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- 12Mar
#26「世代交代」
愛の妊娠が発覚して、日菜を中心に練習が始まった。コート外で、真理や摩耶と飲み物の準備をしていた時だ。(京子さん、アイツには話さないで下さいね)まだ、超初期。愛は、疲れて椅子に座って休んでいた。「何で、練習しないんだ?」ジェジュンの声は、愛には届かずー愛はただ、練習を眺めているだけだった。「なぁ、聞こえないのか?」ピアスを引っ張り、ジェジュンは更に愛の髪を掴む。(見るのもたまにはいいじゃないですか)つわりもたまにあり、寝込むこともあったがー愛は体育館に足を運んだ。ある日の練習の終わり、ジェジュンは日菜と舞美を呼び止めた。「キャプテンは、愛だろ?何で、日菜がキャプテンなんだよ?」(ミユにも、キャプテンやらせたかったの)手話の分からない彼は、鋭く愛を睨んだ。この日は、妊娠の手続きに役所に行くので日菜と真理に付き添ってもらった。(無事に赤ちゃん、産まれて来ますように!)(一緒にバレーしようね)2人は、弟か妹の誕生を心待ちにする子供のように愛のお腹に手を当てた。練習がない日は、ベビー用品を買い、雑誌を見て勉強をする。(名前、どうする?)日菜と舞美は、愛の妊娠が、発覚してから喫煙や飲酒を辞めた。やがて、つわりは治まりー安定期に入った。なかなかコートに入らずに、ボール拾いや飲み物を作る愛にジェジュンは目を付けた。ボール拾いをしていた時、お腹に違和感を感じた愛は動きを止める。「大丈夫?体調悪い?」心配する萌香が、話しかけると、ボール拾いをしていた素子も愛を見た。(違う。何か、お腹が変な感じがした)ボール拾いを、そっちのけで3人でコートから離れる。(あっ、今もまた…)2人は、スポーツウェアをめくりーお腹に手を当ててみる。「赤ちゃんが、元気に育ってるんじゃない?」萌香も目を輝かせ、「そーだよ!きっと、そーだよ!」幸せそうな顔をして笑う愛の背後にジェジュンが迫っていた。ボールをぶつけようとしたのを、素子が素早く気付きー庇う。練習が終わり、愛達は集まってエコー写真を見ていた。(最近のは、顔まで見る事が出来るんだよ。凄いよね)その頃、ジェジュンは京子に愛の事を聞いていた。「何で、日菜にキャプテンを譲ったか分かりますか?俺、納得行かないんですよ」それまでパソコンを操作していた京子が顔を上げ、「あの子たちの自由にさせてあげたら?」真剣な眼差しで、京子はジェジュンを見据えた。(母子手帳も見せて)真理や舞美は、母子手帳やエコー写真を見て目を輝かせる。(幸せ!幸せ!)駅に降りて、チケットを買う。(荷物、持とうか?)日菜と素子が、愛の荷物を手にする。新体制になり、日菜中心に練習が始まった。これから待っている試合に勝つことが出来るのだろうか?
- 07Mar
#25「最近」
ジェジュンに気持ち悪いことをされて、数ヶ月が過ぎた。日菜達とお昼ご飯を食べていた時だー突然の吐き気に襲われ、愛は席を立つ。どうしたんだろう?愛は、肩で息を吐きながらトイレの鏡に映る自分を見つめた。(大丈夫?)心配した日菜が、トイレまで来た。(大丈夫。何でもない)そう誤魔化した愛だったが、何日経っても体調は良くならなかった。練習の休憩中、愛は吐き気がしてトイレに駆け込んだ。この間もそうだった…練習中、吐き気と倦怠感を堪えながら練習に参加した。そんな愛の様子をジェジュンと京子が見ていたようだ。誰かに肩を叩かれ、振り返ると日菜と舞美がいるではないか!(愛ちゃん、これ使ってみて)渡されたのは、妊娠検査薬。愛は、恐る恐る妊娠検査薬を使ってみた。結果が出るまで、暫く待つ。+と出るか-と出るか。(どうだった?)外で待っていた日菜と舞美が妊娠検査薬を覗き込んで来た。赤い+が出ているではないか!(アイツの子供なんていらないって言ったのに)3人で話していると、ジェジュンが話の中に割って入ってくる。「何を話しているんだ?練習だ、コートに入れ」日菜は、愛を庇いー鋭く睨み付ける。「愛ちゃんは、コートに入れないで下さい」舞美は、素子と萌香に声を掛けてコートに入る。日菜は、愛の肩を抱き、誰にも近寄らせまいと鋭い目でジェジュンを睨む。練習が終わり、愛達が体育館を出ようとした時だー「ちょっといいか?話がある」ジェジュンに呼ばれた愛達は、足を止め彼を睨んだ。「これに心当たりないかな?」手にしていたのは、愛が捨てた妊娠検査薬ではないか!「何で、あんたが持ってんのよ?気持ち悪い」日菜は、奪うように取りージェジュンに背を向けた。「だから愛をコートに入れなかったのか?」体育館を出て、3人は京子の家に向かう。酒を飲み、ジェジュン悪口を言い合った。(愛、お母さんになってもいいのかな?)愛が、震える手で手話をするとー日菜が愛の手を握り、(いいに決まってるじゃない!ミユは、あかりさんちゃんが幸せになるの願ってるから)(韓国野郎には言わないでね。何されるか分からないからさ)数日後、京子を呼び止めた日菜は緊張で冷や汗をかいていた。「忙しいから後にして」日菜は、京子の腕を強い力で掴んだ。「愛ちゃんが…」後の言葉が、喉に詰まって出てこない。「愛さんが何だって?」日菜は、涙を堪えながら口を開く。「愛ちゃんが、妊娠した。アイツに気持ち悪い事されたの」日菜の言葉に、京子の動きが止まる。「練習の後に、あの人抜きで話すから」練習が終わり、ジェジュンがいないところで京子は愛達を集合させる。「ミユちゃんから話が、みんなにあるみたい」愛と日菜、立ち上がり話を始める。(実は…あの人に嫌なことされて、病院に行ったら…)(赤ちゃんが出来てたの)涙を流しながら手話をする愛を見て、他のチームメイトも涙を流す。「愛ちゃんが復帰するまで、ミユがキャプテンでいいかな?」日菜の言葉に反対する者は、誰もいなかった。(愛ちゃん、おめでとう!)舞美が、お腹を撫でると真理もお腹を撫でてきた。「おやビン、こっち達の子分、産んで下さいっす」日菜は、次の試合こそは勝ってやるーと意気込んでいた。
- 28Feb
#24「もう、コートには戻れない」
もうすぐで薬がなくなるー愛は、奥多摩から車を1人で走らせた。早く病院に行かなくちゃ、嫌な相手がいる…愛は、そんな気持ちを抑えながら車を駐車し院内に入る。待合室には、既に患者がー愛そ、見ないようにして呼ばれるのを待つ。こんな時に日菜や舞美がいたらなあーと、想像し始めた時だった。突然、肩を叩かれて我に返る。順番の来たのだー薬を処方してもらい、愛が車に乗り込もうとした時、いきなり、腕を掴まれたではないか!愛は、怖くなり腕を振り払う。車に乗り込み、奥多摩へと再び戻る。怖い…部屋に引きこもり、布団に丸まってブルブルと震えた。気付いたら、眠っていたようだーふとー愛の目に、カバンにつけてあるキーホルダーが目に入る。部屋を出て、下の店の掃除をしていた時、誰かが来たようだ。愛は、気付かないふりをして掃除を続ける。「髪を切ってくれないか?」ジェジュンではないか!(京子さんがいないので、出来ません。すみません)愛は、必死で追い返そうとしたがージェジュンの力には適わなかった。「じゃあ、俺と一緒に来いよ!」嫌がる愛に口づけをし、下着に手を入れてくる。(嫌よ!あんたの赤ちゃんなんていらないって言ったでしょ?まだ分からないの?)愛は、部屋に逃げ込んで日菜にメールを送る。(助けて…アイツが、店の中に入って来た)背を丸め、愛の体は震えが止まらない…(今から、奥多摩行くから愛ちゃんは、そこから動かないで!)日菜は、1人で電車に乗り込み、奥多摩に向かう。愛ちゃん、無事でありますように…日菜は、祈るような思いで、電車を乗り継いだ。奥多摩に着いたのは、2時間くらい経った時。「早く、髪をセットしてくれよ!」ジェジュンが、椅子に座ったまま愛を呼ぶがー愛には聞こえてなかった。助けて…誰か…そんな時だ!ドアの開く振動を感じた愛はー店に行く。日菜がいるではないか!「何してるんですか?」椅子に座っているジェジュンの肩を掴み、日菜は平手打ちをする。「愛ちゃんを苦しめるなって言ったよな?」日菜は、ハサミを持ち嫌々ながら髪をセットする。「ひいばあちゃんに話しますよ。あんたは、コーチをクビだ」愛は、日菜の背後から震えてその光景を見ていた。「クビに出来るなら、やってみろよ?あの事、世間にバラしてもいいのかい?」日菜が、一瞬、身震いをするのをジェジュンは見逃さなかった。髪のセットを終えた、ジェジュンは満足気に店を出て行った。(大丈夫?何もされてない?)日菜は、心配そうに愛の体を触る。(大丈夫。でも、怖かった)気が抜けたのか、愛は日菜にだきついて涙を流す。(もう、愛ちゃんを1人にはさせない)あれから数日が経過した。この日は、都内にいた。夜、酒を飲んで盛り上がってるいるとー誰か来たようだ。(誰だよ、こんな時間に)舞美は、嫌々ながら玄関の戸を開ける。「ここに、愛がいるな?」「いません!帰ってください」舞美が追い返そうとすると、彼は睨みー「愛、あんた達もだ。ここから入って行くのを見たんだからな?」舞美が、何も言い返せないでいるとー日菜が顔を出した。「どれだけ、愛ちゃんを苦しめればいいの!」ジェジュンが中に入ろうとするのを2人で阻止したがー投げ飛ばされてしまった。「愛!どこだ!出てこい!」部屋に入り、ジェジュンは丸まっている愛を発見したではないか!愛は、逃げようとしたがジェジュンに捕まってしまい、身動きが出来ない。「俺から逃げるなって何回言わせるんだよ?」突然、ジェジュンが愛の体を押し倒し、指が手がー体に入って行くのを感じた。「この罪人め!罪人め!」愛には、聞こえなかったがー日菜と舞美の耳にはしっかりとその言葉が入る。気持ち悪い事をされた愛は、埋まってその場から動けなかった。満足したジェジュンは嘲笑い、その場を去って行った。愛の体に変化が起きるとも知らずにー練習に参加するのだった。
