◎前回のお話




夏休み中、もう1度別の私立の高校の見学にも行った。


家から遠い為、車で見学に向かったが見学者の多さから駐車場が不足してしまっていた。
『1人で見てくるよ!』と、息子が車から降りた。

『大丈夫?』と聞くと『大丈夫!』と

私は息子に見学を任せた。

この高校は生徒数が多く学科もたくさんある。

息子が通うとしたら男子部になるだろう。


学校内の雰囲気は分かるが息子に合うだろうか。

ある程度は本人の希望で選んでもらいたいが、3年間通うためにしっかり見極めて欲しかった。


終わる時間帯に合わせて息子と待ち合わせの場所まで行った。

バス停は相変わらずの行列が出来ていた。
車を停めるにもなかなか難しく待ち合わせ場所をぐるぐる回りながら息子を探した。

あ!

息子を見つけた。


誰かと話している。

よく見ると私が教わっていた生物の先生だった。

窓を開け手を振ると息子が私に気付いた。


先生に頭を下げこちらに走ってくる。

車に乗り込むと笑顔で見学の話をした。


『なんで先生と話してたの?』と聞くと、『たまたまだよ。でも楽しかった!』と嬉しそうに言う。

先生と話して楽しいなんて久しぶりに聞いた。

それだけで嬉しくなった。


我が家が申し込んでいたのはこの2校。

息子にどちらがよかったのか聞いてみると


『今日来た方の学校がよかった!』

と話した。


『そうかぁ』


人数が多いので先生の目が行き届くかの心配があったが、また来年もう1度見学ができる。

次は聞きたいことを考えてから行こうと思った。


こうして夏休みは慌ただしく過ぎていった。

9月に入ると早々と運動会がある。

また前日仕事が終わってからお弁当の買い物に行き、朝は5時に起きてお弁当を作り始める。

お父さん、お母さんも来るのでその分も多く作る。

甘い卵焼きと唐揚げ。

私のお母さんも作ってくれた変わらないお弁当。



この前後の運動会の奉仕作業も参加したりもする。なのでこの時期は割と忙しい。

その割と忙しい時期に私は職場で上司に呼び出された。


『柏崎さん、正社員になりたいんだよね?』


『はい?』



『来月から特養に異動できる?』


『は?』


突然やってきたターニングポイントに動揺した。