そろそろ書きたいこともなくなってきた。
・旅モード
旅モードの僕は、好奇心旺盛で、タフで、怖いもの知らずであった。
おまけに人見知りもしない。普段の僕からすれば、これは全く別人格
と言えるほどの変わりようである。
困難な状況に立たされれば、人はそれを打開すべく自分のほうから
アプローチをかけていく。変わっていったのはその結果だろう。これは
、何も頑張ってそうしたとか、無理矢理に変えていった、ということでな
く旅を続けていくうちに自然と獲得していったものであった。
普通に旅行会社のツアーや友達同士の旅行では、こうはならないだ
ろう。自転車旅は、基本的に困難の上に成り立っている。疲れ、汚れ、
危険、天候不良、空腹、野宿等。
快適な移動やきれいなベッド、おいしい食事を得られない代わりに、自
転車旅では多くの素晴らしい「困難」を手に入れられる(もちろんその
他に素晴らしいものも沢山)。
そんなものなくても変われるよ、という人はいいのだろうが、僕にとって
はとても貴重なものであった。
・ストレンジャーとしての私
旅を続けていて、違和感を覚えた事があった。
温泉に入り、スポーツパンツ、バンダナ、速乾Tシャツという格好から、ジ
ーンズに普通のポロシャツという格好に変え町に出る。すると、道行く人
も、スーパーの店員も、コンビニの店員も、誰もこちらを見てこない。
普通に地元の人だと思われているようなのだ。それまでは好奇の眼差し
を浴びていたのに・・・・・・。
地元に溶け込んでいる感は、普通の旅行をしている時ならあるいは心地
のいいものなのかもしれない。しかし、自転車旅をしていた僕には違った。
もっと、俺を旅人として見てくれ。
と思ったのだ。さらに言うなら、「自転車旅をしている人」として見て欲しか
った。地元に溶け込んじゃ困るんだ、とすら思った。
実際僕はそれまで、「自転車旅をする人」として人と接し、多くの親切を受
けてきた。相手も僕を「自転車旅をする人」として扱ってきた。
バンダナに赤いマウンテンバイクは僕の「身分証明書」のような物でもあっ
たのだ。それを外してしまえば、僕は「ただの人」になっていしまう・・・・・・。
親切にしてもらいたかったの?
話しかけて欲しかったの?
「ただの人」になってしまい戸惑いを覚えながら、僕はそんなことを考えた。
なんかセコイなぁ・・・・・・・。
いや、そんなことはない。
それも含めて旅なんだ。
旅人として扱ってもらって、初めて旅なんだ。
まして僕は自転車旅。多くの人の親切なしには成り立たない。
そんな結論に至り、僕はその後函館まで「旅人スタイル」を貫いたので
あった。(今にして思えば、異様に日焼けしてたんだから少なくとも地元
の人だとは思われてなかったんだろうな・・・・・・)