に襲われます。
『散歩、日傘をさす女』
生前のカミーユと息子のジャンをモデルにした一枚。
愛に包まれた、さりげない一コマをそのままキャンバスに収めた一枚。
この鮮やかな色彩からも、モネがこの2人に抱く愛おしい雰囲気が伝わってきます。
そしてカミーユの亡くなり7年後に同じモチーフの絵を制作します。
追憶の中で最愛の人と絵の中で再会していた。
僕にはそう映ります。
そして、同年この絵も完成させます。
先程の絵と共通しているのは、腰に装飾されている赤色の花。
これは、カミーユと幸福な時間を過ごした街、アルジャントゥイユの象徴、ひなげしです。
そして三枚目の絵にはなぜか影がないのです。
それは、モネの中でカミーユとの本当の意味での別れを表現しているのではないでしょうか。
この世ではない、向こうの世界のカミーユを描いている気がします。
そして、これらの絵を見て何か思い浮かべる方もいるかと思います。
そう、宮崎駿監督の『風立ちぬ』
パラソルと病弱な主人公はカミーユをモデルにしたとも言われています。
きっと記憶の中で2人はいつまでも、草原を歩いていたのではないのでしょうか。