◎前回のお話





久しぶりの何も無い休み。

 
お母さんと日光へドライブに出掛けた。


この頃、お父さんが脳梗塞で手術をし数年が経ち
その後お母さんが婦人科系の病気で手術をししばらく仕事をせずにいた。

お母さんとの約束はすぐに出来るが、息子を誘っても『えー?』と振られる。笑


だんだんと子どもは手を離れ、今度は親をみる番なんだろうなと感じていた。


まぁまだ少し先のことなんだろうけど
親の入院や通院には私が付いて保証人になったり説明を聞いたり、洗濯や食事の用意を仕事の合間にしたりしていた。


34歳。そんな歳だ。


そしてちゃんとやってあげられる自分でありたいと思った。


介護士をしてお年寄りを間近で見ているからか
親が元気なうちにたくさん楽しいことをしてもらいたいと思っていた。


お父さんは家でゴロゴロするのが至福な時のようだが、なるべく声を掛ける。

息子同様振られることは多かったが。笑



ボーナスが出ると家族みんなを連れて旅行を計画したりもした。

高いところには泊まれないがみんなで過ごすことが大切で

あの頃の息子にとって私の両親はきっと父親の席を埋めてくれる存在であったと思う。
私だけでは埋められない部分を埋めてくれた両親への感謝を少しずつだが返せるようになりたかった。


そしてその姿を息子に見せたかった。

言葉で言っても私は説明が下手できっと伝わらないから…

だからやって見せる。


今は息子は息子の世界を拡げるために一生懸命だけど、いつか自分の家族ができた時に大切にできる男になってもらいたい。


これから私が息子に教えることは


絶対に家族を大切にする、支えていくと言うこと。

それが伝われば私の子育て総仕上げだー!


そんな話をお母さんとしながら車は日光東照宮へ。



日光東照宮へ行くととても気持ちが落ち着く。


緑と大きな建物、砂利の坂と階段。


元気になりたい時にこの景色を見に行っていた。

中禅寺湖の水がキラキラ光るのを見るのも好きだった。


緩い傾斜さえ歩くことを面倒くさがるお母さんの手を引いてゆっくり歩く。


東照宮は何回も何回も見ているが、何度見ても気持ちがいい。


ここに来て一番落ち着く場所は『鳴き龍』のある薬師堂だった。

靴を脱いで中に入り説明を聞く。


拍子木を鳴らすと天井が反響して『キュン…』と鳴る。

その音を聞きながら手を合わせると不思議と心が落ち着く。


鳴き龍に手を合わせたあと、お守りが売られているところを通る。

あまり神様なんて信じない方だが

『あ、これ買おうかな?』

綺麗な音のする鳴き龍の鈴を初めて買った。


いい事がこれからたくさん起きますように…


そんな軽い気持ちだった。


お守りを袋に入れてもらい、下駄箱に向かうと
カバンの中のケータイが鳴った。



『もしもし』


『おめでとう!』




電話の相手はマネージャーだった。



『出演決定したよ!

オーディション合格!』



『え!??本当ですか!??』



お守りを買って1分後


私の人生のレールが急に動いた。



同時に


『ロケ…1ヶ月…』



シングルマザーのお財布を揺るがす出来事でもあった。



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