◎前回のお話




ライブ後はSライブに出て、そのあとは中学校の運動会前の奉仕作業に参加した。

仕事と養成所と学校行事で休みの調整が難しく、夏休み明けすぐの運動会の日は夜勤明けになった。

前日までにお弁当の買い物を済ませ夜勤明け急いで帰って作ってそのまま学校へと計画をたてた。
夜勤前も仕事が詰まっていてちゃんと買い物に行ったのはギリギリ。

お弁当に必要な材料が売り切れていることもあった。スーパーを2軒回るだけでも時間のロスだが最後の運動会だ。お弁当だけは心に残るものをつくってあげたい。

派手じゃなくていい。いつもの味でいい。

夜勤前、大量に買い物してきた食材を冷蔵庫に入れ、新しい運動着に名札をつけ、靴下を置いて家を出た。


夜勤はなかなかハードで60名のオムツ交換やトイレ誘導を1時間毎に必要な利用者さんに声を掛けながら回る。

ターミナルケアや急変などもあるので気も抜けない。朝までの中で確実に2回は全員のオムツ交換を2名で行う。

朝の排泄が終わる頃には腰が元の位置に戻らない。

その日もいつもと変わらず朝の7:30には腰がガチガチだった。

『今日は運動会だからもう帰るね!』と定時で上がった。

家に帰ってすぐに冷蔵庫をあけ鶏肉を切り下ごしらえをする。

卵をたくさん割って味を付けひたすら焼いては巻く。

飾りを作って皿に並べ、炊けたご飯を酢飯にして、フルーツを切って…


仕上がって用意ができる頃には10時を過ぎていた。

お弁当を車に乗せ学校の校庭を目指す。
3年間同じ場所。

着くと両親が場所取りをしていてくれた。

『ありがとう!』

『お疲れ様!』


この頃忙しくて忙しくて写真も少ない。
そして写真を撮ることすらなんだかもったいない気がして息子の動きを目で追った。

うまくやれてるかな?大丈夫かな?

この心配は幼稚園からずっとで、こんな気持ちになるのもこれで最後なんだと思うとホッとするような寂しいような気がした。

途中見ながら腰が痛くてレジャーシートに横になった。

『柏崎さん大丈夫ー?』

と、お母さん方に声を掛けられる。

『あはは!夜勤明けで眠いだけー!』と笑って答える。

『え!?働いてきたの?それでお弁当も作ってきたの?
もうちょっと親たよっちゃいなよー!』と言われた。


でも最後だから。
運動会のお弁当作るのも。

こんな時もう一人子どもがいたらよかったなぁとふと思った。


お昼、息子が私たちのところへ来て

『はい!じゃぁお弁当にしよう!』

とお弁当箱の蓋を開ける。


唐揚げのいい匂いと卵焼きの甘い匂いがふわっと香る。

『いただきまーす!』

みんなで囲むお弁当の美味しさは格別だ。
中学生にもなると張り切って食べてくれる訳じゃないのに作りすぎる運動会弁当あるある。

結局残ってクーラーボックスに戻して終わったら家で食べる。
でもそれもいい思い出。

おなかいっぱい食べると午後は3年生の恒例種目、親子二人三脚がある。

練習してない私たちは全くリズムが合わず数メートルで転ぶ。

何度転んだかわからない。

終わる頃には眠いことも忘れて楽しんでいた。


正直中学校は嫌な思い出が多くて記憶も飛び飛びだがふたりで笑った思い出は鮮やかに覚えてるから不思議だ。



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