香港電影紹介第24回は、ゴードン・チャン監督、チャウ・シンチー、チョン・マン共演の「チャウ・シンチーのキング・オブ・カンフー」です。
<あらすじ>
時は清朝。武術には長けているが怠け者で金持ち息子のソウ(チャウ・シンチー)は、遊郭で出会った美女ユーション(チョン・マン)に一目惚れ。
結婚を申し込んだソウにユーションが出した条件は「科挙(役人の選抜試験)に首席で合格すること」だった。
だが、自分の名前さえ書けないソウは筆記試験の試験官を買収するも不正がバレ、皇帝の命により全財産を没収されてしまう。
親子共々、物乞いをして生きるしかなくなったのだが、ソウこそが天下を奪おうと企む妖術使いのチウ・モウギ(チョイ・シウキョン)を倒す唯一の秘技を継承できる男だったのだ・・
チャウ・シンチー作品としては割とシリアスで(ギャグは抑え気味)、クンフーアクションもきっちり見せる一本だ。
個人的には「カンフーハッスル」よりもこちらの方が好き。
まずシンチーが演じるのは“広東十虎”と呼ばれた実在の武術家のうちの一人、蘇乞兒だ。
蘇乞兒といえばジャッキー・チェン主演「ドランク・モンキー酔拳」でユエン・シャオティエンが演じた酔いどれ師匠や、ドニー・イェン主演「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地雷鳴」 などでもドニーさんが演じているのでご存知の方も多いでしょう。
裕福な家庭に生まれたソウ(蘇乞兒)が惚れた女(チョン・マンってホントに綺麗な顔してますよねぇ。口元のホクロがちょっとエロくて)の為に“科挙”の試験に挑むも不正がばれてしまい皇帝の命により物乞いの身分に落とされ、のちに物乞いの王として君臨するまでを描いた再生物語だ。
シンチーワールドは今作品でも健在で、父親役のン・マンタとの掛け合いや、ナット・チャン、いつも鼻をほじっているオカマキャラのリー・キンヤンらお馴染みの顔触れも楽しい!!
アクションはユエン・チョンヤンが担当しており、ワイヤーアクションはスピーディでかなり荒唐無稽ではある。
“科挙”の武術試験ではシンチーにしては珍しい短剣や三節混を使ったアクション、さらにヌンチャクを披露したりとブルース・リーへのオマージュも忘れてはいない。
なかでも皇帝暗殺を謀る妖術使いのチウ・モウギ(チョイ・シウキョン)との因縁の対決は見所の一つだ。
今回、ソウが使う拳法は“酔拳”ではなく“睡夢羅漢拳”(寝ながら闘うというふざけた拳法(苦笑)。「睡拳」については、レオン・カーヤン、ユエン・シャオティエン(もちろん師匠役!)共演の「秘法!睡拳」(スリーピング・モンキー睡拳)を参考にしてもらうといいかも)なのだ。
チウ・モウギを倒す為には“降龍十八拳”でないと倒せないのだが(何故倒せないかの説明はなかったように思う)、1~17までの拳の型しか会得しておらず、闘いの最中に1~17までの型をミックスして18番目の型を編み出すという「酔拳」まんまの展開だ。
ただ、このラストバトルはややあっさり決着がついてしまうのが惜しい。
漫画のように木っ端みじんに吹き飛ぶ様は笑えるんだけど。
歴史大作でもリアル指向でもないのだが、「カンフーハッスル」がいまいちだったなぁという方にはこちらをオススメします。
ユニバーサルから発売されていた“香港電影最強大全シリーズ”も権利切れ?なのか入手困難になってきているので、観ていない作品、欲しい作品なんかはこの機会を見逃さないようにしましょう!