◎前回のお話




受験の日、また車で送り迎えをした。

後ろの席で下を向きながら緊張気味の息子。

遅刻しちゃまずいのでテストが開始する時間よりだいぶ早く着くように出かけた。

5教科の合計は相変わらず合格点には達しておらず心配で仕方がなかったようだった。

『大丈夫!必ず入れる学校はあるよ!
ここまで頑張ったんだから一生懸命やってきな。』


どうなったって家族で支えるから。

ここまで頑張ってきたんだから。


お願いだから受からせてやってください!そう祈りながら息子のテストが終わる時間まで待った。


その日ばかりは仕事も休みにしていた。

こうして車での送り迎えも私にとっては大切な会話の時間であることには変わりなく、家よりも真剣にいろんな話ができる場所だ。

もしこの学校に来るようになったらたまにはこうして送り迎えもしてあげよう…そう思いながら学校近くのスーパーの駐車場で考えていた。


今まで笑ってきた先生の顔を思い出す。

嫌な思いをたくさんしてきた。

悩んでいることすら相談も出来ず、学校での対応に悩み人を信じられなくなり
辛くてもなるべく笑い

いや、笑わなきゃその辛さに負けてしまいそうだったから

無理やり切り替えてきた。


だから…今度こそ息子が笑えるように…


親子で笑えるように…



『お母さん、終わったよ。』


少し疲れた顔をした息子が車の戸を叩いた。


『お疲れ様。』



『どうだった?』


『うん、どうにか埋めてきた。』


『そうか。』


いつもたくさん話す車の中がやたら静かな帰り道だった。



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