◎前回のお話





絶対に養成所卒業後は所属するんだ!と言う気持ちで後半の授業に精を出した。

お互い素人な私と相方はやはりお笑いの仕組みは分からなかったが、笑ってもらいたくて必死だった。

どんな事がやりたいか案をお互い出し合って次の授業までにネタを作る。
作っている時は楽しくて仕方ないはずなのにいざやってみると全く面白くない。

やりたいものは決まってもネタがうまく作れなくて苦戦した。

ネタ見せと授業が終わるとまた遅くまで話をして家に帰る。
帰宅は深夜だった。

そのまま少し仮眠をとって早番に行く。

日曜日から月曜日にかけてはほぼ息子と顔を合わせる事が出来なかった。


顔を合わせられる時は、3年生にもなると高校の話になった。

本格的に決まるのは夏休みが終わってからだが
ずっと私立に行くものだと思っていたが、同僚のお子さんが公立の高校でも入れるよ!と言ってくれてから少し考えるようになってきた。


お金はかかるが手厚い私立か

高校無償化でほぼタダの公立か…。


どちらの方が良い選択なのだろう。

私の稼げるお金ならば公立を選んだ方がいいのかもしれないけれど…。

『前に見に行った学校と、友だちも通うかもって言ってる公立のA高校どっちがいい?』

『あー、〇〇も公立の方行くって言ってた。〇〇は向こうのB高校で…』

決めるのは半年後だがみんなそれぞれに行きたい高校はある程度決まっているようだった。

さて、息子はどうするべきか…。


学力の面から見てテストは難しいかもしれない。

なんせ授業の進み具合が分からない。

学年ごとで支援級での授業も選んでやらせていた。

高校受験で不安なことはテスト慣れしていないことだ。


数学や英語は支援級で補助してもらいながら覚えてもらったが、暗記系の理科や社会は通常級にしてテストを受けさせてもらえるようにした。

家庭教師の先生にも3年間、数学と英語を中心に見てもらっていた。


みんなは半年後からのスタートでも間に合うかもしれないが、我が家には時間が欲しい。

みんなは1回で出来ることも10回やらないと分からない事もある。

それでも出来ないわけじゃない。

時間さえかけてあげれば出来るんだ。


私もネタをやってみて初めて息子の『分からないもどかしさ』に気付いた。

書いても書いても、やってもやっても
なかなか笑いが分からない。

分からないことがこんなに苦しくて大変なことだったんだ。


それでも何回も何回もやったら次のライブもちゃんとAクラスに残留できた。


私も息子も一緒。

そう思うと『よし!やらなきゃ!』と前を向くことが出来た。