- 21Feb
#23「戻りたい場所」
愛は、逃げるようにして奥多摩に向かう。部屋に閉じこもり、ベッドに横になる。まだー彼の温もりを体が覚えている…愛は天井を見てから、目を閉じた。いつの間にか、眠ってしまったようだ。スマホを見ると、何十件ものメールが来ているではないか!日菜や舞美達からで、愛はホッとした。(今から、奥多摩行っていい?サオリも一緒だよ)(来て来てー!)愛は、ベッドに横になり2人が来るのを待っていた。その頃、日菜と沙織は奥多摩に向かう準備をし車に乗り込んだ。そんな時ー2人の後ろを負っている車があるではないか!「何で?ミユ達の事待ち伏せしてた?」日菜は、ミラーで見ながら車を運転し高速道路に入るとージェジュンもついて来る。どうしよう…愛ちゃんに何かあったら…日菜は、焦りながら車を走らせ彼から逃げ切った。やっとの事で、京子の別荘に着いた。京子から預かっている合鍵を使い、部屋に入る。(無事に着いて良かった)愛は、2人の顔を見て抱き着き、涙を流す。(愛ちゃん、ミユや烏野の誰か以外が来たら開けたらダメだからね)日菜は、タバコを吸い、一息をつく。(ジェジュンが、ミユ達を待ち伏せしていた)日菜の手話を見た愛は、何も言えなくなった。何故、ジェジュンが?愛は、怖くなり、呼吸が荒くなる。(大丈夫。安心して。ミユ達が愛ちゃんをアイツから守るから)この日は、酒を飲み、話をしたりして一夜を明かした。翌朝、3人で近くをランニングした。都心部と違って、自然豊かな奥多摩。愛は、深呼吸をして目を閉じる。(奥多摩でも、バレーやりたいね。コーチ抜きで)日菜がそう言うと、舞美と愛は顔を合わせて笑う。奥多摩に行くようになって、数ヶ月が経過したある週末の事だ。3人で、近くの川でたまってタバコを吸いながら話す。(今度さ、ここ行ってみない?楽しそうじゃん)日菜に言われた愛は、日菜が持っているチラシに目をやる。(何かあるの?)(お話会。ミユ、こういうのに興味あるんだよね)(いいね!行こう行こう!)次の週末は、祝日もあり3連休だ。日菜と舞美は、前日から奥多摩に泊まった。愛は、マタニティマークを付け、助手席に日菜後部座席に舞美を乗せて教会に向かった。「申し込みした澤村と山口と影山です」中に入り、日菜が中にいたボランティアスタッフに声を掛ける。日菜と話していた時だった。(何あれ?ムカつくー)愛も、その視線に目をやると妊婦がいるではないか!(何で、ここにもいるんだよ、最悪)参加者全員揃い、お話会が始まった。人それぞれ、何らかの苦しみや悩みを持って生きているー愛は、参加者の口の動きを読み取りながら話を聞いた。飲み物を飲み、3人で話していた時、1人の妊婦が話しかけてくる。「この会に参加しようと思ったきっかけは何ですか?」日菜は、隣で手話に訳してくれる。(楽しそうだし、興味を持ったからです)日菜は、お腹を鋭く睨んでいたのを見て、舞美も目付きを変えた。(アイツらがいなければ、もっと楽しいのにね)外でタバコを吸いながら、妊婦への悪口を言い笑い合う。(愛ちゃんを苦しめるつもりだよね、きっと)お話会に参加するようになって、何週間か過ぎた頃だー教会から出てきた3人を待ち伏せしていたのは、ジェジュンではないか!(愛ちゃん、こっち)背後に愛を隠し、2人はそそくさと教会を出る。「俺に黙ってこんな所にいたのか!」3人は、無視して別荘へと戻ろうとしたそんな時だー「愛、俺と一緒に来るんだ。赤ちゃんが欲しいんだろ?」腕を引っ張られた愛は、ジェジュンの腕を振り払いー一目散に逃げた。ここが、京子さんの別荘かー。ジェジュンは、家を見上げてニヤリと笑う。何かを企んでいるのか?ある日、今から奥多摩に向かおうとした日菜達をジェジュンが呼び止めた。「俺の家に来ないか?」日菜は、ジェジュンを睨んで体育館を出る。彼はどこまで、愛達を追い詰めるのか?
- 09Feb
#22「拘束」
バレーができるだけでいい。ミユ達とずっとバレーがやりたい。愛は、最近、バレーの試合で負ける夢を見るようになった。早朝に目が覚めてからは、眠れずにー外に走りに行く。何か起こる予兆なのか?1時間くらい走り、マンションに戻る。Faxがたくさん届いているではないか!(俺の赤ちゃん、作らないか?)(もう、あんな真似止めろ。バレーボール出来なくなってもいいのか?)などの内容が書かれていた。愛は、怖くなりトイレに篭って薬を服用する。アイツの赤ちゃんなんていらないー彼から逃げなくちゃ…愛は、日菜にメッセージを送る。(奥多摩なんだけど、今度連れて行ってくれない?)(急にどうしたの?)メッセージを打つ、指が震えなかなかメッセージが打てない。(奥多摩、行きたいなーって思って)週末、日菜の運転で素子、舞美、萌香、麻耶を乗せた車は奥多摩に向かった。かれこれ、都内から奥多摩まではだいぶ時間がかかる。しばらくして、奥多摩に着き、日菜はある場所に車を止めた。(ひいばあちゃんの生まれた家。たまに、ミユもここに来るの)京子の生まれ育った家ー愛は、瞬きをしてその家を見つめる。(好きなだけ使って。ここにいれば、アイツも追って来ないはず)日菜は、どうして愛に優しくしてくれるのか?愛の脳裏には、小学生時代が浮かんでいた。(全日本に行きたいね)夢を語り合い、笑った日々。いつしか、仲間が増えていた。日菜は、何かがある度に愛の元に駆け付けてくれた。(愛ちゃん)日菜に肩を叩かれ、我に返る。(韓国野郎は、ミユ達がやつけてあげるからね!)愛は、練習の日以外は奥多摩で過ごすことにした。ある日、日菜達は真理が働く居酒屋で屯っていた。「かっわいいですね。あれ、愛さんは一緒じゃないのか?」日菜は、ジョッキを手にしたまま酔った顔でジェジュンを睨んだ。「愛ちゃんは、仕事ですよ。最近、忙しいみたい」嘘を言い放ち、日菜は再び舞美や他のチームメイトと酒を交わす。「練習には来るんだろうな?」しつこく絡むジェジュンに嫌々ながら、日菜や舞美は問いに答える。「来るに決まってるでしょ!もう、これ以上愛ちゃんを苦しめないで下さい」そんなある日の事、愛が奥多摩でランニングをしていた時だー日菜が運転する車が目の前に止まったではないか!(アイツがここに来るかも知れない。車で後つけてきた)愛は、日菜に言われるがままに車に乗り込んだ。(もう、警察に被害届出しちゃおうよ)(そしたら、アイツに何されるか分からないよ)薬の袋を見るとーもうすぐで切れそうだ。早く、病院に行かなくちゃ…(ミユやサオリいいって言うまで外出しちゃダメだからね!)日菜の速い手話に見て、愛は頷くしかなかった。この日、愛は公共機関を利用して県外の病院に向かった。早く薬を服用しなきゃ、アイツに妊娠させられるーと察知したからだ。愛は、震える手で薬の袋を開けて何錠か口に含んだ。週末には日菜達が、こっちに来てくれる。愛は、愛なりにカントリーライフを過ごす。ベッドに横になり、ぼーっと天井を見上げる。何故、彼は何の目的であのマンションに越してきたのか?彼の顔が頭に思い浮かびー愛は布団に潜り、震えた。ある日、練習に参加していた愛にージェジュンは目をつける。「愛さん、こっち来て。話がある」ジェジュンに呼ばれ、ボールを持ったままコートから出る。「何で、マンションにいないんだ?」愛は、俯いたまま何も言わない。薬を飲まなくちゃ…手が体が震えて、身動きが出来ない…「聞こえないのか?何で、あのマンションにいないのかって聞いてるんだよ」前髪で顔を隠し、ジェジュンの顔を見ようともしない愛。「俺から、逃げられないって言ったろ?」愛は、ノートを出し、(書いて下さい)ジェジュンは、嫌そうな顔をしてノートを奪うように取り、字を書いた。(何で、あのマンションを出た?)愛が、手話をしようとした時だージェジュンにピアスを引っ張られそうになったではないか!「声出して、話してみろ。俺の真似をするんだ」愛は、声を出そうとするがー空気が漏れただけだった…(安静できる場所に行きたかっただけです)愛は、手話でそう告げるがージェジュンはただ愛を睨むだけだった。練習が終わり、愛は久しぶりにマンションに戻り、ベッドに横になる。ふと、盗んだキーホルダーが目に入る。(愛ちゃんだけ、幸せになって欲しい)(幸せもんは、ミユ達だけだからさ)日菜は、いつもそう言ってくれた。本当に幸せになっていいのだろうか?そんな時、誰かが来たようだ。愛は、忍び足で玄関に向かい、誰が来たのか確認する。日菜達ではないか!恐る恐るドアを開け、愛は上目遣いで日菜の顔を見た。(話せる?)愛が、日菜を部屋に入れた時だー舞美が何かを感じ取って素早くドアを閉めたではないか。(どうしたの?)驚く愛に、舞美は(アイツがいた。最悪だよ)部屋に入り、愛はビールを手にして2人に渡す。(今日も、大収穫だぜ)日菜がドヤ顔をして、何かを取り出した。指輪ではないか!(愛ちゃんに似合うかなって思って。カップルからパクってきた)(流石、ミユ。最強じゃん)酔いが回った日菜達は、ジェジュンに対する悪口を言い始めた。(アイツがさー、愛ちゃんの悪口言うんだよ。だから、ミユがやつけた)気付けば酒がもうなくなっていた…(お酒、買って来ようか?)愛は、フードをかぶりー財布を手にする。(アイツがいるかも知れないよ?大丈夫?)