◎前回のお話




『I先生?』

まさかの校長、まさかの元恩師からの電話にかなり驚いた。

【どうしたんだよ?教育委員会に電話って!】

『先生ごめん。今までもいろいろあって…。』

【俺のとこに話来れるか?】

『はい…。』


I先生は怒っている様子はなく、ただびっくりしたような感じだった。


先生ごめん…。

先生みたいにいい先生もいるのは分かってる。

でもそうじゃない先生だっている。


力で、知識でねじ伏せようとする先生をたくさん見た。

私たちには分からない閉じた世界の中で

子どもたちが受けられる勉強や社会学習が歪んでいることもある。


私だってそんな風に思いたくなんかない。


私が辛い時…私の逃げ場は学校だったから…

それはI先生みたいな先生が居てくれたから

ちゃんと自分の居場所があったんだ。


勉強が出来なきゃハブかれる…

みんなと同じじゃなきゃハブかれる…


そんなの大人が子どもに順番つけて管理しやすくしてるだけじゃないの!!


I先生…学校は変わるかな?

私の思いは届くのかな…



次の日の午後、私は学校へ出向いた。

職員室のドアを開けると1年の担任と支援級の担当の先生がいたがニコリともせず目も合わず…


『柏崎さん、こちらへどうぞ。』


と、教頭先生に呼ばれ私は校長室に通された。


『いらっしゃい。どうしたんだよ!』


いつもと変わらない調子で話す。


『いろいろあったの。いろいろ…。』


『ここだけだけど、ももちゃん
モンスターペアレント呼ばわりされてるぞ?』


『え?なんで??』



『もちろん俺も怒ったよ。

ももちゃんは理不尽なことで怒る奴なんかじゃないって。』


『…そうか。先生ありがとう。』


モンスターペアレントか…

そんなのになれるならとうの昔になってたわ!と思った。

飲み込んだ言葉も我慢した気持ちもたくさんある。

言いたくてもまるで子どもは学校の人質だ。

何かを言ったことによってこうして【モンスターペアレント扱い】されてしまうくらいだ。


良い方向に変わらないのだ。


みんなで隠していく。


『先生たちが私らを見てくれてた頃が懐かしいや!
私なんか宿題はやらないし赤点ばっかだったけどちゃんと覚えててくれてるもんね。』


『ももちゃんとはな、Yの件もあったしな。』

『懐かしいですね。』


私が中1の頃、不登校になってしまった友達がいた。

私は毎日のように彼女の家に行き『今日は元気?』と確認した。


ある日急にI先生に呼び出されYちゃんのことを聞かれてビックリした。

『Y、様子どうだ?』

『元気だよ!大丈夫。』


『ありがとな。また顔見に行ってやってくれな?』

と、職員室の隅っこで背中をポンとされた。


いつも生徒の事を良く見ていてくれた。


成績や出来でなんか生徒を選んでいなかった。


『先生…先生は昔、例え勉強のできない子が居てもちゃんと教室の真ん中で守ってくれてましたよね…』

『ん?そうだったかな?』

恥ずかしそうに笑う先生。


『でも…今の先生は違うのかな?

やっぱり出来る子がいいみたい。

できない子はお荷物なのかね?』


『話して。』


『うちの子、発達障害なの。

小さい時から出来ることとできない事の差が大きくてこだわりも強いとこあって…

でもみんなと同じでいたくて一生懸命で…


中学に入って、この先の高校の事も考えてるのに…

宿題が小学校1年生レベルだったの。

…どうして?

ここまで頑張ってきたのに…

これが養護教諭のやること?

ちゃんと指導受けた人がやること?


これを訴えたことがモンスターペアレントになるの?』


『そうだったのか…ももちゃんごめんな…

俺からも謝るな。』


『別に先生は悪くないよ。』


『よし、ももちゃんの気持ちは分かった。

確かにそれは理不尽だ。


今から1年の担任と支援の先生をここに呼ぶ。

俺も居るから今のこと話せるな?』


『うん…』


I先生との会話は一時間ほどあっただろうか。


『まずお茶飲め。』


『はい』


ソファーに座り落ち着くと


I先生が校長室のドアを開けた。



※養護教諭=保健の先生ですよねあせる
特別支援級の先生のことを言いたいんだけどなんて言うんでしたっけ?

表記違い申し訳ありませんおーっ!あせるあせるあせる