◎前回のお話




余計なお金は無いが、子どもが大きくなるにつれお金はかかってくる。

この先私立への進学を選んだらもっとだ。



お給料日になると全部のお金を引き出して、封筒に小分けにした。

家賃

光熱費

保険

学費…


最後に残るのが食費。


カツカツだ。


このカツカツはいつまで続くんだろう…

プラスになる日は来るのかな…


お金の悩みは精神にズシン!とくる。

でも介護福祉士の資格を取れば正社員の道も見えてくる…次の年の4月まで頑張らなきゃ…


笑顔で仕事はしていても
息子のことやお金のことで悩まない日は無かった。


『1人でこんなに頑張って…
かたや元旦那は一銭も養育費もよこさずのうのうと生きてるんだな…』

と思うと涙が出てくることもあった。


学校と戦い、生活を支え…

精神は張り詰めていた。


仕事が休みの日になると何も出来なくなってひたすら目を閉じる。

最低限の家事のみ。

現実から目を背けたくなって耳すら塞ぎたくなる。


【あぁ…私はもしかしたら鬱なんじゃないのかな…】


そう思った。


でも休みが開けると体は【働かなきゃ…私が働かなきゃ誰が食べさせるの?】と起きたくない体を起こして仕事へ向かう。


誰かに言っても解決するわけじゃない。

でも苦しくなると過去のいろんな感情が戻ってくる。


兄の暴力…

祖母の叫び声…

旦那の裏切り…


私は何一つそれを癒す事なくここまで来てしまったんだ…と、布団を頭からかぶり1人で泣いた。


苦しくても辛くても私が越えなければ息子が路頭に迷うのだ。


口では『負けない!頑張る!』と言い続けるが心はボロボロだった。


シングルマザーの友だちは心療内科に通う人もいた。


『行くと心が楽になるよ。』


と言っていた。


私も行こうか悩んだ。

行ったらこの憂鬱な気分は治るんだろうか…

たまにとてつもなく消えたくなる気持ちは無くなるんだろうか…

呼吸が苦しくなることはなくなるんだろうか…



でも私は行かなかった。

1歩ずつ自分で過去の記憶を塗り替えていくしか自分を変えることは出来ないと分かっていた。


兄とのことも

元旦那の記憶も

私が乗り越えなければきっとまたこの闇に引きずり込まれるのだ。



でもこんな苦しさも時には役立つこともあった。

苦しさを経験しているからこそ、利用者側の気持ちになる事が出来た。


利用者さんの苦しさ、悲しさ

ご家族の苦しさ、悲しさ…

全てではないかもしれないが理解することが出来た。


『柏崎さんが来てくれると安心する』


そう言われると

あぁ、今日も生きててよかったな…と思えた。