心配する舞美をよそに、愛は(顔隠しとけば大丈夫だよ)マタニティマークをつけたカバンを持ち、愛は部屋を出た。エレベーターを降りた愛を待ち伏せしていたのか、ジェジュンがいるではないか!「かっわいい愛さん。俺に顔を見せてくれないか?」愛は、彼を避けてコンビニに向かう。買い物を終え、愛が店を出ようとした時ージェジュンが店に入って来たではないか!ふと、彼の目線はマタニティマークに行っている。愛は、慌てて隠して早足でマンションに戻った。(ありがとう。助かったよ)(アイツがいた。でも、避けたから大丈夫よ)愛は、一息ついてビールを飲む。数日後、愛がジムでトレーニングをしていると入会者が来たようだ。愛が、ランニングマシーンを使用していた時、誰かが隣のマシーンを使い始めたではないか!「愛さん、ここにいたんだ」聞こえない愛は、ただひたすらとランニングをする。何で?彼が?もしかして、付けてた?トレーニングの休憩中、愛は日菜がくれた雑誌を見ていた。そんな時、ピアスを引っ張られる感じがして振り向いた矢先ージェジュンがいるではないか!(何でいんのよ?)愛は、雑誌を隠してジェジュンを睨む。「俺は愛さんの声が聞きたい」(愛は、聞こえない。声も分からない)必死で手話をするが、ジェジュンには伝わらない…ふと、雑誌が目に入る。アイドル誌とかではなさそうだ。「赤ちゃんが、いるのか?」薬を飲まなくてはー手足はガタガタと震え、呼吸も速くなる。「今から、俺と一緒に来い。話そう」嫌がる愛の腕を引っ張り、車に乗せた。マンションに連れられた愛は、いきなりジェジュンに押し飛ばされたではないか!悲鳴を上げたいけど、声が出ない。「こうやって、妊婦を突き飛ばして、怪我させたんだろ?」ニヤニヤと笑うジェジュンの指が手が…愛の太ももを這った。「赤ちゃんが欲しいか?」コイツの子供だけは産みたくない…愛は、必死に部屋の中を逃げ回る。ジェジュンは、愛の背後に回りー容赦なく臀部を触り、気持ち悪い事をした。「生まれてくる子供も可哀想だよな。こんな母親じゃ」愛が睨むとージェジュンが脅す。「なぁ、愛。お前にはお仕置きが必要だな」ジェジュンは、愛の両手首をロープで縛る。「風呂に行きたい。お前も手伝えよ」ロープを外され、愛は部屋から出ようとした、そんな時だ!「なあ、俺の赤ちゃん産みたいか?」ジェジュンは、まるで赤ん坊のようだ。(止めて!止めなかったら警察呼ぶからね)愛が抵抗する度に、ジェジュンは嘲笑い嫌がる事を更にやった。(家に帰らせて)手話をして、愛は一目散にジェジュンの部屋から出る。自分の部屋に戻り、体を縮こませてブルブルと震えた。彼から逃げたい…愛は、眠れない日が続いたのだ。
- 06Feb
#21「天罰」
愛は!眠れない日が続いたまま練習に参加した。(大丈夫?ちゃんと寝れてる?)休憩の時、よろめいた体を日菜が支えてくれた。(大丈夫。大丈夫だから…)もうすぐ薬がなくなる…病院に行かなくちゃ…練習中もそんなことを考え、愛はミスを連発する。「やる気あるのか?」ジェジュンにボールをぶつけられ、愛は我に返る。(あります!ありますよ、そりゃ)ジェジュンの嫌がらせは続き、夜中に何度も目が覚めることは何度もあった。「今日さー、これやったんだ」日菜が、ニヤニヤしながら何かを愛達に見せてきた。「案外、ちょろいもんよ」更に日菜は、盗み盗ったエコー写真をみんなに見せる。「なあ、何だそれ?」ジェジュンが話の輪の中に入ってきたではないか!日菜は、エコー写真をカバンに慌ててしまう。「練習終わったら、ひいばあちゃんちに集合ね」「悪さばかりする選手は、このチームにはいらない」ジェジュンがそう言い放つと、日菜は彼を睨んで話を続ける。「辞めるべきなのはあんたでしょ?」日菜は、吸っていたタバコを彼に投げつけようとする。「愛ちゃんを苦しめて最低!何が楽しいのよ?」縮こまっている愛の背中を麻耶と素子が摩り、落ち着かせる。「俺は、愛が心配だからつい…」練習が終わっても、ジェジュンは日菜達の後を付けてくる。優先席を分捕る愛と日菜。周りの視線なんてお構いなしに話を続ける。(来たよ)日菜の視線の先にはージェジュンがいるではないか!(何で?本当に気持ち悪いよね)舞美達は、愛を触らせまいと体を張ってジェジュンを睨む。「髪、セットしてくれないか?」店内に入ってきたジェジュンは、堂々と椅子に座る。「ひいばあちゃん、いないので出来ません」日菜は頑として、ジェジュンの要望を拒否し続けた。「髪のセットくらい簡単だろ?いくら出したらしてくれるんだ?」きっと、逆らったら悪事を事をバラされるだろうー舞美は愛を2階に連れて行き、階段を下りる。「やりゃ、いいんでしょ?」嫌々ながら、日菜はジェジュンの髪をセットする。「なぁ、愛とはどういう繋がりなんだよ?」ジェジュンからの問いに、日菜は仏頂面になり「バレー仲間ですよ。小学生の頃からずっと」ちらり、と彼の目に入ったのは写真に写る愛達ー幸せそうに笑っているではないか!「あの時から、聞こえなかったのか?」急に言われて日菜は、心の中に何かが刺さったような感じがして、手を止める。「愛ちゃん、ずっと生まれた時から音を知りません」日菜は、櫛を手にして話す。「嘘をつくな?本当はあの時から聞こえてたんだろ?」コイツだけは許せないー日菜は、櫛を握りしめて怒りを堪えた。「愛を出せ。いるんだろ?」舞美は、ジェジュンが来ると分かったのか2階に駆け込んだ。「愛ちゃんをいじめて、何が楽しいの?」日菜は、持っていたハサミを彼に向ける。「愛が俺に振り向いてくれないからだよ!逃げるあいつが悪い」ジェジュンは悲劇のヒロインかのように涙を流す。「これ以上、愛ちゃんをいじめたらミユが許さないからね!」嫌々ながら、日菜はジェジュンの髪を触る。金髪の髪は、傷んでいて毛先もバラバラだ。「バレーボール始めたきっかけは?」慣れない手付きで髪を触る日菜にジェジュンは問いかけた。「ひいばあちゃんが、バレーボール連盟のお偉いさんで、興味を持ちました」日菜は、仏頂面のまま髪のセットを終える。「愛を出したら、黙っててやるぞ。なあ、愛を出せよ?」その頃、舞美は愛を別の場所に連れ出していた。(サオリは、手話が上手だね)愛にそう言われた舞美は、ジュースを吹き出しそうになる。(そんな事ないよ。まだまだ勉強が必要かなって思う)この日、愛は1人で部屋で過ごしていた。すると、誰かが来たような感じがしたー愛がモニターで見てみるとジェジュンいるではないか!愛が、居留守を使うとー今度は乱暴にドアを叩く震度が愛に伝わって来た。「愛、開けろよ!話がある」そんな日が何日か続きー愛は、音の振動を感じる度に敏感になっていった。(もう、あのマンションにはいたくない…彼には何されるか分からないから)愛は、涙ながらに日菜達にそう訴えた。(じゃあさ、奥多摩に行ったら?)奥多摩…聞いたことある場所。以前、練習試合であの場所に足を運んだっけ、な…。(そしたら、アイツは来なくなるよ)日菜と舞美は、ジェジュンに天罰が下りますようにーと祈ったのだった。
- 02Feb
#20「ストーカー、ジェジュン」
愛は、復帰して練習にも参加するようになった。(ナイスキー、はるか)はるか、と呼ばれたのはー第2セッターの西田麻耶だ。笑い合っている愛を見て、嫉妬心を覚えたジェジュンは体育館を出て、後を追う。(ひいばあちゃんち、行く?バレー見ようよ)駅で切符を買い、電車を待っていた時だった。背後に気配を感じた日菜が振り返るとー、その影は見えない場所に隠れる。何だろう?と、思った日菜は愛の手を引いて電車に乗り込んだ。(ちゃんと、アレ付けた?)日菜と舞美で優先席に座りー愛はキーホルダーを眺める。(つけたよ!ミユ達は流石に頼りになるね)優先席をぶんどって座る愛達は冷たい視線が注がれていたがお構い無しに座り続ける。そんな時、誰かがつり革に掴まっていた素子の腕を掴む。「な、何ですか?痴漢は止めて下さい!」素子が振り向くとージェジュンが嘲笑って立っているではないか!「ここは、優先席だろ?お前達が座る場所ではない」薬を飲まなくちゃー愛は、恐怖で手足が震えー寒気も感じた。降りる駅に着き、日菜と舞美に両脇を抱えられ電車を降りる。ジェジュンにあっかんべーをしてホームを出て、京子の家に向かう。ここは、愛達のたまり場でもある。嫌な事があった時、集まりたい時はこの場所に来る。「びびったー。何でアイツいるんだろ?」誰もいない美容室で椅子に座り、髪を櫛でとかす日菜。「もしかして、ストーカー!?気持ち悪ーい」ジェジュンの悪口を言い合い、盛り上がる。日頃から、彼に対する不満が募っていたのだ。(愛ちゃん、大丈夫だった?)薬の袋を持った愛に、日菜が話しかけた。(大丈夫…)と言うが、日菜は愛が大丈夫じゃない事に気付いた。(苦しむ愛ちゃん、もう見たくない)日菜は、涙を流して手話をする。客も京子もいない時、誰かが店のドアの前にいることに舞美が気付く。ジェジュンがいるではないか!「何で?」(愛ちゃん、隠れて!アイツが来る)日菜にそう言われた愛は、部屋の2階に身を潜めた。「今日は、ひいばあちゃんがいないのでお休みですよ」そう言って、ジェジュンを追い払おうとした時だー「愛は、どこやった?」狙いは愛か?日菜は、鋭く彼を睨んだがー彼も日菜を睨み返す。「もう、愛ちゃんに嫌がらせ止めて下さい!」日菜の目には、愛が(死にたい)と手話をする場面が焼き付いていた。「お前達が、妊婦に対する嫌がらせを止めたら俺も愛に対する嫌がらせを止める」そう言われた日菜や舞美は、唇を噛み締めて拳を握り締める。「幸せな奴らは全員嫌い!