◎前回のお話




年明け、国家試験の日がやって来た。

受験票、筆記用具…忘れ物が無いように確認し朝早く家を出た。

受験場所は都内の有名大学。

他のみんなは埼玉の方の会場を選んだようだったので私は一人で向かった。

会場には思いのほか早く着いてしまい近くのコンビニで朝ごはんと飲み物を買い大学の敷地内に入った。


中に進んで行くとテレビ出みたことがある有名な銅像があった。

大学内は広く自分が受験を受ける教室を探すのも一苦労だった。

掲示板に番号が書いてありその数字を見ながら移動した。


しばらくウロウロして受験を受ける教室を探した。

とても寒い日だったが暖房がきいており、私はすぐコートを脱ぎ席についた。

朝ごはんに買ったサンドウィッチを食べながら最後のチェックをした。

【これで落ちたら正社員になれない…
また受験料がかかる…負けられない!】

1人でひたすら小さな問題集を解いた。


『それではテーブルに受験票と筆記用具のみ置いてください。』

時間になり試験管が問題を配り始めた。

『始めと言うまで問題は開かないでください。』

マークシートに自分の受験番号を記入する。


受験なんて高校以来だ。

時間までに果たして終わるのか…とてもドキドキした。


『では、始めてください。』

一斉に問題を開く紙の音がする。


介護福祉士のテストは何項目にも分かれており1問1答ではない。

5つくらいの答えの中から2つの正解を探したりする。

だから片方合っていても片方が間違っている組み合わせを選んでしまったら不正解なのだ。

そして一項目中に正解が一つもなかったらいくら合格点に達していても不合格になってしまう。


【もうここまで来たらやるしかない!】

3年分の知識をテストにぶつける。


思えば3年長かった。

職場に入ってうまくいかないこともあったし、育児で行き詰まって仕事すらしたくない日もあった。

でも良いスタッフに囲まれてなんとかやってこれた。

そして合格して息子に見せてあげたい。

頑張ればちゃんと出来るよ!と。


頑張ってるのはお母さんも一緒だよ。

1人じゃない。

絶対諦めない!


問題文は長いが1問に当てられる時間は短い。

引っ掛け問題も多いので目線は目まぐるしく動く。

午前中のテストが終わる時間にはクタクタだった。


『終了してください。』


そう言われるまで何度も文章とマークシートをチェックした。