たとえば、100人の同級生が、5年後に同窓会をしたら、13人は亡くなっていた。
と、そういう感じかな。
「87%」
乳がん患者の手術後5年の生存率だとか
数字だけを捉えてみると、ガンでの生存率としては高い方だと思う。
実際、自分も医師に
「87%っていったら、随分高い数字ですよねえー」なんて言っていたくらいだし、医師も
「そうですよお、だからドラマに出来るんです」
なんていってたものね。
そう、私はきっと天寿をまっとうできるだろうな(笑)
このブログをずっと読んでいた方はもうご存知だろうが、
私は昨年の7月に「乳がん」の手術を受け、現在9ヶ月がたとうとしている。
「まさか自分がガンになるなんて」
きっとガンになった人は必ずこう思うだろう。
私も晴天の霹靂だった。
元気がとりえで、家族の中で一番医療費がかからないって自慢していたのに。
左の乳房に直径2センチくらいのしこりがあるのを自分で発見した。
骨にヒビが入っていても、「捻挫」だと思ってほうっておくような私だったけど、このときはなんだかすぐにかかりつけの医者にいった。
いつもは朗らかな先生が、私より緊張した顔で「大きい病院を紹介するから」
と紹介状を書いてくれた。
「がんばるんだぞ、しっかりしろよ」
私を待合室まで見送ってそういった先生。
なんだかすごい真剣なかおだった。
子どもが髄膜炎のときですらこんな顔しなかったよ、先生。
検査の結果は「悪性」
「乳がんです」
医師があっさりと病名を告げるので、私もあっけらかんとしてしまった。
「あ、やっぱりそうですかあ」
乳がんの場合、本人が一番先にガンであることを知るのも特徴だろうな。
「乳がん治療Q&A」なる冊子をもらって読んだ。
最近は乳がん患者の心のケアに随分と力を注いでいて、まず、女性として乳房にメスを入れなければならない心の痛みについてのフォローに気を使っている。
私の場合はレベル1の初期の乳がん。
まあ、ガン組織を取り除いて、予防処置をすれば、転移、再発は少ないだろうと言うもの。
予防として、放射線治療と抗がん剤の投与。
ホルモン療法も予定していたのだが、私のガン細胞はホルモンレセプタがマイナスなので、効果が無いことがわかって、抗がん剤の使用が決まった。
切除したがん細胞と周辺組織は200グラムを超えた。
「ベースが良かったんで」
私の乳房の再建について術後の説明をうけた友人に医師は自慢げに言ったそうな。
正直、ガンが大きかったので、左の胸はなくなると思っていた。
麻酔からさめたときに胸があったので驚いた。
このときずっとコンプレックスだった「大きい胸」がいとしく思えた。
5年前だったら、全摘出だったろう。
乳がん治療は刻一刻と進化している。
今は「乳房温存術」が主流だ。
ガン組織の切除だけにとどめておく、若干再発、転移のリスクはあるが「生存率」には変わりが無いことがわかったらしい。
部分切除でも、術後しばらくは左腕のマヒがあったのだから(リハビリは痛かった)全摘出の場合の苦痛はそうとうだろうな。
胸の傷は長いけれど、綺麗な一本の線だ。医師がすごい時間をかけて、内側から縫ったそうで、やがてほとんど見えなくなるらしい。
乳腺外科チーム自慢のオペ作品になった(笑)
あと、肉付きが良かったお蔭で、切除部分が大きくても乳房の再建が可能だったってのも、
太めで良かったって思えるから、なんかおかしいよね。
その後、放射線照射25回をうけた。
「被爆」ってこうなるのかって初めて知った。
徐々に皮膚があか茶色に変色して、ひりひりしてくる。
25回目まではそんなにひどくなかったのに、後から焼けどが進行して、
皮が全部剥けてしまった。
剥けたところから血や体液が染み出てくる。
大きなガーゼをあてて、職探しをしていた。
抗がん剤は「フルツロン」というのを胃薬と一緒に飲んでいる。
最初は胸焼けや吐き気がしたけど、どうやらなれたみたい。
若干髪が抜ける。でも、そんなにひどくないな。
色素沈着の副作用があるので、シミが出来やすい感じ(え?年のせい?そうかな)
同じ薬を飲んでいる入院仲間さんはつめが真っ黒になってしまった。
わたしより10も年が上だけど
「なんか、胸の傷といい、この爪といい、情けなくなるねえー」
と落ち込んでいる。
入院中からずっといろんなことを気に病んでいた。
「大丈夫!外見はわかんないし、マニュキュアをつけてお洒落を楽しめると思えばいいじゃん!」
「そうだよね」
「あはははは」
乳がん患者はみんな明るい。
みんな手術までの間にいろんなことを乗り越えてきたんだと思う。
それと、好きな物は食べられるし、動けるし、働けるし、
好きなことが出来る。
手術の後、私は随分変わったと思う。
まず何事もやってみる。
後悔はしたくない。
前向きな気持ちがあれば、体も元気になるだろうな。
実際、そのとおりだし。
女性の皆さん、検診は必ず受けてください。
出来ればマンモグラフィーというエックス線を受けてください。
乳がんは怖くないから。
私は乳がんになってから、本当に沢山の人の心に支えられてきた。
この病にかからなかったら、一生わからなかっただろうな。
「87%」というドラマはさすがに観ることが出来なかった。
でも、もう少ししたら、ビデオ借りてみようかな。
正直にいって、検査は怖い。
また振り出しにもどるのはつらいから。
でも、たとえ再発、転移が起こったとしても、私を見守ってくれる人がいてくれるから、
大丈夫って思ってる。
みんな、ありがとう