ミユは愛ちゃんに幸せになって欲しいからこんな事やってんの」初めて聞いた日菜の本音ー舞美や真理達も目を見開いて日菜の話を聞いていた。愛は、マタニティマークを触りずっと眺める。「愛、どこだ?話がある」家の中に入ろうとするジェジュンを日菜達は阻止するのが必死だった。ある日、愛が走りに夜道を歩いているとー人の気配を感じ歩幅を速めるとその人影らしきものも愛についてくる。怖くなった愛は、一目散にマンションに入り家に駆け込み鍵を閉める。怖い…脈拍が速くなりー呼吸も荒くなってきた。ジェジュンから逃げなきゃ…最初に彼に会った時、愛ばかり見てきた。何されるか分からない…翌朝、愛が目を覚ますとFaxが来ているようだ。(赤ちゃんが欲しいならいつでも、作らせてやるよ)(俺からは逃げられないからな?)愛は、Faxのコードを抜き紙を処分してー薬を飲んだ。もうすぐで薬がなくなるー早く病院に行かなくちゃ…そんなある日の事だ。愛が走りに行こうとマンションを出た時、ジェジュンがいるではないか!愛が、一目散に走り抜けようとしたそんな時、ジェジュンにポニーテールを引っ張られた!「これはこれは、愛さんではないか」愛は、ジェジュンの手を抓りー抵抗したが適わなかった。嫌がる愛を無理矢理、家の中に連れ込んだ。「なあ、俺からは逃げられないって言ったろ?」愛は恐怖のあまりにジェジュンの顔を見る事が出来ない。震えが止まらなくなり、寒気もしてきた。「赤ちゃんが欲しいのか?だったら、作らせてやるぞ。幸せになれるんだろ?」ジェジュンに体を触られるが、愛はそれを拒否して逃げようとする。「何で、愛は俺の事を拒否する?」逃げようとした愛の背中を抱き寄せ、体を弄んだ。「嫌なら、あんな事するな。俺は忠告したはずだぞ?」鼻息が荒くなるのが分かり、愛は逃げたいーという気持ちで精一杯だ。「風呂に入りたい。体を洗ってくれないか?」愛は、ジェジュン唇の動きを読み取ろうとするがー分からなかった。「聞こえなかったのか?風呂に入りたいんだ」愛は、体を縮こませて震えるだけだ。すると、ジェジュンが髪をかきあげて、ピアスを引っ張ったではないか!(お風呂は1人で入れば?)彼に背を向けて、愛は薬の袋を出しー何粒か飲んだ。「今、何を口に入れたんだ?」肩を掴み、愛の口に手を突っ込もうとしたが愛はそれを嫌がり手を振り払う。「もしかして、赤ちゃんが作れなくなる薬か?」愛は、頑として口を開けようとしない。「出せよ!」背後からハイムリッヒ法のような事をして、薬を吐き出させようとする。「お前達のせいで、何人もの妊婦が犠牲になったのか知ってるのか?」すると、ジェジュンがズボンの中に手を入れようとしてきたがー愛はその手を抓る。「俺、見てたんだぞ?あの時も」聞こえない愛に向かってジェジュンは、嫌な事を言い続けた。「話してみろよ?ほら!俺の真似してみろ」愛は、声を出して話そうとするがー空気が漏れただけだったのだ。嫌がる愛を浴室に連れて行き、ジェジュンは彼女の前で服を脱いだ。思わず目を逸らすと、ジェジュンが気持ちの悪い事をしようとする。「お前も脱げよ。服が濡れるだろ?」体を隠して縮こまっているとージェジュンにお湯をかけられたではないか!(止めて下さい!)愛が訴えると、更にジェジュンは愛が嫌がる事を何度もやった。「可愛い子ちゃん。俺の言う事が聞けないのかい?」早くここから逃げたい…愛は、浴室を抜け出して自分の部屋に逃げ込んだ。彼の温もりがまだ残っている…震えがまだ止まらない。ふと、Faxが目に入りー愛はFaxの電源を切った。ジェジュンのストーカーまがいな行為は、更にエスカレートして行くのだった。
- 31Jan
#19「復帰」
愛は、日菜達にこう告げた。(次の練習からコートに戻りたい。今まで、ごめんね)震える手で、手話をするとー舞美が涙を流して愛を抱きしめた。(金野郎なんてほっとけばいいんだよ!次こそは優勝を目指そう)3人で手を重ね、笑い合った。やっぱ、日菜達と一緒にいるのが楽しいー愛は再び笑顔を取り戻したのだ。(みんな、迷惑かけてごめんなさい)愛が謝るとー、舞美が抱きついてきて涙を流した。(みんなで韓国野郎を追い出そう!)円陣を組み、みんなで笑い合う。仲間といる時間が幸せだー試合形式で練習をしていると、ジェジュンが体育館に入って来たようだ。(何で、愛がいる?愛は辞めたはずじゃ…)固唾を飲んで練習を見ていると、速いトス回しで日菜や素子、純子、沙織にボールを送る。ハイタッチを交わし、笑っている愛を見てジェジュンは拳を握り締めた。タイムアウトを取り、集合させる。「チームを辞めたんじゃなかったのか?」愛は、ジェジュンを睨み、(あんたを辞めさせるまで負けないから)と、言い日菜が隣で訳す。この日の練習が終わり、愛達は飲みに行こうと体育館を出た。日菜は、わざと妊婦に足を引っ掛けー転ばせる。その攻撃をジェジュンが見ていた事も知らずに…(愛ちゃん、復帰おめでとう!)ビールで乾杯し、日菜と愛は笑う。(戻って来てくれてありがとうっす)真理の手話の上手さに愛はビールの入ったジョッキを落としそうになる。(烏野、最高!)盛り上がって来た時だー店のドアが開き客が入って来た。誰だろうーと舞美が隣の席に目をやると、ジェジュンがいるではないか!(アイツがいる。見ちゃダメ)舞美は、耳打ちしージェジュンを睨んだ。(これからも、ずっとバレーしよ!)酒が進み、日菜と話しているとージェジュンが席を立ち、愛達に絡んできた。「ここに来る前、何かしなかったか?」日菜は、ドキッとしたがジェジュンから目を逸らし話を続ける。「邪魔しないでくれません?」「本当にバレーボール出来なくなるぞ?」ジェジュンが撮影した動画を愛達に見せる。舞美の顔が一瞬、引き攣るのを彼は見逃さなかった。「ミユ達には関係ない事でしょ?勝手にあいつが転んだんだよ」酔いが回った日菜は、ジェジュンの胸倉を掴み今にも殴りそうな勢いだー(ミユ、やっちゃえ!)愛は、心配そうに日菜を見つめる。「バレーボールしたいなら、そういう事止めろ。妊婦やカップルの何が嫌なんだ?」(愛ちゃん、気にしなくていいから飲もう)日菜とジェジュンのいがみ合いは、ずーっと続いた。「ミユはただ、愛ちゃんに幸せになって欲しいから…!もう、苦しむ愛ちゃんを見たくないの!」初めて見る日菜の涙ー愛は、日菜の本音を知り、何も言えなくなったのだ。
- 28Jan
#18「敵意」
この日は、朝から誰かがドアを叩いた。愛は、寝起きのまま誰が来たのか確認する。ジェジュンではないか!無視して、再び寝室に戻り眠ろうとした時だー今度はドアを、乱暴に叩き始めた。「愛さん、いるんだろ?開けてくれ!話がしたいんだ」布団に縮こまり、震えが止まるのを待つ。愛が離脱したチームは、やる気を失くし練習でもミスを連発する。「やる気あるのか?」ジェジュンは、容赦なくボールを投げ付けて罵声を浴びせる。「愛ちゃん、何で辞めたんだろうね」「連絡しても、返って来ないし…」日菜は、盗み取ったマタニティマークを眺めながら舞美と話す。「ジェジュン、あんた何か知ってるんじゃないの?」舞美が言い放つと、他のチームメイトが一斉にジェジュンを白い目で見た。「黙ってないで何か言いなよ!」「あんたって最低よね。愛ちゃんを苦しめて。何が楽しいの?」舞美も、立ち上がりジェジュンに文句を言う。「こんなんじゃ、練習にならないので帰ります」日菜が背を向けるとージェジュンもそれに倣う。みんなで、近くのカフェに入りージェジュンの悪口を言い合った。次から次へと出てくる悪口ーみんなジェジュンのやり方に対して不満を持っていたのだ。ある日、愛がジムに行こうとマンションを出た時ー誰かが手招きをしていて顔を上げた時、日菜達がいるではないか!(愛ちゃん、チームに戻って来て。あの金野郎を辞めさせよう)愛は、顔が一瞬、引き攣りー動けなくなる。(愛は、聞こえないから戻れない。試合になんか勝てやしないんだから)手話をした愛は、俯いて涙を流す。(聞こえる、聞こえないは関係ない。愛ちゃんは愛ちゃんじゃん)日菜にそう言われた愛は、涙を流して日菜に抱きついた。(あの韓国野郎からは、ミユ達が守るから。戻りたくなったら戻って来てね)コートに戻ろうか迷う。また、勝てなかったら愛が批難の的にされるだろうー愛は、コートには戻らずにジムに通う日々だったーこの日、ジムに行く準備をしていたら誰かが来たようだ。どうせ、ジェジュンだろうーと思い、愛はドアを開けなかった。容赦なく鳴り響くノックの振動…愛は、ジェジュンではない事が分かり玄関に向かう。日菜と舞美ではないか!(ひいばあちゃんのとこ、行く?)そう言われた愛は、首を横に振る。(誰もいないから大丈夫だよ)仕方なく愛は、2人について行き京子の家へと向かう。酒を飲み、バレーボールの事を語り合っているうちに眠ってしまっていたようだ。コートに戻りたいー愛は、またバレーボールがやりたいーと思うようになった。
- 26Jan
#17「居場所」
