
告知。その時母は【実母】
私や弟に連絡が来たのは、告知後一通り検査を終えて、手術日が決まった後だった。
「命を取られるような事はない。後はなるようになる」と母。
だが話を聞いていると「だと思う」とか「そうじゃないかな」とか、母の推測ばかりで埒が明かなかった。
まさかとは思ったが、ステージも今後の治療方針も何もわかっていないのに「大丈夫だ」と根拠なく言い聞かせていたようだ。
死ぬのか死なないのかわからなくて毎日怯えていたのに「聞けない、わからない」と。
本人はともかく、家族の立場だったら現状を知らずに生きるほうが怖くないか?
知りたくなかったのか、知る必要がなかったのか。
もしくは私に心配をかけまいとして「大丈夫」を装ったのか。
だとしたら心外。
母は父子の関係性を間近で見ていて、父の病気を理由に私が動揺するとでも思ったのか。
私はそんな事で傷つかない。
母が思うよりももっと底無しに冷酷だよ。
高齢母に現実を直視しろと求めるのは酷だとわかってはいるが、母は年をとって臆病になったわけではない。
昔からそうだった。
問題を無かった事にして、そんなはずはないと言い張るのが母流ポジティブ。
別名現実逃避。
そういうところが嫌だった。
現実を認めたうえで前を向く強さは、母には無い。