横柄不動産屋君―【33】 THE対決その③
S氏側はまだもぞもぞと煮え切らないことを言っている。以前に雨漏り(欠陥住宅)の件で相談等したことは
ないと言い張って譲らないのだ。確かに該当する物件は分譲の4棟現場であり、同一の業者が施工してお
り近隣の家も似たような瑕疵の問題が出て、R社長の言う近所の不動産屋に相談したということも考えられ
るのだがR社長はこの近所の不動産屋からS氏の名前を直接名指しで聴いているのだ。ただ物的な証拠と
いうことになるとこの近所の不動産屋に証言してもらうしかない。・・・今はその時期ではないだろう。
俺 『まあ言った言わないになってしまいますからもともと人伝に聞いた話ですしね・・・但しね、
Sさんに分かって頂きたいのは今回提出したこの諸費用分の金額は減額する類のもので
はなくR社長とすれば刑事裁判にすると余計な費用が掛かるし、時間も掛かるということで
最大限の譲歩(好意)で実際に掛かってしまった経費をご請求している訳なのですよ?
分かって頂けますか?』
お母さん『ええ、ええそれはもう、申し訳なく思っております。だけど余りにも金額が・・・・・
もう少し何とかなりませんか?』
税理士K氏『圧縮できるとすれば(費用を)リフォームを担当した工務店に受注者であるR社長の方
から今回の結果を熟慮して貰ってそれでも随分安く出して貰っていますしそんなに大
幅に替わることはないと思いますが・・・』
重苦しい沈黙が訪れる・・・ 少し矛先を変えてやろう・・・
俺 『しかし、今回いくら新築施工時より保障期間が過ぎているとはいえ施工業者の方も
このまま済ましておくのは許し難い気がしますよね?』
と顔色の悪いS夫妻の御主人の方へ話を振ってやった・・・S氏(婿養子)はホッとしたかのように
話し出す・・・
S氏 『そうなんです。弁護士にも相談しておりますがとにかく知らぬ存ぜぬの一点張りで・・・
未だに○○市内で建売分譲を営んでいますので、いっそのことマスコミにでも流してやろ
うかと・・・なにかいい方法はないでしょうかね?』
おーおー自分のことだと必死になるんだなN野郎に聞けよ(やらせろよ)と思いつつ・・・
俺 『監督官庁に行くのが一番だと思いますよ。その業者が加盟している協会とか、
国土交通省にもそういった苦情相談を受け付けてくれるところもあると思いますし・・・』
S氏 『ああっ、そうですね。それもやってみるつもりです。』
俺 『それで本題に戻りますがこのまま話を続けていても平行線だと思いますので・・・
どうでしょうか?まずは本体価格と御用意して頂いた諸費用(R社長の要求額の約半分の
額)を振り込んで頂き、そこで土地として売却しその代金が入ればその時点で残りの諸費
用をお支払い頂くと言う事で(建物を取り壊し、土地として売却する旨報告を受けている)』
税理士K氏 『その書式(合意書)はW・Sさんと相談して私が作りますから・・・』
S氏側はS夫妻は“もうそれでしょうがないね”というような雰囲気なのだがお母さんが不満そうである。
横柄野郎Nはまた売地として自分が再販できるのでホクホクしてるのが分かる・・・
横柄野郎N 『ああ、それで許して頂けるんなら・・・もう一度R社長からリフォームの
工務店さんの方へ減額をお願いして・・・ねぇ』
こいつにはこのくらいの餌をぶら下げときゃいいのだ。口惜しいが今はR社長にお金を戻すのが最優先だ。
俺 『R社長、ご不満かとは思いますがもう一度価格を見直して分割してお支払い頂くとい
う案でお許し頂けますか?』
R社長 『わかったね。イイヨ。そうしてください・・・』
一応コレで終了という形になり、S夫妻も頭下げながらこの場を去ろうとし、横柄野郎NもS夫妻の
お母さんへ言葉をかける・・・
横柄野郎N 『でもねぇSさんコレで少しは方向性が決まって良かったじゃないですか?
少しはすっきりされたでしょう?』
お母さん 『でもぉ・・・・土地を売ってまたお金返すまでさっぱりしないでしょう・・・ああ』
この野郎、あたりまえじゃねえかと言ってやろうかと思ったけど・・・聴こえない振りをして
Z社を後にした。
もう・・・ねお前等グルだろ?完全に?特にお母さんいい年こいてNに唆されたのかも知んないけどさ。
こういう時って普通菓子折くらい持ってくるべきもんなんじゃないの?
そうやって生きてきたんだろ?
ちなみにこいつ等は地元で総工費○億円の自宅を建築中で
そのこともあってお金がないんだってさ・・・
もぉ・・・おまえら~
~だよ。まったく~・・・・・・・・・・・・・
直後、R社長と税理士のKさんに『反省会やりましょう、反省会』と声を掛け近くのファミレスに
入った。
興奮して喋った後だからファミレスのドリンクバーは有難かった。
R社長は本当に喜んでくれてこの件が一段落したら皆で台湾へ行こうとまで言ってくれてそんな話も
出て盛り上がったのだが・・・
今回の話し合いである程度最終局面の形は見えたといってもいいだろう・・・
①諸費用分の減額は工務店の請求分を減額分しか認めない(Nが工務店に確認を取る。)
②金額が確定したら本体価格分と当初S氏側が提示してきた分をR社長側に振り込む…
③残りの諸費用分は物件を売却後に支払う。
これで素直に最後まで行けばいいのだが・・・
まあ奴等のことだ。油断は出来ないな・・・・・・・・・・