そろそろ薬が切れそうだー愛は、病院に向かおうとフードを被り外出する。「何で、俺の家に来てくれないんだ?」ジェジュンの姿をちらりと見た愛はー一目散に走り、地下鉄に逃げ込んだ。切符を買い、電車を待っていた時誰かが背後にいるのを感じ取った愛はー後ろを見やった。ジェジュンがいるではないか!素早く、電車に乗り込みー優先席に座る。助けを呼びたいけど、止めた…ジェジュンから逃げなくちゃ…「俺から逃げるなよ?」愛はジェジュンから顔を逸らしー視線を移す。そこには、あのキーホルダーをつけた妊婦がいるではないか!鋭く睨んでるとージェジュンが何かを書いて目の前に見せてきた。(赤ちゃんが欲しいんだろ?)愛は、目を逸らしー早く駅に着かないかと待つ。駅に着き、素早く改札口を抜け病院に入る。薬を処方されー愛は、駅に入りー切符を買う。ジェジュンがいませんようにーと何度も祈った。この日は、ジムに行って運動していた。やっぱり、体を動かさないとーどうにかなってしまいそうだったからだ。そんな時、ジムのスタッフが愛を呼んでいる。(お客様が来ています)ーと。愛は、(名前を聞いてきて下さい)と、字を書いて運動を再開させた。しばらくすると、愛の肩を叩く人がーそこには、ジェジュンがいるではないか!何で?付けてきたのか?愛は、怖くなり彼から目を逸らす。「何で俺から逃げるんだ?」トレーニングを中止し、愛はロッカーに逃げて薬を飲んだ。怖い……妊娠だけはしたくない…ジムを出た時、ジェジュンに肩を掴まれた。「俺の家に来てくれないか?」愛が嫌がって、背を向けるとー三つ編みポニーテールをした髪を掴まれたではないか!「この、長い髪、切り落としていいかい?」聞こえない愛を脅かし、ジェジュンは駅に愛を連れて行く。家に連れ込んだジェジュンは、愛をいきなり突き飛ばした。(止めて下さい!)愛が、抵抗するとージェジュンが睨み、愛が嫌がるような事をする。ニヤニヤとした彼を見るのも嫌だー手を振り払い、エレベーターに駆け込んで部屋に逃げる。部屋に入った愛は、薬を何錠か飲み干した。するとージェジュンが愛の部屋のドアを乱暴に叩く振動が伝わって来た。助けて…怖い…日菜に連絡しようとしたが、止めた。
- 24Jan
#16「自由な時間」
愛は、この日もどこかへ向かっている。足は、あるビルの前で止まった。スポーツジムではないか!金(アイツ)も、ここまで追ってこないだろうと、内心ホッとした。好きな分だけトレーニングをし、ネットカフェに寝泊まりする日々ー愛は、誰もいない時間帯にマンションに戻るのだった。バレーボールから離れれば、もう、嫌な思いはしなくなるーと、愛は解放された気分だった。フードをかぶり、愛は周りを見回す。(やろうよ。スカッとするよ)日菜に言われて悪事も働いた事もあった。愛は、妊婦に近付きー何かの液体をぶっかけて、ライターで引火させた。内心、スカッとした気分になり、愛は地下鉄に向かう。数日後、愛が走りに行こうと部屋を出た時だー「愛さん、おはよう。どこに行くのかな?」愛は、ジェジュンを無視してエレベーターに乗る。ドアを締めようとした時だー無理矢理ドアをこじ開けてジェジュンが入ってきたではないか!「俺に顔見せろよ?」フードを捲ろうとした時、愛はジェジュンの手を抓ったではないか!「耳、見せろよ。まだ、付けてるのか?それじゃあ、俺の声が聞こえないだろ?」何とかジェジュンから逃げ、地下鉄に乗り込んだ。ここまで来れば、追ってこないだろう…きっと、コートに戻すつもりなのか?愛は、マンションに戻るのが怖くなりーネットカフェに寝泊まりする日が続いた。「愛ちゃんが、いないと勝てそうにないよね…」愛が離脱してから、日菜達はそう愚痴をこぼすようになった。練習で上手く行かず、苛立ち、ジェジュンにも罵倒された。「あーあ、何かいい事ないかなー」ふとー舞美が目をやると、身重の女性が歩くのが目に入る。日菜は、舞美とアイコンタクトをしその女性を誰もいない路地裏に連れて行く。「あんたがいるせいで、幸せになれないんだよ!何アピールかよ?目障りなんだよ!」次から次へと言葉が出てきて、日菜は泣きながら暴れていた。暴れたい気分は、舞美や素子、他のチームメイトも同じだ。愛は、コートに戻る事が出来るのだろうか?
- 22Jan
#15「離脱」
最終セットが始まった店レシーブが苦手な素子や美由紀はサーブで狙われ、ミスを連発。愛自身も、サーブをミスした。「勝つ気あるのか?」ジェジュンにそう言われ…舞美は鋭く睨み付ける。(愛達をあんたを辞めさせたい!まだ負けてない)手話の分からないジェジュンは、愛を鋭く見据えた。気づいたら、14-12。相手がマッチポイントを握っているではないか!相手のサーブが来る…ネットに当たり…愛がボールを触るが、コートの外へ…日菜と萌香もボールを触るが、繋げなかった。「烏野ギャルサーズ、敗れました?セットカウント3-2」実況の声も、日菜達の耳には入らなかった。負けた…金を辞めさせることが出来なかった…整列が終わり、控え室に行き日菜達は悔し涙を流し壁を叩いた。愛はただ、俯いてー黙っているだけだ。自分がコートに立ったから負けた…自分のせいで金を辞めさせる事が出来なかった。初戦に敗退して1週間が経過したある日ー愛が寝ているとたくさんFaxが送られてきたが、愛は気付かなかった。「聞こえないセッターを使うから1勝もする事が出来ないんだ」あれから、その夢ばかり見て魘されるようになり、眠れない日も何日か続いたのだった。起きると、床に落ちた大量には紙に愛は驚いた!眠気を振り払い、紙を拾い上げると、そこにはー「ぼろ負けだったな。聞こえないセッターは、いらない」「そんな選手は、コートから去るべきだ」などの誹謗中傷が書かれているではないか!きっと、金の仕業に違いないー愛は、紙を集めてゴミ箱に捨てる。もう、バレーを辞めようーと心に決めた愛は、ユニフォームを畳んで体育館に向かった。練習を見ていたジェジュンに、筆談で話す。(バレーボール辞めます。お世話になりました)愛は、ユニフォームを渡しー一目散に背を向けて体育館を出て行った。「愛さんが、チームを辞めました」ジェジュンは、声を絞り出して日菜達に告げた。「何で?」日菜は、ジェジュンを睨みーボールを手にする。「あんたが愛ちゃんに何かしたんでしょ?」舞美が、ボールを投げつけると日菜や他のメンバーもそれに倣った。「本人の意思だ」日菜は、小学生時代の事を回想していた。(日の丸を背負って、世界と戦おうね)笑い合ったあの日ー夢を語り合った。金(アイツ)のせいで、愛ちゃんとの夢が崩れてたまるかー「つーか、アイツが愛ちゃんに何かしたに違いないよね」練習が終わり、日菜は舞美達に愚痴る。「うちもそう思う」ふとー日菜達の目の前を通る妊婦の姿が目に入ったではないか。「アイツみたいな奴のせいで愛ちゃん、幸せになれないんだよね」その頃、愛は地下鉄に乗り込みどこかへ向かうようだ。もう、コートには戻らないと心に決めたのだった。
- 18Jan
#14「21-18」
体育館に入ると、既にジェジュンが来ており京子と準備を進めていた。「初戦どこ?」「烏野ギャルサーズだけど」廊下を歩いていると、そんな話が日菜の耳に入る。「セッターがさ、ろう者なんでしょ?すぐ楽勝じゃん」日菜と舞美、更に第2セッターの麻耶がその背後に立つ。「愛ちゃんの悪口言うの止めなよ?」背後に立たれた対戦チームの選手が振り向くとー日菜達に囲まれていたではいか!「試合でけちょんけちょんにしてやるからな!」唾を吐き捨てて体育館の中に入り、ストレッチをする。(ミユ、ありがとう)愛は、練習をする手を止めて手話をする。「俺との約束忘れてないよな?」愛と話す日菜にジェジュンがそう囁いた。「忘れてませんよ?ミユ達が勝ったらチームから消えて下さいね?」ジェジュンを睨み、日菜は練習を再開する。ふとージェジュンは選手の名前の欄を見て不思議に思ったようだ。「京子さん、何でこれ本名じゃないんですか?」ジェジュンとの会話が耳に入った舞美は、ボールを持ったままジェジュンを睨んだ。「練習はあの子達に任せっきりだからね。気にしないで」(愛ちゃん)と、日菜が愛を呼び何かを話している。もうすぐで試合開始だ…緊迫する空気の中、アップを取りパスを始めよう時、「集合して下さい」ジェジュンに言われて、愛達は集合する。「君達のバレーボールを見るのが楽しみだ。せいぜい、頑張れよ?」馴れ馴れしい態度にムカついた日菜は、ジェジュンをキツい目で見据えた。勝ってやる、絶対に…勝って、金(アイツ)を辞めさせるんだー試合開始のホイッスルが鳴り、愛達はコートに立つ。聞こえない愛は、どんなプレーをするのか?ジェジュンは、ヘラヘラした態度でコートを見つめる。愛のサーブから試合が始まり、見た事のないサーブを見て何も言えなくなる。(ナイスサーブ、愛ちゃん)日菜と笑い合う愛を見て、ジェジュンは更に嫉妬心を覚えた。負けろ…負けて悔しがれ!萌香が繋いだボールを愛は、スパイクを打つと見せかけてトスを上げ、そのボールは素子が放った。コートの中で笑う愛を冷ややかな視線で見つめー嘲笑うジェジュン。気付いたら、1セット目は愛達がリードしていた。リリーフサーバーで入った真理は、レシーブでボールを繋ぎ、愛がツーアタックで返す。2セット目、21-18とリードしていた。ジェジュンや京子は、勝ったーと思い込んだ。「気持ちで負けるな!まだまだ行ける!行って来い」愛は、日菜に何かを手話で話しているようだ。タイムアウトも明け、試合再開。愛は、トスを日菜にだけ集中し上げ続けた。そんな時ー日菜のスパイクはブロックの壁に止められたではないか!(ごめん、ミユ)再び、日菜にトスを上げるがーブロックに止められてしまう。2セット目は、相手チームに取られてしまったではないか!3セット目、4セット目も善戦するがー流れが戻って来る事はなかった。更に愛は、トスミスを繰り返しー途中交代でベンチに行く。悔しい…勝たないといけないのに…金(アイツ)を辞めさせたいのに…愛は、悔しさのあまりに拳を握りしめる。暫くして顔を上げるとー選手交代なのか?再びコートに戻るがー相手リードは変わらなかった。果たして、烏野ギャルサーズは勝つ事が出来るのか?
