◎前回のお話
私たちの事務所でのライブが終わってすぐだろうか。
その日は家族で日光にドライブに行っていた。
途中コンビニで休憩をしている時着信が入っていることに気づいた。
見るとマネージャーさんからだった。
電話をかけ直すと
『あ、もしもし。もし１ヶ月ロケに行ってって言われたら行ける？』
『へ!？』
家族が私の方を見た。同時に私も見て少し考えた。
1ヶ月？急に？？
と言うか…まだ所属して1ヶ月でこんな急に？
仕事はどうする？
何より息子はどうする？帰ってこれる？
数秒の間にいろいろ考え
『急すぎて…少し考えられますか？』
『はい、わかりましたー』
ツーツーツー…
あきらかに怒っていた。
『どうしたのよ？』とお母さんが言った。
『なんかね、１ヶ月のロケ行ける？って…』
『そりゃ難しいわなぁ…』
『うん…』
そのまま日光に行ったが私はソワソワしたままだった。
これで良かったのか…少し考える時間が欲しかったんだけど…。
『チャンスなんじゃないの？』
ソワソワしている私に気付いたのかお母さんに声を掛けられた。
そうだよね…。
チャンスなんてそう何回もないんだよね…。
『もう１回電話してみていいかな？』
『そうしな』
私はうなづいて再びマネージャーに電話をした。
『さっきはすみませんでした。行けるかどうかまだ分からなくての「考えさせて欲しい」でした。行けるなら行きたいです。』
そう伝えると
『分かった！』と言われ電話を切られた。
先なんて何も分からなかった。
ただ分かったことは『前に進んでしまった』と言うこと。
お母さん、介護士…芸能人？
待って！もう少し待って!!と言っていられない状況になってしまったことに
私はすっかり脳ミソフリーズ状態になっていた。
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