どこからか声がする

私をよんでいるのかもしれない
そんな気がした

夜中になると
天井裏では追いかけっこ
命がけだ

酒に飲まれた男が
フラフラと夜道を歩き
道端で倒れては起き上がる
起き上がりこぼし

「今日からお前の
お義父さんだよ」

そう言った男の
右手の中指か、人差し指の第一関節から上は切り取られて、無かった

「どうしてもっと美味しそうにごはんをたべられないんだ!?」
箸が飛んできます。

「人形を買ってあげるから。チューシテ」40も過ぎた男が
小学生にもならない子に
接吻をせがみます。

「おんぶしてあげるよ。」
背負いながら、小学生にもならない子の
尻をなでまわします。

おとなは知らないだろう。
こどもは、ちゃんと
覚えている。

酒に酔い、女の枕元で包丁を片手に男が泣いています
「親知らずが痛いんだ、抜いてくれ、頼むから抜いてくれ、痛い、痛い」
女は知らぬふり

今日も、天井裏では命がけの追いかけっこ

私は、おとなになるまで
居場所を確保するため、息をひそめていた

どこかで私を呼ぶ声がする
天井裏に繋がる見上げた穴から

大きな目をした猫が
私を見ていた