◎前回のお話





息子のLINEいじめ問題も落ち着いて、私も仕事に専念していた頃

ふと何も突っ走っていない自分に物足りなさを感じていた。


息子の学費もあるのでマメには出来ないがまた動いてみようかな…


私はピンになってはしまったもののネタをやってみることにした。

あの時息子が笑ってくれたあの舞台への夢は細く長くちゃんと続いていた。

舞台に立てるように…テレビに出られるように…
ちょっとでも動いておこう。


私は月に1度ある事務所所属を賭けたライブへエントリーした。

夜な夜なネタを書く。

たった1人で始めた再活動。

ピンのネタをどう見せたら分からなくてピン芸人さんのDVDを見たりした。


こんな感じかなぁ…とネタを書き下ろしオーディションまでに頑張って頭にセリフを入れようとするが相変わらずセリフ覚えが悪すぎた。

オーディションの日、久しぶりに数組の同期に会った。

みんな元気そうで年齢はいくつかと言えば私より息子との方が近い子もいる。
でもそんな若いみんなにエネルギーを貰えるこの場所が好きだった。

オーディションは先輩も後輩も関係なく平等に行われる。

それまでは同期がライバルだったがこれから芸能界を目指している人達全員がライバルになるのだ。

とても壮大でお母さんである私にはとても大きな舞台だが『自分は自分らしくやろう』となんだか落ち着いていた。


成功したらそれは凄いこと。
でも失敗したって得られることは多いはず。

ならば自分らしい自分でいよう。
見せたいのはそこなんだから。

もちろん息子にも。



私のオーディションの順番が回ってきた。


大きな声で言えたのは名前のみ。


ネタも動きも中途半端だったが

『ありがとうございました!』と最後も大きな声の挨拶で締めくくった。


オーディションは後日メールで合否が送られてくる。

【こりゃダメだろう…】


そう頭の中で考えながら電車に乗って家路を急いだ。


それでもなんだか清々しくて

やろうと思ったことをちゃんとやったからとりあえず1歩進んだ!よし!!と前向きな気持になれた。

家に帰るとすっかり夜で、東京に行くのだけで休みが終わる。


仕事になると変わらずそちらに専念する。

私にとって介護職は天職と思えるくらい楽しい。

こちらも息子が【やりたい!】と言ってくれている仕事だ。


私は介護職も芸能の仕事も手放したくなかった。

両方やるのは大変な事だけれどどちらの夢も譲れなかった。

介護には笑いが必要で、それを伝えるためにメディアに出たくて、その姿を息子に見てもらいたい!


どれもが個々ではなく私の夢への通過点なのだ。
だから頑張るしかない!


自分の中で今やれるライブ出場は資金を考えると2ヶ月に1回の出場のみ。

今回は落ちてしまうだろうけど…



しかし私の元に届いたメールは予想を反して


【合格】だった。




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