- 15Jan
#13「大事な初戦」
明後日に国体が始まる。ハードな練習を終えた愛達は、ビールを飲み干した。(絶対勝とう。そして、観光野郎を辞めさせるよ)愛が手話でそう言うとー日菜が酔っ払ってビール缶を握り潰す。「負けないぞー!」練習が終わった愛は、日菜達と別れてどこかへ向かった。産婦人科だ。保険証を握りしめー受付へと足を進める。(避妊具が裂けた)と書く手が震える…金(アイツ)の子供なんて妊娠したくない…愛は、診断を終え、処方箋を出されてマンションに戻った。ジェジュンにされた事が蘇りー愛は、一気に薬を飲んだ。薬の副作用なのか、眠れない日が続きー練習でもミスを連発する。(愛ちゃんらしくないね)休憩の時、日菜に言われた。(何でもないよ?)愛は、日菜や舞美にそう言われるがー話を逸らして隠し続けた。薬を飲まなければーと、愛は暇さえあれば隠れて薬を服用する。ジェジュンの元に集合し、話を聞く。日菜と舞美は彼を鋭く見据えた。「初戦の相手は、表参道クラブだ」隣で日菜は、愛に手話をして伝える。表参道クラブ…愛達は、そのチームに1勝もした事がない。(レシーブ、崩されたー!セットカウント0-3、烏野ギャルサーズ、敗れました)日菜や舞美達の耳には、実況の声が未だに耳には残っていた。「なるべく1勝はしろ。もし、勝てなかったらー」ジェジュンは、そう言って口を噤む。日菜には、彼が何を言いたいのか大体予測がついた。練習が終わり、愛は着替えてトイレに向かった。もうすぐ薬が切れるー病院に行かなくては…突然、肩を叩かれて振り向くと日菜がいるではないか!(それ、何の薬?)慌てて袋を隠すが、日菜は気付いてしまったのだ。(何でもない。ただの栄養剤だから)愛が、埋まって涙を流すと、日菜は薬の袋の門司を見ているようだ。(最近の愛ちゃん変だよ?サオリやみんなも言ってた。何か隠し事してない?)すると、愛は震える手で……(苦しい。ずっと苦しかった)ミユやサオリは愛の事嫌いになるよね?そう思った時、(何で早く言ってくれなかったの?)日菜が泣いているではないか!(韓国野郎に家に無理矢理入れられて、ご飯を食べさせられたりお風呂に入った時は…)愛は、耐えられなくなり涙をこぼす。(アイツが、愛に赤ちゃんを作らせようとしたの。あんな奴の子供なんて産みたくない!)日菜は、怒りがこみ上げて来て壁を殴った。許さない…絶対に勝ってアイツを辞めさせてやる!いよいよ明日が、初戦の日だ。愛達は、どのユニフォームで参加するか話し合っていた。(サオリは、どーする?)隣で「軟体動物」と書かれたTシャツ着ている舞美に聞いた。(12番ので行くよ)(愛ちゃんは9番よね?ミユは1番で行く)話をする日菜からは、闘志感が見えた。愛、日菜、舞美はあまり眠れずに初戦を迎えたのだった。
- 07Jan
#12「打倒、キムコーチ」
今日は、愛の家に集まりー布に字を書きシャツに縫い付ける。(ミユは、何にした?)愛が聞くと、日菜はニコニコしてTシャツを見せてきた。(七転八倒!どんなボールにも必死で食らいつきたいから)京子は、美容室の開店準備をしており忙しそうだ。(愛は、つなぐ。ボールをみんなで繋ぎ、金コーチを辞めさせよう)日菜や舞美達の顔を見て、笑い合う。(早く韓国帰れっつーの!あのニヤニヤした顔が嫌)ようやく仕上げた愛達は、ビールを飲み干す。手先の器用な舞美は、バレーボールのマスコットを作っている。(リアは、何にしたの?)愛が、聞くとー萌香がニコニコして見せる。「泣かない。試合までには強くなりたいから」そう言うとー萌香は、涙を流したではないか!(泣かないで。愛達がいるじゃない。リアの繋いだボールは、愛やミユ達が繋ぐから安心してね)愛は、萌香の背中を撫で慰める。練習が休みの日は、みんなで集まりジェジュンに対する愚痴を言い合う。この日は、日菜と舞美、秀美で地下鉄に乗りー真理と合流する。(愛ちゃん、座りなよ)日菜は、周りを睨み威嚇しー舞美に耳打ちする。(韓国野郎が来ないか見張ってて)愛は、堂々と優先席に座りスマホをいじる。ふとー、隣に妊婦が座ろうとしてるのを見た日菜は、席を分捕りー愛と顔を見合わせて笑う。駅に着き、愛達は真理を探す。「おやビン、ミユさん、サオリさん、コト(秀美)さーん」いつものテンションで真理は、手を振って近寄って来た。「韓国野郎は見た?」日菜は、辺りを見回して真理に聞く。「コーチがどうかしたんすか?」(愛ちゃんばかり、意地悪するんだよ。見たでしょ?ピアス壊したりしたじゃん)近くのコンビニに屯し、タバコを吸う。「こっちも、キムコーチ嫌いっす。何であんなのがコーチなんすかね」真理は、床を睨みつけタバコを吹かした。ジェジュンの悪口を言っていた時、見覚えのある長い足が目に入る。「そんなもの吸ってもいいのか?」愛が吸っていたタバコをジェジュンが取り上げた。それが、気に障った愛は手話で(私達の邪魔をしないで。国体で優勝したらコーチを辞めて下さい)手話の分からないジェジュンは、愛を睨みー「俺、愛さんの声が聞きたいなあ。本当は話せるんだろ?」追い詰めようとするジェジュンを見ていられなかった日菜は、その場に唾を吐き捨てて愛を庇う。「愛ちゃん、誰のせいで聞こえなくなったと思うんですか?」ブルブルと震える愛の体を日菜は、抱きしめー触らせまいと威嚇する。「あんたみたいなヤツのせいで聞こえなくなったんだよ!」日菜は、これまで愛が苦しんできた所を回想していた。(ミユが愛ちゃんの耳になる)話せなくなった時、日菜は愛にそう言った。嬉しかった。日菜達がいない時、ジェジュンは愛にしつこく絡んだ。(止めて下さい)と何度も言うが、彼は止めなかった。あと1週間で、国体が始まるー愛は、ランニングをしようとマンションを出たそんな時だ!「愛さん、おはよう。今から俺の家に来てくれませんか?」愛は、なるべくジェジュンと目を合わせないようにしー(結構です。ミユ達、待たせてるんで)と嘘を言い、その場を去ろうとした。「お腹空いてないか?俺、1人じゃ寂しくて」足を動かした時ー、ジェジュンに髪を掴まれたではないか!嫌がる愛を無理矢理、家の中に入れたジェジュンはニヤニヤと嘲笑いー愛の体に手を回してきたではないか!「最近、食べてるか?そんなんじゃ体持たないぞ?」愛は、俯いたまま何も言わないー日菜に助けを呼ぼうとした時、ジェジュンにスマホを取り上げられてしまった。「俺の真似して、話してみろ。声出せるんだろ?」愛は声を出して話そうとするがー苦しくなり、涙が自然に溢れてきた。(話せない。聞こえないから)愛は、ノートに字を書きー席を立とうとした。「俺は、愛さんの事が心配なんだよ!」背後から愛に抱き付き、ジェジュンは子供のようにわんわんと泣いた。この日から、ジェジュンは愛を家に連れ込みー束縛した。食事の手が止まり、愛がスマホをいじるとー「なぁ、試合近いんだろ?ちゃんと食べないと体持たないぞ?」それでも、愛はスマホをいじり日菜や舞美に連絡を取っている。「食えよ!」ジェジュンが、愛の口にスプーンを突っ込んできたではないか!愛は、埋まって涙を流す。苦しい…早くここから逃げたい…時には、風呂に入って欲しいと言われた時もあった。愛が、嫌だーと断ると、ジェジュンは壁に手を付き無理矢理口付けをしてきたではないか!深くー更に深くと…舌が入ってきて気持ち悪い。「俺との赤ちゃん、欲しいんだろ?だったら、俺の言う事を聞け」愛が、ジェジュンから顔を逸らすとー「あの事が知られたら、チーム解散どころかバレーボール出来なくなるぞ?」浴槽で丸まっているとージェジュンが背後から抱きつき体を弄んだ。韓国語で何かを言っているようだがー愛には聞こえなかった。愛には、気持ち悪いことをさせられるんだと分かった。愛達は、国体で優勝しジェジュンを辞めさせる事が出来るのだろうか?
