またまたお久しぶりの投稿になります。

 

手術を終えてから1年10ヶ月…

抗がん剤治療を終えてから9ヶ月…

仕事復帰してから1年…

 

やっとやっとウィッグ生活から卒業しようと思います。

2年5ヶ月もウィッグで生活をしていると、ウィッグを付けている自分が当たり前のように思えてきて、あんなに卒業したかったウィッグですが、外してみるとまだまだ髪の毛が薄く、前髪はなかなか元通りにはならずしっくりこないなと思ってしまいます。

あんなにウィッグを付けることに抵抗があった2年5ヶ月前…

意外とその生活にも慣れ、たしかに暑かったり、面倒だったりはしますが、なんだかんだ復職し1年もウィッグで過ごすことができました。

ウィッグを外して久しぶりに外に出てみると、風邪をひきそうなくらい寒かったです(笑)

 

先日、腰位まできれいに伸ばしている方の初回の抗がん剤治療の日に関わらせて頂く機会があり、私と同年代で、ベッドで横になりながら静かに涙を流していました。

すごく髪を大切に手入れしてきたんだなと感じるほど、つやつやのきれいな髪…。

そんな髪が、治療のためとはいえあっという間になくなってしまう。

伸ばすことは本当に難しいのに、無くなるのは一瞬…。

2年5ヶ月前の自分を見ているかのようで、私も涙が出そうになりました。

思わず声をかけずにはいられなくなってしまい、『私も一緒ですよ。髪の毛を大切に伸ばしてきたのに、同じ病気で同じ治療をして、脱毛してしまい今はこうしてウィッグで仕事しています。辛いですよね。すごくわかります。』と。

その患者さんは、涙を流しながら私を見て『えっ、ウィッグに見えない。どうしたらあまり気付かれずにできますか?私、ひとりじゃないんですね。辛すぎて、逃げ出したかったです。』と話されました。

私もあの頃、自分だけがつらい、自分だけが不幸、どうして私だけなんだろう…なにか悪いことをしてきたのだろうか?と自分を責めてみたり、孤独を感じてみたりしました。

2年5ヶ月経った今、こうしてそのことを振り返ることができるようにまでになりました。

そして、同じ境遇である患者さんに寄り添い、アドバイスをできるまでになりました。

 

私がきっと乳がんにならなければ

私がきっと抗がん剤治療をしなければ

私がきっと脱毛しなければ

この患者さんのこの涙を見ることはできなかったのではないかと思っています。

そして、この言葉を聞くことはできなかったのではないかと思っています。

 

この病気になってしまい、本当に失ったことは数えきれない程あり、今でも病気をしていなかったら…と思うことは時々あります。

そんな日常の中で、この仕事をしていることで、病気になってけど役立つこともあるんだと思えることが、今の私の支えになっています。

『癌患者の看護師』ではあるけれど、『癌患者の気持ちのわかる看護師』でいつまでもいることができますように…。