手術まで数日…。

やり残していることや、できることをしよう。

 

私が抗がん剤治療中に、同僚が出産しました。

比較的仲の良い同僚で、年齢も近く、自宅も近くにありました。

彼女は、何年も不妊治療をし、やっと妊娠、出産ができました。

産まれたことを知らせてくれて、本当にうれしかったです。

頑張ってきたことを知っているからこそ、余計よかったなと心から思いました。

 

彼女には、乳がんになったことも、抗がん剤治療をしていたことも、手術をすることも話していません。

休職していることは周りから聞いたようですが、職場の人達に休職理由を話していなかったので体調が悪く入院しているとだけ知ってます。

 

LINEでよく連絡をくれるので、何度も話そうとは思いましたが、何から話したらいいのか、なんと話したらいいのか、迷い、結局今日まで話すことはできませんでした。

 

「落ち着いたら会いに来て」

と優しく言ってくれることが嬉しかったです。

でも、こんなに浮腫んしまって、ウィッグになってしまった私を見て驚くんだろうなと思ってしまったり、向こうも言葉に困るのではないかと思ってしまったりして、なかなか会いに行けていませんでした。

 

でも、お祝いはしてあげたい。

『本当におめでとう』

と言ってあげたいと思い、明日行くことにしました。

病気のことは、行ってから話します。きっと驚くだろうな…。

 

 

先日の術前説明で、私は5年間ホルモン剤を内服することになりました。

そのことが何を示しているかというと、妊娠、出産できる可能性はほぼなくなってしまったということです。

卵子凍結は可能性を残すためにしましたが、その時はホルモン剤の内服予定ではなかったので、可能性は低かったものの、まだ少しは希望を持てていました。

卵子凍結保存をするということは、毎年預けるためのお金がかかります。

安いものではないです。

今年、そのお金を払うか、払わないかも正直悩んでいます。

払わなければ、私の卵子はもうなくなってしまいます。

あーぁ、なんで結婚して子どもを産まなかったんだろう。

子ども…欲しかったなと涙が出ることもあります。

 

私は、みんなが結婚、出産、子育てを一生懸命にしている間、何をしていたんだろう?

と考えた時に

あっ。仕事だ。

と思いました。

仕事を何より一生懸命取り組んできました。

何か一つでも、一生懸命してきたことがあってよかったと、また涙が出ました。

 

私が休職してから、私より10歳近くも下の後輩が、部署異動の用紙を見て、こう言ったそうです。

「子ども産んだことがない人は、小児科に来て欲しくないんですよね。」と。

その話を聞いて、とても悲しくなりました。

でも、私は、彼女よりも知識も技術も経験もある。

彼女より、患者さんや患者さんの家族に信頼されている自信がありました。

そんな風に考える看護師に、私は看て欲しくないと思いました。

子どもがいない中、NICUや小児科で働くことを後ろ向きに捉えてしまっている看護師はいるのではないかと思います。

子育て経験がないから・・・と言っているスタッフの話しをよく耳にしていました。

でも、医療者として、子育てした経験があるかないかではなく、専門的知識や技術、優しさ、思いやり、子どもや両親を想う気持ちが何より必要であると信じていたいです。

 

 

そして、こんな気持ちの中、出産祝いに明日行ってきます。

なんとなく複雑な状況ですが、それでも『おめでとう』と言える人間でありたいなと思っています。

人の幸せを羨ましく思うことなんてたくさんあるけれど、自分が叶うことができない夢があったとしても、自分が辛い時期だったとしても、それでも人の幸せを一緒に喜べる人間になりたいし、そうでありたいです。

 

また、仕事復帰したら、仕事を楽しもう。

前よりもずっと、仕事と向き合っていこう。