#11「鬼コーチ、キム」
この日に、緊急会議があると管理人に言われた。愛は、この後、真理と素子と会う約束をしており、あのキーホルダーをバッグにつけたまま会議室に向かおうと家を出た。下に降りるとー日菜がいるではないか!(また、何なのー?緊急会議ってまぢウザイ)日菜と手話で、愚痴を言い合っているとジェジュンが来たではないか。「かっわいいですね。2人で何を話してるんですか?僕にも教えて下さいよ」日菜は、ジェジュンを睨み愛の手を引いて会議室に入る。ジェジュンを避け、2人だけの世界に入りー手話で話す。「このマンション内で、悲しい事件が起きました」日菜の手話を見て、愛は内容を理解する。(悪いのはアイツじゃん?何で、いちいち大事にするわけ?)すると、管理人の太田が愛を指差す。「最近、あなた達に対する苦情が入ってるんですよ」太田は、妊婦の名を言ったのだろう…愛には聞こえなかった。愛は、目を逸らしスマホをいじり始める。「ミユ達が何をしたって言うんですか!ひいばあちゃんに言い付けてやる!」日菜が手を出そうとした時だ。ジェジュンが止めに入る。「愛ちゃん、聞こえないのに犯人にするなんて可哀想!謝って下さい」「落ち着いて。深呼吸して」ジェジュンが宥めるが、日菜の怒りは治まらなかった。会議が終わり、2人でマンションを出てタバコを吸う。この一服が幸せな時間だ。するとージェジュンが来て、何かを言うが聞こえなかった。「悪さした罰で、明日から居残り練習だ。連帯責任だからな?」日菜は、唾を吐き捨てージェジュンを睨むが彼も日菜を睨み返す。翌日の練習の日、愛は日菜達を集めて何かを話しているようだ。(強くなって、あのキム野郎を辞めさせよう!)ニコニコと幸せそうに話す愛に、ジェジュンは嫉妬心を覚えた。(そしたら、シャツにメッセージを書いた布を縫い付けない?)日菜が提案すると、他のチームメイトはいいね、と言わんばかりに頷く。「練習終わったら、ひいばあちゃんの家の2階に集合ね」ジェジュンがボールを手にして、愛達の輪に近付く。ふとー愛の耳に何かがついているのが目に入る。愛の肩を叩き、振り向かせる。愛は、彼を警戒しー睨んだ。「それ、見せてくれないか?」愛の返事を待たずに、耳についていたピアスを千切れるくらいの激しさで引っ張った。「これが、ないから僕の声やみんなの声が聞こえないんだろ?」見ていられなかった素子が立ち上がり、ピアスを取り返そうとするがージェジュンは、わざと届かない高さに手を上げる。「さっき、京子さんに何話してたんですか?」素子が睨むと、日菜や舞美も睨む。愛は、体を縮こませて泣いているようだ。「私、聞いちゃいました。京子さんとの会話」萌香が、水分を取りながら話す。「愛さんの事について教えてくれませんか?」「そんなに気になるなら本人に聞けばいいじゃない?」京子は、パソコンを操作しながらジェジュンと話す。「愛さん、昔は話せてたんだけどね、ある事情で話せなくなったの」(愛さんの事、バカにしないでよ)萌香は、怒りに狂いそうになり拳を握りしめる。「愛ちゃんは、それがないと聞こえないんですよ!今は、全く聞こえない状態なんですよ」練習を中断し、ジェジュンは愛達を集合させる。「バレーボールはチームプレーだろ?声が聞こえなかったら何も出来ないだろ?」日菜と舞美は、愛の体を支えー鋭い目付きでジェジュンの話を聞いた。「これは、必要ないだろ?」そう言い放ったジェジュンは、ピアスを床に置きー足で粉砕したではないか!(サオリが寝ないで作ってくれたピアスを…)居残り練習が終わり、日菜と舞美はジェジュンに抗議をしに行った。「どうしてくれるんですか?ひいばあちゃんに言いますよ?」日菜が、ジェジュンに言ったがー彼はバカにしたかのように嘲笑い、「あんた達がやった悪事を警察に言ってもいいのか?バレーボール出来なくなるぞ?」日菜は、唾を吐き捨てー舞美とその場に去る。京子の家の裏口から入ろうとした時、聞き覚えのある声が日菜の耳に入った。ジェジュンではないか!「甲斐日菜か…あの目付き、忘れられませんね」きっと、悪事を京子に話しているのだろう…「井上舞美。菅原素子は、スパイクのフォーメーションはいいが、レシーブは苦手。佐野秀美、石松真理、永谷弥生、石崎萌香はレシーブはいい。竹下愛は、セッターだが背が小さ過ぎるな。国体の試合では、西田真耶を正セッターにしよう」愛にキャプテンを辞めさせるつもりか!?我慢の限界に達した日菜は、勢いよくドアを開けて居間に入る。(ごめんなさい)と、愛が泣きながら舞美に手話をする。(何で謝るの?)「ミユちゃん、帰ってたら何で何も言わないの?」「そんなんで、よくバレーボール出来ますね」ジェジュンにも、嫌味を言われた日菜はビールを人数分だけ持って行きージェジュンを睨む。(サオリが作ってくれたピアスをあんな感じにして…)(気にしないで。また、作るから。うち、愛ちゃんの為なら何でも作る)それからー舞美はジェジュンにピアスを壊されては作り、壊されては作りを何度も繰り返し、身体的、精神的にボロボロだった。ジェジュンは、愛に対するパワハラはより一層、激しくなった。「話してみろ!声出せよ!本当は聞こえるんだろ?」コートに倒れ込んだ愛に容赦なくボールをぶつけ更にー髪を掴んで引きずり回したではないか!「何で愛ちゃんだけ?それから、ミユにすればいいじゃないですか!」日菜は、拾い上げたボールをジェジュンに投げ付けると、舞美や美由紀(コウ)もそれに続く。「何で名前とコートネームが矛盾してるんだ?」ジェジュンが、日菜にボールを投げ返す。「ミユじゃなくて日菜。サオリではなく舞美。国体で1度も勝ててないんだろ?」休憩中、こっそりとビールを飲みージェジュンの悪口を言い合った。「竹下、愛。コートに入れ。話がある」愛は、唇の動きを読み取るがー理解出来なかった。「これ外せよ。僕の真似して話してみろ」ピアスを無理矢理引っ張られ、愛はジェジュンを上目遣いで見る。「もう1つあるじゃないか」凄まじい音を聞いた日菜達は、体育館の中に入る。するとー愛の左耳から血が滴り落ちているではないか!(愛ちゃん、血が…)「あったま来た!もう、許せない!」舞美が、ジェジュンの胸ぐらを掴んだが力が及ばなくー投げ飛ばされてしまった。(練習休んでいいから、病院行きな。キム野郎はミユ達がやつけとくから)愛は、1人で病院に向かいー処方箋を出してもらった。診断結果は、大した傷ではなくー薬を塗れば治ると、医師は説明した。マンションに戻り、愛は白い目で見られながらも部屋に向かう。ベッドに横になり、クッションを抱いて涙を流した。自分は聞こえないままでいいのか?愛は、一睡も出来ずに朝を迎えたのだった。
- 04Jan
#10「えこひいき!?」
ジェジュンがコーチに就任して数週間が経過した。国体まであと少しー誰もが勝ちたいというプレッシャーに彼は押し潰されそうになっていた。「勝つ気あるの?」京子は、鬼のように容赦なくボールを投げ付ける。レシーブの苦手なチーム一の長身の素子(カナ、ウシワカ)が、コートに倒れ込む。「カナ、頑張れ!」日菜が素子に声援を送る。それに続いて舞美や真理も続く。素子は、コートに倒れ込んだまま動かなくなった。「やる気あるのか?」それまでボール拾いをしていたジェジュンが素子にボールをぶつけた。(止めて下さい!)愛が訴えるがージェジュンは素子にボールをぶつけ続ける。「やる気がない人はチームを去って貰おうか?」愛はー横目でジェジュンを睨み、外に出てタバコを吸った。(ウシワカが可哀想だよね!早く韓国野郎を辞めさせよう!)するとー素子が泣きながら体育館から出てきたではないか!(カナ、こっちに来て)愛は、素子を手招きし話の輪の中に入れる。(あの韓国野郎、愛も嫌い。何でコーチになったんだろうね)ジェジュンにバレないように筆談をする愛。(ひいばあちゃんに話してみる!)この日は、練習がオフでマンションのロビーで話していた時だ。真理と同じくリベロの石崎萌香(リア)が来てくれた。(もう、練習行きたくないよー)愚痴を零す愛。その思いは日菜や舞美達も同じだった。(ストレス発散しないと気が狂いそう)ちらりーと、日菜が目をやると愛の家の上の階に住む妊婦に目が行ったではないか!日菜は、席を立ちその妊婦に足を進める。「ちょっと話があるんですけどいいですか?」更に、舞美も席を立ちー妊婦をマンションから出し誰もいない場所へと連れて行く。「あんたが幸せなのが許せない!幸せなのはウチらだけでいいんだ!」日菜と舞美は、気が済むまで暴力を加えーバックの中に入っていたエコー写真と母子手帳を取り出した。(やるよ)と、耳打ちしー何かの液体をかけ何かを投げ付けてその場を去った。「みんな、練習しよ」マンションを出て、愛達は外をランニングした。気が済むまでランニングをし、マンションに戻るとー何やら警察がいるようだ。救急車まで来ているではないか!誰かが通報したのか?日菜は、誰もいない場所に愛達を隠しーその場を覗き見する。(最悪。誰?チクったの)((まさか、韓国野郎じゃない!?))同時に手話をし、舞美と愛は笑い合う。何事も無いようにー愛達は、地下鉄のある駅へと足を運ぶ。その姿を目撃されていた事に、気付かなかった愛達なのであった。
- 26Dec
#9「見学者」
「皆さん、かっがやいてますね」白い歯を見せて笑うのは、ジェジュンではないか!(アイツだよ。愛ちゃんに嫌がらせしてる奴)日菜は、隣にいた永谷弥生(リョウ)に耳打ちする。「僕、皆さんの練習が見たくて来ました」練習を再開させた時、京子がパソコンを使いジェジュンに何かを説明しているようだ。日菜や舞美は、それが気に食わなかった様子。(きっと、ミユ達が悪さした事チクるんだろうね。あーあ腹立つ!)外でタバコを吸って話していると、体育館から健一と武弘が出てきた。「俺達は、愛ちゃんを守る。あんな奴に潰されてたまるか」彼の悪口を言っていると、ジェジュンが顔を出した。「楽しそうですね!何を話してるのかな?」(練習終わったら飲もう!)練習が終わり、愛達は体育館を出てデパートに向かった。(もー、やんなっちゃう!)日菜が、嫌そうに愚痴る。フードを被り、発散出来るものはないかーと辺りを見回す愛達。(みんなもやろうよ。ミユ達、仲間でしょ?)日菜と悪さをするのは楽しいーその道を教えてくれたのは中学の時だった。カップルに近付き、日菜が背中を押しー一目散にその場を去る。愛と舞美、郁美は日菜の背中を追った。(奪ってやろうじゃないの。次は、あれにしよー)日菜は、更にタバコに火をつけて吹かす。次の日は、地下鉄で体育館に向かう。愛は、キーホルダーをカバンに付け、優先席に座る。日菜と舞美は、愛を触らせまいと周囲を睨みつける。すると、隣に座っていた高齢の女性が愛に声を掛けてきた。「妊婦さんは大変よね。元気な赤ちゃん産んで、体を大切にね」舞美が、手話に訳してくれて愛には話の内容がわかった。(ありがとう)愛が、その女性から安産祈願のお守りを受け取ろうとした時だー「かっわいいですね。それ何ですか?」ジェジュンに声をかけられた日菜は慌てて安産祈願のお守りを隠す。降りる駅に着き、2人は愛の両脇を抱えそそくさと駅を出た。(怖かったねー)ホッと胸を撫で下ろし、日菜は深呼吸をする。(何でアイツが乗ってたんだろ。もしかして、ウチらの事つけてたとか?)体育館に着くと、もう既に京子は来ており準備をしていた。「みんなが揃ったら話があるって伝えてて」きっとジェジュンの事だろうー日菜は苛立ちボールを乱暴につく。2人でパスをし、気づけばー全員が揃っていた。「集合」不満そうな顔をしたのは、日菜と舞美だ。「国体までコーチをしたい人がいてね」京子がそう言った時だー体育館のドアが開き、ジェジュンが入ってきたではないか!「僕、バレーボールの経験はありませんが、皆さんと楽しくやりたいです」日菜と舞美は、キツい目でジェジュンを睨みつけた。練習が再開し、愛は日菜と楽しそうにパスをする。休憩の合間に、京子が端末を使いジェジュンに何かを言っている。日菜は、横目でジェジュンを見てサーブを放つ。日菜が放ったサーブは、相手コートに凄まじい音を立てて落ちた。(このサーブで、あの韓国野郎を倒しなよ)舞美が耳打ちし、日菜はニヤリと笑いーコートに入ってきたジェジュン目掛けてサーブを放つ。強烈なサーブは、ジェジュンを弾く。(流石、ミユ。最強じゃん)愛と日菜は、手話でジェジュンの悪口を言いー笑い合う。練習が終わり、体育館を出ようとした時だー「サーブで僕を狙うなんて酷いなぁ」ジェジュンが、近づいてきてー愛を背後に隠す日菜。「狙ってなんかいませんよ。勘違いしないで下さい」愛は、こっそりとキーホルダーをつけジェジュンを睨んだ。「夜からバイトかぁー。変わって欲しいっす」真理は、居酒屋でのバイトに行っている。愛達も何度か足を運んだことのある店だ。(頑張れ!今日、店行くから)地下鉄に乗り、愛は堂々と優先席に座る。暫く地下鉄に揺られていた時だー愛の目の前に長い足が2本入る。愛が、目線を変えると、ジェジュンがいるではないか!(今日イクミのいる店で飲もうね)手話をする2人をジェジュンが睨むとー日菜も睨み返す。「次の駅で降りろ。話がある」日菜は、ジェジュンを無視して愛との会話を続ける。次の駅に着いた時、ジェジュンは愛の腕を掴む。「止めて下さいよ。愛ちゃん、嫌がってるじゃないですか」日菜と舞美は、ジェジュンから愛を離してくれた。その夜、愛、日菜、舞美の3人で真理がいる居酒屋に向かうとージェジュンの後ろ姿を見つけた日菜。「かっわいいですね。お仕事する姿も素敵です」仕事をする真理に容赦なく絡むジェジュン。真理は、嫌そうな顔をしてその場を離れる。(イクミに絡むなんて最低!何で、ひいばあちゃんはあんな奴をコーチにしたんだろう?)店に入り、手話でジェジュンに対する愚痴を言い合う。(早くコーチ辞めて欲しいわ。不愉快だしね)3人で飲んでいた時ージェジュンが近付いてきた。「君達、恥ずかしくないのか?」すると、酔った日菜が立ち上がりジェジュンを睨んだ。「なんの事ですか?」するとージェジュンが愛のカバンのマタニティマークに目をやる。「愛さんだけに話あるんだ」愛は、日菜と会話を続ける。「おやビン、ミユさん達も来てくれてありがとうございます」真理は、愛に手話で「ありがとう」と話す。「試合、出れなくなってもいいのか?」ジェジュンにそう言うがー愛は、ジェジュンが顔も見ずにスマホをいじるだけだ。「そのキーホルダー盗んだんだろ?」愛は、上目遣いでジェジュンを睨み手話で会話を続ける。「愛さん、あんたはキャプテンじゃないのかい?そんなんでチームまとめられるのか?」(盗むなんて、そんな事するはずないじゃないですか!)愛は、手話でそう話すがージェジュンには分からなかった。これから、チームはどうなるのか?ーと、愛だけではなく日菜や真理もそう思ったに違いない。
- 24Dec
#8「あと数週間」
ジェジュンから、Faxが来はじめて数日が経過した。(僕の女になりたいか?)日菜と舞美、更にー烏野一の長身の菅原素子(カナ)が、愛の部屋に来ていた時だ。Faxの紙を手に取った日菜は、目を通す。(愛ちゃんは、ミユ達のだしね)愛は、震える手で手話をして話し始めた。(実は…彼に嫌がらせされてるの)Faxが早朝に来た事や、誹謗中傷の内容が来たこと、などを話していた時、日菜達が、涙を流しているではないか!(何で早く言ってくれなかったの?)日菜は、愛に抱きついて号泣した。愛を守ってやれなかった自分が情けない。(2人に心配かけたくなかったから)(ミユがあの、韓国野郎に文句つけてくる!Faxの番号変えた方がいいよ)日菜は、更にタバコに火をつけて吹かした。ベランダに出てタバコを吸っていた日菜。するとー外にいたジェジュンと目が合ったではないか!(やべっ)日菜は、キツい目で彼を睨み続けた。(彼が、愛ちゃんの事を教えてくれたら金やるって言われて)舞美が泣き出し、手話で話を始めた。(嫌だって断ったら、うちらがやった事をバラすって脅されて)(もういいよ。2人は悪くないから)練習でも、ミスを連発する。更に、愛はスパイクやサーブをミスした。「あと数週間しかないんだよ!勝つ気はあるの?」容赦なくボールが飛んできて、休む暇もない。愛もひたすらボールを繋ぐ。もう、体も心も限界だーと思った矢先、京子が話があると言い、集合させられた。「見学をしたい方がいるの。いいかしら?さぁ、入って」京子が連れてきたのは、誰なのか!?愛達は、体育館のドアを睨む。
- 21Dec
#7「プレッシャー」
国体が近付くにつれて、練習の内容はハードさを増してきた。愛達は、優勝しなければならないという、プレッシャーに苛立ちを覚えていた。(国体なんて、何であるんだろ)休憩中、愛が日菜と舞美に聞いた。(ミユ達、見せ物じゃん。優勝しなきゃ、バレー界から消される。そんなの、嫌だよ…)日家に戻ると、Faxが何通か届いていたようだ。誰からなのかは分からない。(僕の女になってくれ)愛は、次にFaxが来たら送り返してやろうかと思った。(もしかして、ジェジュンさんですか?)すぐに、返信が来た。(そうだよ。ジェジュンです)(何で、Faxの番号、知ってるんですか?)字を書く手の震えが止まらなくなった。(2人に会った時に調べた。隙があったよ。きっと、あなたの事、友達だと思ってないんじゃない?)一瞬、目の前が真っ暗になった。愛が、Faxを返さないとジェジュンが容赦なく送り付けてきた。恐る恐る見てみるとー(初めて、日本に来た時~)や、(愛さんを初めて見た時)などの、Faxが大量に送られてきた。怖い…逃げたい…愛は、恐怖のあまりにFaxのコードを引き抜いてしまった。眠れないまま夜が明けたようだ。朝が来たが、愛は何もする気がなくただ埋まっている。今にでも、Faxが来るかも知れないからだ。誰かが、愛の家のインターホンを押したよう。愛は、警戒しながら玄関に向かった。ドアを開けるとー日菜と舞美がいるではないか!(愛ちゃん、メッセージも返さなかったから心配したよ)愛は、2人の顔を見たのかー安心したかのように抱きついた。(今日も、大収穫しちゃった)2人を部屋に入れた愛は、ビールを出した。まだ、練習前だがたまにはいいだろう。(何をしてきたの?)(エコー写真あるでしょう。それを奪ったの)酔いが回ったのか、日菜の手話をする手が速く動きー愛は読み取るのに必死だ。(幸せもんは、ミユ達だけでいいよね)練習は、夕方からだ。それまで、ジェジュンに対する愚痴を言いー笑い合う。なかなか、2人にはFaxの事を言い出せなかった。愛達は、プレッシャーに打ち勝つ事が出来、見事に優勝する事が出来るのだろうか?



